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追悼・一原有徳展 ヒラケゴマ

2012年5月19日(土)-7月1日(日)   ※5月30日(水)と6月27日(水)は休館日

 

《SR1》1989年 

 

一原有徳(1910-2010)は、徳島県出身で北海道小樽市で活躍した版画家。

3歳の時、伯父が開拓者として移り住んでいた北海道に父母とともに移住し、1927(昭和2年)に16歳で当時の逓信省小樽貯金支局に就職します。60歳で定年退職するまで43年間勤務しました。そのかたわら、41歳の時には知人のすすめで油彩画を、47歳で版画を始めました。版画を始めてから3年後の1960(昭和35)年、神奈川県立近代美術館主催「現代日本の版画展」に出品します。そこで高い評価を得て、異色・異才の遅咲き版画家として注目されました。

一原は、1950年代後半に石版画を用いた「モノタイプ=一度しか刷れない版画の方法」に着手します。以来、一貫してモノタイプと実験的な金属凹版による表現を追究し、国際的にも高い評価を得ていきます。その作品は、物質的な要素を版に置き換えながら、架空の事物を創造していき、抽象表現としても鑑賞者の想像力を刺激します。1回限りの転写によるモノタイプ版画や、金属を様々な道具・薬品で加工する凹版の実験を繰り返すことにより、荒々しいマチエールや無機質な美しさを持つ力強い作品を数多く生み出しました。既存の版画の枠を超えた独創的な作品で国際的にも高く評価され、自由な発想力と想像力はとどまるところを知らないかのように思えましたが、平成22年10月1日、惜しまれつつこの世を去りました。

武蔵野市は平成14年に作品の寄贈を受け、武蔵野市立吉祥寺美術館の開館記念として「一原有徳展 変幻の抽象にみる無垢な作意」を開催しました。本展は故人を追悼し、かつその功績を改めてたたえるという意義でその画業をたどるものです。 

■演奏会「ジッケンセイサク×ソッキョウエンソウ」 5月26日(土) 午後2時~ 詳細はイベントページをご覧ください。

■ワークショップ「たのしもう、リトグラフ」 6月9日(土)、16日(土)、23日(土) いずれも午後1時~16時30分 詳細はイベントページをご覧ください。

 

 Fr_nor_32  KHK   

 

 UUQ_1    Pour_K_Arita

 

   BBT_2       OCO_2     

 

  HI_R_2

左上から順に《F(nor)32》1988年、《KHK》1977年、《UUQ 1》1992年《Pour.K.Arita》1993年《OCO(2)》1977+82年、《BBT(2)》1987年、《HI(R)2》1968年

 

一原有徳 Arinori Ichihara(1910-2010)

登山家・俳人としての顔も持ち、著作物も多い小樽市出身の版画家。

遅咲きのデビューに加え、登山中の遭難やプレス機に指をはさむ事故に見舞われるも、その制作意欲は衰えるところを知らず、独創的な腐食版・限界に挑むかのような大型の版画・オブジェなど新しい表現に次々と挑戦した。2011年(平成23)年4月、北海道の市立小樽美術館には常設展示室として「一原有徳記念ホール」がオープンし、同氏のアトリエを再現したスペースも併設されている。