カンゲキのススメVol.6 東京タンバリン「婦嶽百景」


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。
今回取り上げるのは、5月18日より上演が始まる東京タンバリン『婦嶽百景』です。 


O君:東京タンバリン『婦嶽百景』のプレイベントとして行なわれた「吉祥寺お散歩」、実はボクも参加してきました!

Kさん:わたしも参加したわ。役者さんたちが考えたストーリーの世界に入り込んで吉祥寺の街を歩くのは、新鮮な感覚だったよね。ちょっと気恥ずかしくもあり、楽しくもあり。

O君:僕も最初はちょっと恥ずかしくて、なんか変ににやけちゃったり、顔が赤くなっちゃったりして、周りの人から「大丈夫ですか」って聞かれちゃいましたよ。

Kさん:O君それじゃ完全に変質者じゃない...?一緒に参加しなくてよかったわ。恥ずかしい...。

O君:そんなことないですよ。さすがにそれは言い過ぎです。それに、結局僕は、全部のコースで「お散歩」してきたから、もう「お散歩演劇のマスター」ですよ!

Kさん:それじゃ、もちろん、東京タンバリンについても詳しくなったわよね?

O君:・・・・・・(目を反らす)

Kさん:東京タンバリンの公演を観たことはある?

O君:Youtubeに動画が上がっているのでそれだけは...。高井浩子さんという女性の方が、劇作・演出を手がけているんですよね。そういえば、今年のラインナップで、女性が劇作や演出を手がけるのって、この東京タンバリンと、2月のミクニヤナイハラプロジェクト(矢内原美邦さん)だけですね。

Kさん: 女性の劇作家や演出家さんってまだまだ多くないものね。同じ女性としてはもっともっと女性の方が増えることを期待しているわ。

O君:Kさんも自分で書いてみればいいじゃないですか!?

Kさん:いやあ、チャレンジしたこともあるんだけど、それがもうつまらないつまらない。世の中の作家さんってみんなすごいわね。O君も1度自分でやってみるといいわよ。自分の抱いている根拠なき自信が一瞬で崩れるから。そうすると、つまらないお芝居を観てもあんまりイライラしたり腹立ったりしなくなるわよ。

O君:お芝居を作ったり、おもしろいお話を書いたりっていうのは本当に大変なんですね...。それで、東京タンバリンってどういうお芝居なのでしょうか?実はYoutubeだけではよくわかりませんでした。

Kさん:私が初めて東京タンバリンを観たときは、オーソドックスなお芝居だなと思いながら観ていたんだけれど、でも観終わった後にただそれだけではない、後味の悪さというか、なにかごろっとした石の塊みたいなものがお腹に残るような感覚があったのね。大きなドラマがあるわけではないし、最後に全てを凌駕するようなカタルシスが待っているわけでもない。そういう意味では表面的にはサラッとした感じで始まり終わっていくのだけれど、それでもなんとなくひっかかるものが残っていて、それが気になって気になって仕方なくて...。

O君:ほうほう。で、それは何だったんですか??

Kさん:O君は、自分のこと合理的な人間だと思う?

O君:へっ?!なんですか、いきなり??

Kさん:たぶんね、自分では「当たり前」「普通」「当然」と無意識に思いながら生活しているんだけれど、人によってそういう「当たり前」だったり「普通」だったりはもちろん違うわけじゃない?だから、当の本人には当たり前の行動や言動を、他者が非合理的に感じたり、不条理に思ったりすると思うのね。東京タンバリンのお芝居は、そういう人間関係が折り重なっているのが、何気ない会話や登場人物の行動から滲み出来るのね。それは観ていてもちょっとイライラするというか、「なんでそんなことするのよ!!」なんて思ったりするんだけど、でもよくよく冷静に考えると自分だって同じようなことをしているし、そういう行動をとっちゃう気持ちもわかっちゃうのね。

O君:「人間は当たり前に不条理である」ということですか...?

