カンゲキのススメVol.8 文学座「エゲリア」


 

カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、9月より上演が始まる文学座『エゲリア』です。 

 

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
文学座『エゲリア』 9/7(金)~9/23(日)
公演詳細→ http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/06/post-6.html


 

O君:こんにちは!毎日暑いですが、皆様いかがお過ごしですか?残暑が厳しくなりそうですが、9月の吉祥寺シアターでは7日(金)から文学座『エゲリア』が上演されます!2週間以上の長丁場です!

Kさん:あの天才前衛芸術家・岡本太郎の母である小説家・岡本かの子の破天荒な人生に迫った物語ね。

O君:チラシのインパクトがすごいですね!「型破りな家族のドラマ」ということですが、この芝居、どういう所に注目して観ると良いでしょうか。

Kさん:岡本かの子という一人の女性の、爆発的なまでの「生きることへの情熱」を感じてもらいたいわね。この作品、実に多くの男たちがかの子の創作活動に自分の命を捧げて尽力するの。それってかの子自身に容姿やステータス以上に男性を虜にする力があったからだと私は思っていて、その一つが他人を惹きつけてやまない生命力の強さ、生きることへの情熱だと思うのよね。
舞台となっている時代は、戦時体制下で多くの人々が節制をして生きた時代よ。そんな灰色の日々の中だからこそ、かの子の書いた絢爛豪華な「生命の小説」は多くの人々に受けいれられたのかもしれない。時代の女神とも言えるかの子のために、自分の人生を捧げて力を尽くしたいという人々がいたのもうなずける気がしない?

O君:夫・岡本一平の了解のもとで、かの子の愛人を岡本家に同居させるという、常識では考えられない家族関係が出来上がっていくんですよね。僕が夫だったらやっぱり嫌かも・・・でも岡本かの子という女性には、それらをすべて良しとさせるくらいの並々ならぬ魅力があったのでしょうね。かの子をサポートし続けた男性陣も、心からかの子を愛していたように思えます。

Kさん:私もそう思う。常識や世間の目といった枠を蹴散らし、ぶつかり合いながらも互いを高めあって生き抜いた岡本家の人々が織り成す人間ドラマは、今の現代社会にも大きな疑問を投げかけることになると思うわ。
自分に正直に、一人の人間として命を全うしたかの子。「人として生きる」とはどういうことか、考えながら観てみるといいかもね。

O君:この作品を、2007年に創立70周年を迎え、現在もなお精力的に活動を続けている文学座が手がけます。

Kさん:文学座は脚本や演出、役者の演技などどれをとっても日本のトップクラスに値すると思うわ。それでいて歩みを止めず、常に新しい才能を発掘し続けているしね。新劇を代表するあらゆる劇団の最高峰とも言えるんじゃないかな。演劇を見始めたばかりの人や、まだ一度も観たことの無い人のほうがまだまだ多いわけ。何かを始めようとする人にとって第1歩目というのはかなり重要になってくると思うんだけど、この作品はその第一歩目にふさわしいものになると思うの。だから演劇を見慣れてない人たちにこそ勧めたい作品ね!

O君:演劇になじみのない友達を連れて観に行こうかな!

 

 

更に詳しく『エゲリア』に迫る!

O君:そうだ、そもそも『エゲリア』ってどういう意味なんだろうと思って調べてきました。「イタリアの古伝説に登場するヌマ王の妻の名。処女性と母性をあわせ持つ、男性にとって永遠の女性の意。」とのことです。

Kさん:処女性と母性をあわせ持つ、というところがポイントよね。かつて岡本太郎が母・かの子のことを「少女のような人」と言っていたけれど、まさにその通りね!

O君:世間では岡本太郎のほうが身近に思えませんか?「太陽の塔」や、東京で言うとJR渋谷駅に岡本太郎の作品が大々的に飾ってありますよね。僕も正直岡本太郎を知ってから母親であるかの子の存在を知ったのですが、歌や小説を読んでみてまさしく「この親にしてこの子あり!」といった印象を受けました。

Kさん:かの子が小説家として大成したのは晩年になってからなのよね。はじめのうちはその女性的で優美な歌のほうに注目が集まっていました。「桜ばな いのち一ぱい咲くからに 生命をかけてわが眺めたり」という歌は有名ね。「桜の花が、花のいのちを精一杯に咲いたから、生命がけで、私も桜を眺めたのだったよ」という意で、この歌にもかの子の「生への情熱」が垣間見られる気がするの。かの子の桜好きは有名だったみたいだけど、まるで何に対しても真摯に向かい合うかの子の生き方が反映されているようだわ。

O君:僕はこの歌が好きです。「年々に わが悲しみは深くして いよよ華やぐいのちなりけり」。様々な事を経験して、酸いも甘いも知って、命は削れていくばかりだとわたしたちは思いがちですが、彼女は違うんですよね。「それでこそ人生」と言い切る彼女はたくましさすら感じます。

Kさん:こうやっていくつかの和歌を見ただけでも、岡本かの子という女性は私たちをひきつける何かを持っているなと感じるわ。きっと周りの男たちも、世の人たちもそうだったのね。そして明治時代から平成へと時が流れても、今なおかの子の小説や作品はたくさんの人に愛されているわ。

O君:いやあ、知れば知るほど深みのある女性だなあ。男性陣の気持ちが徐々にわかってきました!(笑)
さて、話は変わりますが、今回の作品を彩るスタッフさんたち、豪華な布陣だと噂で聞きました!いろいろな賞を受賞してきたと。

Kさん:今回作曲・演奏を担当する後藤浩明さんが読売演劇大賞優秀スタッフ賞受賞、美術を手がける二村周作さんは、読売演劇大賞最優秀スタッフ賞や伊藤熹朔賞新人賞などを受賞するなど、スタッフワークにもかなり力が入っているわ。表舞台を支えるスタッフワークにも要注目ね!

O君:演出はこれまた数々の演劇賞を受賞し、大劇場から小劇場まで股にかけるベテラン演出家の西川信廣さんです!

Kさん:そして役者陣は若い役者さんが多いそうよ。若く隆々とした力と熟練された実力があい混ざって、文学座ならではの、そして文学座にしか出来ない味わい深い作品になることを期待したいわ!

O君:文学座『エゲリア』は吉祥寺シアターにて9月7日(金)~23日(日)まで開催予定です。公演期間中の9月7日、10日、11日夜は夜割もやっているそうですよ。チケットのお求めがまだの方は、ぜひ武蔵野文化事業団チケット予約までお電話をどうぞ。さあー楽しみになってきたぞ!

Kさん:私も岡本かの子の生き様を見て、魔性の女っぷりを勉強してくるわ!!!

O君:(Kさん無理しないで・・・!)



文学座『エゲリア』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/06/post-6.html

文学座HP  http://www.bungakuza.com/
公演特設ブログ http://ameblo.jp/bungakuza-egeria/