• きちびちゃん

江上茂雄:風景日記 diary/dialogue with landscapes

《夏陰の小道》 クレパス 1962-63年頃

 

荒尾にて制作中の江上茂雄 80代の頃 撮影:山本直也

 

会期:2018年5月26日[土]ー7月8日[日]

休館日:5月30日[水]/6月27日[水]

入館料:一般300円・中高生100円 ※小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料。

主催:武蔵野市立吉祥寺美術館

 

1912(明治45)年に福岡県山門郡瀬高町(現在の福岡県みやま市)に生まれた江上茂雄は、幼い頃から突出した絵画技量を発揮しながらも、12歳になる年に父を亡くすという家庭環境のもと専門教育課程への進学は望まれず、高等小学校卒業後15歳で三井三池鉱業所建築設計課に就職する。以後、会社勤めの収入により母・妻と4人の子の生活を支えるかたわら、「画家として生きる」という少年時代の決意を貫き、独学でクレパス・クレヨンによる表現を極めていく。1972(昭和47)年の定年退職後は、それまで暮らした大牟田から隣接する熊本県・荒尾に転居し、度重なる眼病や脳血栓を克服後、1979(昭和54)年から2009(平成21)年頃までの約30年もの間、正月と台風の日を除く毎日、水彩画の道具を担ぎ徒歩で自宅を出発し、その日の制作地を探し当て、1日1枚、戸外で写生による風景画を仕上げるという生活を続けた。

そして、2014(平成26)年2月、2万点以上に及ぶ絵を荒尾の自宅に残し、101歳でその生涯を閉じた。

遠く離れた場所で芽吹く美術の最新動向を常に意識しながらも、自分が生まれた土地を離れることなく、誰に教えを乞うこともせずに、制作者としての己と向き合い続けた江上茂雄。都内で初めてこの人を紹介する機会となる本展では、とりわけ、江上が青年期から描き続けた大牟田、そして定年後に毎日描いた荒尾の〈風景画〉に焦点を当てている。それらは、日々、そばに寄り添う自然と対話し続けた江上の足あとをたどるものであり、土地の人々が「路傍の画家」・江上茂雄を目撃した場と時の記録であり、さらには、絵の前に立つ誰かが、自らの過去の記憶に触れずにはいられなくなる風景でもある。

 

《線路際》 クレパス 1962-63年頃 / 《夕立ちの後》 クレパス 1962-63年頃

 

 

《グランドの空》 水彩 1993年5月 / 《夏の終わり》 水彩 2002年9月

 

  

シリーズ『私の鎮魂花譜』より 鉛筆、水彩 制作年不明(1938-1968年頃)

 

※本展は、「カンバセーション_ピース かたちを(た)もたない記録:小西紀行+AHA! [Archive for Human Activities/人類の営みのためのアーカイブ]」(2016年)、「コンサベーション_ピース ここからむこうへ(part A 青野文昭展/part B はな子のいる風景)」(2017年)に続く、記録/記憶のありか/あり方を問う企画展シリーズの第3弾です。

 

【関連イベント】連続トーク 記録/記憶と風景ー「江上茂雄」から「カンバセーション_ピース」まで

 

1)「都築響一が出会った江上茂雄とその風景」※終了しました。

2018年6月 2 日(土)14:00~15:30

ゲスト:都築響一(編集者)

-2013年、田川市美術館、大牟田市立三池カルタ・歴史資料館、福岡県立美術館で江上茂雄連続個展が開催された頃、101歳の江上さんを訪ね取材をした都築響一氏に、その人物像や作品の魅力を語っていただきます。

 

2)「風景を(ひっ)くりかえす」

2018年6月23日(土)14:00~15:30

ゲスト:松本篤(AHA!世話人)+尾中俊介(デザイナー) 聞き手:大内曜(武蔵野市立吉祥寺美術館 学芸員)

-「コンサベーション_ピース ここからむこうへ」展(2017年)のために製作された記録集『はな子のいる風景 イメージを(ひっ)くりかえす』はいかに生み出されたのか。「風景」とは何かを考えながら、本書企画編集者の松本篤氏、デザインを担当した尾中俊介氏にお話をうかがいます。

■松本篤|1981年兵庫県生まれ。2003年より、「文房具としての映像」という考え方の普及を進めるremo[NPO法人記録と表現とメディアのための組織](大阪)の活動に参加する。2005年より、8ミリフィルムや写真といった“市井の人びとによる記録”に着目したアーカイブプロジェクト・AHA!(アハ)を始める。現在、東京都世田谷区(穴アーカイブ)、鳥取県鳥取市(すみおれアーカイヴス)、茨城県水戸市(ホームムービング!)、岩手県釜石市(ランドスケープ|ポートレイト)など、国内各地で活動を展開している。『フィールド映像術』(古今書院、2015、共著)などがある。