Kさん:そうそう。なんかO君カッコイイこと言うわね!人間が当たり前に持っている不条理さや非合理性を、ことさら肯定するわけでも否定するわけでもなく、ありのままを描き出しているわ。たぶん私は不条理さみたいなものがとても気になったんだと思うの。当たり前すぎて人間や社会の非合理性や不条理さって忘れちゃいがちなのよね。

O君:Youtubeで見ている限りではそんなに暗い感じにも見えませんでしたが...?

Kさん:ええ、全然暗くはないの。特に最近の「ロマン」(2011年、三鷹芸術文化センター)や「お買い物」(2010年、下北沢駅前劇場)なんかは高井さんご本人も明るく「カラリ」とした作品を意識して作り上げたとインタビューで語っているわ。むしろ、舞台や照明、俳優の動きなどはものすごく意識的に「キレイ」に作られている印象があるかなあ。

O君:高井浩子さんって、映画監督の本広克行さんと一緒に舞台製作を行っていますよね?高井さんが脚本を書いて、本広監督が演出で。

Kさん:Fabricaシリーズね?よく知っているわね。

O君:僕、「踊る大捜査線」のファンだったので、本広監督はよく知っているんですよ。でも、実は舞台はまだ拝見したことがなくて...。

Kさん:実は、私もこのシリーズは観たことないのよ。

O君:次は是非行きたいですね!ところで、今回の作品タイトルは『婦嶽百景』。これは葛飾北斎の「富嶽三十六景」や太宰治の小説「富嶽百景」をもじったものかと思うんですが、僕は太宰治の印象が強いですね。「富士には、月見草がよく似合ふ。」という一節で知られる作品ですが、巨大で誰もが美しい、すばらしいと絶賛する富士山と、その片隅にけなげに咲く月見草を比較して書かれたと言われています。

Kさん:へー、O君は太宰なんて読むのね。私、太宰嫌いだから、今回の東京タンバリンの公演が決まるまで、それ知らなかったわ。葛飾北斎の絵は知っていたけどね。あんな奴、女の敵だわ。

O君:おー怖っ。(2,3歩下がる)僕は女の敵なんかじゃないですよ・・・・・・

Kさん:まあ、それはともかく、東京タンバリン『婦嶽百景』では、その美しさや、見る角度や場所によって姿を変える富士山を女性に喩えているのよね。女として、主婦として、女性がどのように生きていて、生きていくべきか。高井さん独特の視点で書かれた見所の多い作品になると思うわ。私も1人の女としていろいろ悩み多き日々だから、すごく楽しみだわ。めちゃくちゃ共感しちゃいそう...。

O君:Kさんに悩みがあるなんてなんか信じられないですね-。好き勝手生きているものだとばかり...。あ、婚活うまくいっていないんですか?

Kさん:なんか言ったかしら?(O君をキッと睨みつける)

O君:ひーっ!!! 

Kさん:世のレディにはO君みたいなおこちゃまにはわからない、いろんな悩みがあるのよ。『婦嶽百景』を観て、少しはリアルな女性像を学びなさい!

O君:は、はいっ!(ビビリ) あ、そうだ。どうやら今回は吉祥寺シアターの舞台の使い方がちょっと異なるようですね。

Kさん:そうなのよ。いつもは、舞台があって、お客様には舞台を正面から見ていただくようになっていますけど、今回は客席部分も取っ払って、全体を平場にしての囲み舞台です!

O君:円形の舞台を4面から見るような形になるみたいですね。僕、初めてですよ、囲み舞台。楽しみです!そういえば、Youtubeに「婦嶽百景」の稽古風景を映した動画も載っていて、少しだけ雰囲気が味わえそうでしたよ!



Kさん:そんなこんなでいろいろと見所満載の東京タンバリン『婦嶽百景』は、5月18日から27日まで吉祥寺シアターで上演です。吉祥寺シアターでもチケットを取り扱っていますが、土日を中心に残券が少なくなってきております。ご予約はお早めにどうぞ!

O君:1人でも多くの皆様のご来場心よりお待ち申し上げております。

    
東京タンバリン「婦嶽百景」公演詳細ページ
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/02/post-2.html

チケット予約はこちらから!
https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=17&type=O

東京タンバリン公式HP
http://tanbarin.sunnyday.jp/