カンゲキのススメVol.0 「ご挨拶と12月のオススメ」

カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

 

O君:さて、先輩、カンゲキのススメのスタートです。宜しくお願いします。

Kさん:さて、っていきなり言われても…。何を話せばいいのかしら?

O君:演劇を観たことない人や、何を観ていいかわからない、そんな僕のような人に対してですね、こんなもの観たらどうですか、とか、こういう風に観ましょうみたいな紹介をするコーナーです。

Kさん:また難しい話だね。なぜ私がご指名を受けたのかしら?

O君:先輩よく芝居の感想をああだこうだと言っているじゃないですか?それをそのまんま話して下さる感じでお願いします。

Kさん:でも、まだ観てないものの感想は言えないからなぁ。ほら、演劇ってよほどの長い期間やっている公演じゃないと、紹介したときにはもう公演が終わっているって可能性が結構あるじゃない。それじゃ微妙だから、やっぱり始まる前にご紹介した方がいいわよね

O君:そう、そこなんです!演劇は劇評やレビューという形で、観終わった後に感想などをblogやtwitterなんかに書く人は多いですけど、今月はこれがオススメですというようなことを載せているところは、それに比べて少ないですから。だから、ここではプレビューの役割を担おうかと。早速ですが、Kさんは観るものをどうやって決めていますか?

Kさん:観たことない劇団だと、直感で気になったものかな。あとは人に勧められたもの。でも、その直感がなかなかわかんないよっていうことなんですかね?

O君:そうですね。たぶんそれはKさんが数をある程度以上こなしているからできることですよね?今までの蓄積があるからわかるみたいなものがあると思うんです。

Kさん:でも、やっぱり日本中、とまでは言わなくても、例えば東京中の人に「数をこなしましょう」とは言えないですよね。それはただ演劇の敷居をあげてしまうだけもの。

O君:だからこそ、私たちがその数を補うために、補助線を引いたり予備知識を提供したりしたいなと考えているんです。ワインのソムリエさんみたいなもんですかね。

Kさん:演劇ソムリエ?(笑) 

O君:そうですそうです。分かりやすく読みやすく、演劇の面白さや味わいかたをお伝えするんですよ!



Kさん:ところで、その「何を観ていいかわからない」というのはどういう感じなのかしら?

―うーん、かなりたくさんやってるじゃないですか、芝居って、案外。なんか観に行くと山のような量のチラシをもらうんですけど、そこからどれを選んだらいいか、っていうかどれが楽しいか面白いかが分かんないんですよ。映画みたいに予告編があるわけでもないし、本みたいにパラパラ立ち読みってわけにもいかないじゃないですか

O君:うーん、かなりたくさんやってるじゃないですか、お芝居って。公演を観に行くと、山のような量のチラシをもらうんですけど、そこからどれを選んだらいいか、っていうかどれが楽しいか面白いかが分かんないんですよ。映画みたいに予告編があるわけでもないし、本みたいにパラパラ立ち読みってわけにもいかないじゃないですか?

Kさん:あー、それは私も最初はそうだったなあ。というか、今もそうだよ。

O君:え、じゃあ、先輩はどうしてるんですか?

Kさん:だから、直感よ。というか、エイって1つに決めちゃうの。どうせ全部は行かれないから、決めるしかないでしょ。もちろん外れること、つまり、私はあんまり楽しめなかったってこともあるんだけどね。それは何でもそうじゃない?映画だって、本だって。

O君:そういうこともやっぱりあるんですね。そういうのは仕方ないと割り切る感じですか?

Kさん:ある程度はね。でも、割り切らなきゃいけないことなんて、そんなに多くないわよ。好みもあると思うけど、楽しみたいと思っていれば、大体のものはどこかしら楽しかったりするものよ。だからあんまりハズレを怖がらない方がいいと思うな。

O君:ハズレを怖がるな、ですか。なるほど。カンゲキのススメっぽくなってきましたね。

Kさん:最初は、チラシのデザインが素敵とか、知っている俳優さんが出ているとか、友達に誘われたとか、このカンゲキのススメで紹介されていたとか、そういうところから少しずつ演劇を観ることに慣れていけばいいのよ。

O君:じゃあ、先輩は12月なら何を観に行きますか?

Kさん:例えば、青山劇場で嵐の松潤が舞台やってたのよ!観に行った?

O君:え、松潤って、あの嵐の松本潤さんですか?え、行きたい!なんていう舞台ですか?

Kさん:『あゝ、荒野』っていう、寺山修司さんが原作を書いたお芝居よ。

O君:寺山ってあの、「書を捨てよ、町へ出よう」の人ですか?ちょっとアングラなイメージがありますね。

Kさん:そうね、寺山修司さんは街頭演劇なんかも盛んに行なった人だし、確かにアングラのイメージはあるわね。でも、今回は松本潤さんや小出慶介さんみたいな若くてかっこいい人気俳優たちが出演するし、演出は世界的に有名な蜷川幸雄さんで、誰もが楽しめる豪華な作品に仕上がっているわ。

O君:そうなんですか、行きたかったです。他には何かありませんか?

Kさん:『あゝ、荒野』みたいに有名人を起用して、大きな劇場で行われる公演は「商業演劇」って言われるんだけど、そういうのは帝国劇場シアタークリエ、PARCO劇場みたいなところでよく行われているわ。最初の2つは東宝、最後のPARCO劇場は西武、っていう感じで大きな企業が運営している劇場よ。そういうところ以外でも、例えば、今月シアタートラムで蒼井優さんが出る『その妹』や、1月には新国立劇場で戸田恵利香さんと堤真一さんが出る『寿歌』という公演もあるわ。

O君:結構たくさんありますね。そういう有名な人が出ているものはやっぱりチケット代が高いんですか?

