カンゲキのススメVol.1 カムヰヤッセン『バックギャモン・プレイヤード』

カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。
今回取り上げるのは、まもなく上演開始のカムヰヤッセン『バックギャモン・プレイヤード』です。 

O君:遂に吉祥寺シアターのHPがリニューアルされましたね。

Kさん:そうね、こういっちゃなんだけど、だいぶ見やすくなったね。

O君:いやはや、全くですね!という訳で、このカンゲキのススメのコーナーも本格稼動します!今回は2月9日(木)~13日(月)に吉祥寺シアターで行なわれる、カムヰヤッセンの『バックギャモン・プレイヤード』をとりあげて、Kさんのお話を伺いたいと思います。

Kさん:カムヰヤッセンのことはちゃんと調べたの?

O君:えーっとですね、東京大学の演劇サークル「劇団綺畸」出身の方々が中心になって結成されたんですよね。

Kさん:そうね。他には?

O君:……以上です。

Kさん:その反応だと、もちろん観たことはないのね……?

O君:はい…。

Kさん:まあ、しかたないわね。カムヰヤッセンの公演は約1年ぶりだしね。

O君:そうなんですか。それは知らなかったです。

Kさん:(絶句)……まぁ、いいわ。始めましょう。



O君:カムヰヤッセンはどんなお芝居を上演してきたんですか?以前、SF色が強いというようなことをおっしゃっていましたけれど…?

 

Kさん:それは、主に設定や脚本に関する部分だけど、例えば第3回公演の『レドモン』では、「レドモン」というのは地球に一定数以上住み着くようになった宇宙人の呼称で、その「レドモン」の親子を巡る話だったし、前回公演の『サザンカの見える窓のある部屋』では、脳に埋め込むことができるメモリー・チップなんていうものも、設定に取り入れられていたわ。

O君:なるほど。SFっていうと、僕なんかは少し難しそうなイメージもあるんですけど、そういう感じなら誰にでもわかりやすくてとっつきやすい感じがしますね。

Kさん:確かにそうね。私もあまりSFものの小説を読んだり映画を観たりはしないけれど、カムヰヤッセンを難しいとかとっつきにくいとか思ったことはないわね。でもね、カムヰヤッセンの最大の特色は、私はその「あたたかな手触り」にあると思うわ。

O君:「あたたかな手触り」ですか?

Kさん:そう。お芝居の間中ずっとほんわかした雰囲気を醸し出しているとか、ストーリーがゆるく展開していくという訳ではなくて、観終わったあとにじんわりとしたあたたかな感触が身体に残る気がするのね。

O君:もう少し具体的に言っていただけますか?わかるようなわからないような感じがして……。

Kさん:例えば、カムヰヤッセンの作品はSFタッチと言ったけれど、それだけではなくて「人間」という不確かな存在、「生きる」ということそのものに真摯に向き合うような作品なの。それは私たちにとっても切実なことですよね。それは、ある意味で私たちが芸術や文化なんて言われるものと対峙する動機となる、もっとも根源的なものの1つとも言えると思わない?

O君:そうですね。

Kさん:だから、その作品の中で描かれる物語というのは、登場人物の「誰かの物語」というだけではなくて、「私たち自身の物語」でもあるの。そしてカムヰヤッセンの主宰の北川大輔さんが書く脚本には、人間の弱い部分や情けない部分を優しく肯定してくれるようなあたたかさを感じるわ。カムヰヤッセンのお芝居を観ているときは、いつも自分が生きていると言うことを強く意識するし、目の前で繰り広げられる世界が、他人のものだと思えなくなる。たとえ、その世界がファンタジーであっても、そこに自分が生きているような感覚がするの。だから、舞台の上で笑ったり泣いたりしている人たちに共感ができるし、北川さんの脚本の優しさに肩を叩かれて鼓舞されるような感じがするの。言うならば、その肩に乗せられた手の感触が「あたたかな手触り」に感じるのかも知れない。なんとなくわかるかな?

O君:なんだか、すごく優しくてあたたかいんですね……。全く観たことないですけど、なんとなく雰囲気が掴めてきました。

Kさん:ちなみに、これはカムヰヤッセンの公式HPにも載っているけれど、「カムヰ」はアイヌの神様で、「ヤッセン」は鹿児島の言葉で、<情けない・ふがいない>っていうような意味なんだって。

O君:じゃあ、劇団名からして、そういう情けなさみたいなものを肯定していく部分があるんですね!

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カムヰヤッセン劇団写真

Kさん:そうかも知れないわね。

O君:でも、北川さんはSFの世界を作り上げながら、人をあたたかい気持ちにさせるような作品に仕上げるなんてすごいですね!出身も東京大学だし、なんだか嫉妬しちゃいます(笑)

Kさん:O君はまず嫉妬する前にちゃんと調べるくらいのことはしなさい!

O君:すいません。じゃあ、僕にもKさんが感じたような「あたたかい手触り」が感じられるかどうか、実際に観てみますね!今回は、すべてが運で決まる村を舞台にした“豊かさ”を巡る話だそうですが……。Kさんは今回、どういう点に着目してご覧になりますか?

Kさん:うーん、私も実際のところ今回の公演の詳細は何もわからないから何とも言いがたいのだけれど、カムヰヤッセンの前回の本公演はもう1年半くらい前だから、そこから劇団がどういう方向に進もうとしているのか、そしてこの1年半の間にどのように変わったのかに注目して観たいと思います。

O君:そうですか。僕みたいな、初めてカムヰヤッセンを観る人は、他にどういうところに着目するといいでしょうか?

Kさん:カムヰヤッセンは物語のおもしろさもさることながら、もともと北川さんは舞台スタッフ出身だし、舞台美術に注目するのもいいんじゃないかな。公演特設blogでも注目して観てもらいたいという記載があったし、前回の番外公演『サザンカの見える窓のある部屋』でも重要なシーンでおもしろい舞台装置の使い方をして、より劇的な演出に成功していたわ。

O君:なるほど!じゃあ、劇場に入るのが楽しみになりますね!カムヰヤッセン『バックギャモン・プレイヤード』は2/9(木)~2/13(月)まで吉祥寺シアターで上演されます。皆様のご来場心よりお待ちしております。初めての方も僕と一緒に、ぜひともカムヰヤッセン初体験を楽しみましょう!

カムヰヤッセン『バックギャモン・プレイヤード』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/01/ev-120209.html

カムヰヤッセン公式HPはこちら!  http://kamuyyassen.daa.jp/