カンゲキのススメVol.3 ひょっとこ乱舞『うれしい悲鳴』

 

カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、3月3日(土)から上演が始まる、劇団ひょっとこ乱舞『うれしい悲鳴』です。

 

O君:カンゲキのススメ、早くも3回目です。あっという間ですね。手応えはどうですか?

Kさん:手応え?いや、それは何とも……

O君:カンゲキのススメ第3回は3月3日(土)~11日(日)に吉祥寺シアターで行なわれる、ひょっとこ乱舞の『うれしい悲鳴』について、Kさんと共にお話をしていきたいと思います。

Kさん:O君、ひょっとこ乱舞が大爆破するのは知っている?

O君:え、テロ事件ですか!?危ないじゃないですか!すぐ警察に知らせなくちゃ。

Kさん:それはどこまでがマジで、どこまでがボケなの……?

O君:もちろん全部ボケですよ。もっとちゃんとツッコミ入れて下さいよ。

Kさん:関西人じゃないしそんなの無理よ。じゃあ、知っているんだね。

O君:それくらいはちゃんと調べてありますって!ひょっとこ乱舞公式HPに載っている、主宰で脚本・演出の広田淳一さんのロング・インタビューを読みましたから。まだまだ発表されていない部分も多いですが、劇団名を変えるけれども基本的には継続路線って感じですかね。

Kさん:そうみたいね。基本メンバーは変わらないけれど、新しいサイクルを歩み出すために区切りをつけるのが「大爆破」なのかなと、私は解釈しています。

O君:そういえば、新しい劇団名は「アマヤドリ」に決まったそうで。

Kさん:え、そうなの?どうやって知ったの?

O君:僕、広田さんのtwitterフォローしていますから。そこで発表していましたよ。

Kさん:そうなんだ。情報ありがとう。私もちゃんと使い方覚えようかしら、twitter。

O君:それは若い僕の方が得意分野ですから。教えますよ!

さて、本題なのですが、ひょっとこ乱舞も僕は観たことがないんです。どういう劇団なのか、どういうお芝居をするのか少し教えていただけますか?

Kさん:私がひょっとこ乱舞を観ていていつも感じるのは、舞台の空間に広がる世界が圧倒的だということかしら。

舞台の上にファンタジー世界が作り上げられる感じかな。そこではもちろん、脚本をてがける広田さんの描く「物語」が展開されていくのだけれど、ただ「物語がファンタジーを生み出す」という単純な図式じゃなくて、俳優の語る言葉が世界を作り出し、俳優の身体/動きがそれを強固に支えているの。

O君:むむむ。Kさん、今日はいきなり難解モードですね。もう少し噛みくだいていただけますか?

Kさん:つまり、そのファンタジー世界がどんなに趣向を凝らした面白いものであっても、基本的にはそれが世界として「成立」していなくてはならないじゃない?ナンセンスもので、それが成立していないことが笑えるというような場合もあるけれど、それはちょっと例外として。ひょっとこ乱舞の舞台で作り出される世界は、広田さんが「物語の力を信じたい」と言っているように、物語性の強いものなの。

O君:すごいドラマティックなんですかね?!

K君:でもね、それはただストーリーがファンタジーで、面白くて、ドキドキして、といったようなことだけではなくて、舞台の上に立っている俳優から発せられる言葉の1つ1つ、それは早口の会話であったり、詩的なモノローグであったり様々なのだけれど…。

それらが舞台の上で、そして私たち観客の中で積み上がっていき、はっきりとした輪郭を持った物語世界を構築していくの。

O君:その「言葉」というのは単純に、話される内容、ということなのでしょうか?それともやはり、それを超えたなにかがあるのですか?

Kさん:それはおもしろい質問ね。そうね、その「言葉」というのは、単純に文字が持つ意味内容の問題だけではなくて、口調であったり声量であったり、表情であったり言葉を発するときの身体のあり方であったり、そこに至るまでの過程であったりと、いろいろな要素が含まれているわね。でも、それは日常の会話でも同じよね。

O君:「ありがとう」って言っているのに目が笑っていない人は、本当は「ありがとう」って思っていないんだなとか、そういうことですかね…?

Kさん:なんでそういう例えになるかよくわからないけど、まあそうなんじゃないかしら。私が口でO君にいくら厳しいことを言っても、私に嫌われているとは思わないでしょ、っていうことよ。

O君:……。ありがとうございます(目をそらして棒読み)

Kさん:(きっとO君をにらんで)で、話を元に戻しましてもよろしいかしら?

O君:冗談ですよ。どうぞ、続きをお願いします。その言葉を身体や動きが支えている、というのはどういうことなんでしょうか?

Kさん:さっきも言ったとおり、「言葉」にはいろいろな要素が含まれているわ。でも、小説のように、言葉が言葉単体で成立しているメディアがあるわよね。それに、台本を見ながら読むことは「朗読」と言われるわよね?そういった他の表現方法との違いになって、舞台を舞台たらしめて立体化させるのが身体だと、私は考えているの。ひょっとこ乱舞の舞台の場合、他の公演にもまして情報量の多いテキストを単なる言葉の羅列や応酬で終わらせてしまうことなく、きちんとその情報の1つ1つが俳優の身体と結びついて、それがどういう意味、ないしは感情を伝えていて、舞台という広くはない空間に私たちが生きているのとはまた別の1つの「世界」を形成していくの。だから、広田さんの書くテキストは理解が難しい部分もあるけれど、だからといって、何をやっているのかわからない、どういう話かわからないということはなく、観客をその物語世界に呑み込んで、その世界への旅に連れ出すような力強さを持っているわ。

O君:なるほど。舞台上で繰り広げられる世界を旅しているような感覚ですか…。ワクワクしますね!ところで、ひょっとこ「乱舞」っていうくらいですから、みなさん乱舞するんですか?

Kさん:「乱舞」っていうとなんだか入り乱れているような感じがするけれど、どちらかと言えば「群舞」と言った方が適当かな。ひょっとこ乱舞の舞台は大人数が出ることが多いのだけれど、その集団を広田さんが、クラッピング全員が同じ動きをする振付などを取り入れながら、統率して1つの形を与えていくという。今回もこの群舞があるかはわからないけれど、ひょっとこ乱舞の大きな特徴の1つであることは間違いないわ。

O君:なるほど!ひょっとこ乱舞の集大成の作品ですし、群舞にも期待できそうですね!『うれしい悲鳴』の公演ブログでは出演者紹介も行われていますし、公演特設サイトでは広田さんをはじめとしたキャスト陣のインタビュー動画もありますので、そちらを事前に見ると、作品もより楽しめるかも知れませんね!

ひょっとこ乱舞の『うれしい悲鳴』は3月3日(土)まもなく開演致します!お楽しみに!!

 

 

『うれしい悲鳴』公演詳細ページはこちら

ひょっとこ乱舞公式HP http://hyottoko.sub.jp/

『うれしい悲鳴』公演特設サイト http://hyottoko.sub.jp/ureshii_himei/