Kさん:それは仕方のないところよね。

O君:となると、僕なんかはあんまり頻繁には行かれないですね。もう少し行きやすいものだと、どういうものがありますか?

Kさん:「新劇」を知っているかしら?

O君:えと、文学座俳優座って新劇でしたっけ?

Kさん:そうよ。新劇の成り立ちや歴史なんかはおいおい機会があればということにするけれど、各々独自の養成所なんかもあるから、俳優さんも上手だし、お芝居のクオリティは高い次元で安定していて、お値段も商業演劇ほど高くはないわ。 12月は青年座と文学座が『ガラスの動物園』や『欲望という名の電車』で有名な、テネシー・ウィリアムズの戯曲で公演を行うわ。

O君:テネシー・ウィリアムズは知っています!そうですか、それは気になりますね。

Kさん:テネシー・ウィリアムズが好きなら、2012年には瑛太さんと深津絵里さん主演で『ガラスの動物園』の上演が予定されているから、それも行くといいかもね。 新劇よりももう少しカジュアルだったり、実験的だったり、ポップなものがいいなら、いわゆる「小劇場系」のものに行くといいわ。

O君:テネシー・ウィリアムズは知っています!そうですか、それは気になりますね。

Kさん:テネシー・ウィリアムズが好きなら、2012年には瑛太さんと深津絵里さん主演で『ガラスの動物園』の上演が予定されているから、それも行くといいかもね。 新劇よりももう少しカジュアルだったり、実験的だったり、ポップなものがいいなら、いわゆる「小劇場系」のものに行くといいわ。

O君:「小劇場系」というのは具体的な定義みたいなものはあるんですか?

Kさん:実際のところ、定義は特にないと思います。「小劇場」と言われている劇場の中でも、色々な種類・ジャンルの公演が行われているし、もともとは小劇場と呼ばれる小さな劇場で行なっていた劇団でも、人気が出てもっと大きい劇場でやるようになった人はたくさんいるわ。
東京で上演されているお芝居で、本数が1番多いのはこの分野だし、吉祥寺シアターで上演されるものも多くはここに属するって言っていいと思う。だから、このコーナーで取り上げるものも、ここが1番多くなるはずよ。

O君:なるほど。この分野でのオススメは何でしょうか?

Kさん:12月なら、まずは柴幸男さんという劇作家・演出家が行なっている『あゆみ』という公演はどうかしら?柴幸男さんは『わが星』という作品で2010年に第54回岸田國士戯曲賞を受賞した、今1番注目をされている劇作家・演出家よ。
あとは、瑞々しい感性と俳優の個性を生かしながら、独自のとてもキラキラした世界を作り出している、ブルーノ・プロデュース『ワールド・イズ・ネバーランド』や、「四畳半」という名の独自のメソッドを駆使して、誰もが知る古典の世界を独特の舞台空間に仕立て上げる山の手事情社『傾城反魂香』『道成寺』の2本立て公演、この辺は要チェックだと思うわ。

O君:おー、なんか「カンゲキのススメ」っぽくなってきましたね!じゃあ、のってきたところで、次はどう観たらいいかというお話を伺いたいのですが……。

Kさん:どう観るかね……むしろ、O君はどう観るの?

O君:え、僕ですか?いやいや、僕がKさんに質問するコーナーなんですけど。

Kさん:はーい、先輩に聞かれたらすぐ答える!(笑)

O君:えー! ……どうもこうも特にはないですよ。僕は、ストーリーを追いつつ、あの人演技うまいなとか、今の照明キレイだなとか、そんなもんです。たまにストーリーがないやつがあるじゃないですか?そういうのだともうチンプンカンプン。

Kさん:ふーん、ちゃんと自分で観てるじゃない。いいんじゃないの、それで。

O君:え、合っていますか?

Kさん:いや、別に合っている間違っているの話じゃないからさ、芝居を観るのって。なんかあんまどう観るかなんて気にせず、とりあえず楽しめばいいと思うんだけど。で、キミはキミで舞台の物語を追いかけながら楽しんでいるわけでしょ?それはそれで1つの見方だと思うな。

O君:そういうものなんですか?

Kさん:うん、たぶんね。初めは私もそんな感じだったし、観ているうちにやっぱ気付くことも増えていくじゃない?難しく考えすぎよ、こう観なくちゃいけないなんてものはないのよ。

O君:でも、ほら、作り手の意図があるじゃないですか?そういうのを読み取っていくのが必要なのかなと。

Kさん:それが正しい唯一の見方なんてことはないのよ。そういう作り手の意図や工夫がうまく表現されない場合なんていくらでもあると思うし。作り手の意図以上に面白い場合だってあるはずよ。それに自由な方が楽しいでしょう?ああ観なさいとか、こうじゃなきゃダメとか、そんなの嫌じゃない?

O君:そりゃ、嫌ですけど……。でも、そんなもんなんですかね…?

Kさん:まぁ、一般論で言ってもよくわからないだろうから、それはおいおい一緒に舞台観ながら考えていきましょうよ!まずは何がいいかしらね?

O君:そうですねえ…。じゃあ、2月に吉祥寺シアターで行なわれるカムヰヤッセン『バックギャモン・プレイヤード』はどうでしょうか?

Kさん:それはいいわね!カムヰヤッセンは私も何本も観たけれど、SF色が強めの、誰でも楽しめるような作品を作っているわ。O君と歳も近い若手の劇団なのだけれど、老若男女問わずオススメできる劇団よ!

O君:じゃあ、入門にはぴったりですね!次回のこのコーナーでは、カムヰヤッセンのこともう少し教えてください!