■尾中俊介(Calamari Inc.)|1975年山口県宇部市生まれ。美術関連の印刷物や書籍のデザインを主に手がける。近年の仕事に「モダンアート再訪」(埼玉県立近代美術館|2018)、「田村友一郎|服部浩之『試論:栄光と終末、もしくはその週末/Week End』」(小山市立車屋美術館|2017)、「コンサベーション_ピース:ここからむこうへ」(武蔵野市立吉祥寺美術館|2017)、「アリン・ルンジャーン『モンクット』」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA|2017)、「コレクション展1 PLAY/粟津潔、マクリヒロゲル4」(金沢21世紀美術館|2017)、「Week End / End Game」(田村友一郎著|小山市立車屋美術館|2018)、「はな子のいる風景 イメージを(ひっ)くりかえす」(AHA!編|武蔵野市立吉祥寺美術館|2017)、「言葉の宇宙船」(芹沢高志+港千尋著|ABI+P3|2016)など。詩集「CUL-DE-SAC」で第15回中原中也賞最終候補。パブリッシング・レーベル「pub」主宰。

 

3)「風景と記憶」※定員に達したため受付は締め切りました。

2018年6月30日(土)14:00~15:30

ゲスト:保坂和志(作家) 聞き手:大内曜(武蔵野市立吉祥寺美術館 学芸員)

-当館での企画展「カンバセーション_ピース:かたちを(た)もたない記録」(2016年)、「コンサベーション_ピース ここからむこうへ」(2017年)にテキストを寄せていただいた保坂和志氏に、「風景と記憶」をテーマに、ご自身の著書に触れつつお話いただきます。

 

■場所:いずれも吉祥寺美術館 音楽室

■定員:各80名(要事前申込・先着順)

■参加費:いずれも無料(入場には当日の美術館入館券が必要)

■お申込方法:

 1)5月19(土)10時より受付開始

 2)3)5月26日(土)10時より受付開始

 いずれも、お電話(0422-22-0385)または美術館窓口にて受付。

 ※1回の受付につき、2名まで申込可。

 

 

【鑑賞プログラム】あかちゃんといっしょに美術館!※終了しました。

2018年6月13日(水)・6月17日(日) いずれも10:00~11:00

乳児とその保護者向けのプログラムです。一緒に江上茂雄さんの作品を楽しみます。

※本プログラムは武蔵野美術大学等の共同研究の一環として実施するため、当日は写真・動画の記録撮影、アンケートへのご協力をお願いいたします。

※ベビーカーでご来館いただけますが、展示室内では、お子様のペースにあわせながら、抱っこ(抱っこ紐)で過ごします。

 

■ナビゲーター:杉浦幸子(武蔵野美術大学 芸術文化学科 教授)

■対象:3~12ヶ月の乳児とその保護者 各日5組

※保護者の人数は自由。 ※1歳以上の兄弟の同伴は不可。

■参加費:無料(ただし、保護者は当日の美術館入館券が必要)

■申込方法:はがき・FAX・メールのいずれかに、①希望プログラム名(あかちゃんといっしょに美術館!) ②参加希望日  ③乳児の名前(ふりがな)・月齢 ④参加する保護者全員の名前(ふりがな) ⑤応募動機(簡単に) ⑥住所  ⑦電話番号 ⑧メールアドレス を明記の上、吉祥寺美術館ワークショップ係まで。5月31日(木)必着。美術館窓口での直接申込も可能。応募多数の場合は抽選とし、結果は郵送にて6月4日(月)までに全員に通知。

■申込先:

〒180-0004東京都武蔵野市吉祥寺本町1-8-16コピス吉祥寺A館7階 武蔵野市立吉祥寺美術館

FAX: 0422-22-0386 / メール(申込専用): museum-ws@musashino-culture.or.jp

 

《1979年から2009年までに描かれた水彩風景の内、荒尾運動公園駐車場付近(推定)を描いたものの一部》

*展示室では、20年以上の間定期的に、同地点において描かれた風景画の一部(計96点)を並べて展観します。

 1990年11月

 1992年11月

 1994年2月

 1997年12月

 2000年11月

 2002年7月

 2003年3月

 2003年9月

 2004年1月

 2004年11月

 2005年1月

 2006年4月

 2009年1月