カンゲキのススメVol.21 ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、1月30日より吉祥寺シアターで上演が始まるミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』 です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』 1月30日(木)~2月2日(日)
公演詳細→http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/10/-vol8.html

















O君:みなさま、ご無沙汰しております。早いもので2014年に入りましたね。毎年のことですが、年末年始と実家に帰省し、ぐうたらな生活をおくっていたので体の重さがちょっと心配な今日この頃です。さて今年第一回目のカンゲキのススメということで、ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』を取り上げます!はりきってまいりましょう!

Kさん:たしかにO君、ちょっと見ない間に首元周りがぷよぷよしてきたような・・・そんなことはさておいて、カンゲキのススメ今回は1月30日からはじまるミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』を取り上げるのね。ミクニヤナイハラプロジェクトは昨年の『静かな一日』に引き続き、カンゲキのススメには2回目の登場ね。(前回のカンゲキのススメはこちら→)重なるところもあるかもしれないけど、ミクニヤナイハラプロジェクトについて何か説明できることはあるかな、O君。

O君:(首元を少し気にしながら)・・・・は、はい、ミクニヤナイハラプロジェクトは振付家として活動している矢内原美邦さんが2005年に演劇作品を製作するために立ち上げた団体です。矢内原さんはそれ以前から『ニブロール』というダンスカンパニーの振付・代表として活動をされています。ニブロールは振付家、ダンサーだけではなく、音楽・美術・映像など各分野の第一線で活躍しているアーティストもカンパニーのメンバーとして参加していて、完成度の高い作品を次々に発表しています。

Kさん:そうね、それと矢内原さんと映像作家の高橋啓祐さんが身体と映像の空間作りを実践する『オフニブロール』というユニットとして、こちらもニブロール同様海外へも活動の幅を広げているわね。ちなみに高橋さんはミクニヤナイハラプロジェクトの映像も担当されていて、もちろん今回の『シーザーの戦略的な孤独』でも担当されるそうよ。とても楽しみだわ。

O君:そうですね。矢内原さんは愛媛県今治市のご出身で、高校在学中にひょんなことからダンス部に入部することになり、その後大学でも舞踊を専攻されていたそうです。卒業後は映像学校で映像製作を学び、そこで出会った同級生と一緒に映像とダンスを組み合わせて作品を作ったことがきっかけで、舞台作品を作り始めるようになったそうです。

Kさん:細かく調べてきているわね、さすがO君。矢内原さんの活動は、振付家としてダンスというジャンルだけに収まらず、演劇はもちろんのこと、映像や美術、音楽など様々なジャンルを横断して舞台作品を製作しているというのが大きな特徴の一つといえるわね。

O君:そうですね、それに昨年からは関西の大学で教鞭を執るなど、積極的に関東以外の地域や海外へ出向き、作品製作や発表をしている印象があります。そうやって幅広く活動できるのも、他のジャンルと真摯に向き合い作品を作り上げることができるという強みがあるからなんでしょうね。

Kさん:そうね。矢内原さんのすべての活動に共通しているのは「振付家として、身体をどのような空間において、どのような状態で見せるのか」ということ。そのことへの凄まじい追求が作品にあらわれているような気がするわ。

O君:たしかに、ミクニヤナイハラプロジェクトの舞台の特徴は、これでもかというほど高速で発せられる台詞、次から次へと動き回る役者の運動量、矢継ぎ早に変化していく舞台美術や映像などがあげられます。そしてそれぞれの要素が緊密にシンクロし、一つの完成された作品として成立しているんですよね。

Kさん:よくミクニヤナイハラプロジェクトの舞台は「疾走感」や「ドライブ感」といった言葉で称されることがあるけど、観る側に少しの隙も与えないスピーディーな展開は、観客をも飲み込んでいってしまうような恐ろしいほどのパワーを感じるわ。

O君:台詞や物語を追って作品の世界観を読み取ろうという演劇の見方よりは、舞台上で次々に繰り出される混沌とした情報の渦に、観客も身体や感情を預けるといった感じに近いのではないでしょうか。劇場を後にしてもその余韻がずっと漂っているような、そんな感じがします。そもそもこういったスタイルになったのは、矢内原さんがはじめて舞台作品を作ったときに、台本の量が多すぎて限られた時間内に収まらず、高速で台詞を話して短縮させようと考えたことがきっかけだそうです。

Kさん:それがはじまりだったのね!あの膨大な台詞と身体の動きを次々に繰り出す役者さん達の稽古量もすごいものがありそうね。見ている観客にも役者さんの圧倒的な身体性が否応無しに伝わってくると思うわ。

O君:やっぱりダンスから出発していることもあって、矢内原さん独自の身体への視点が作品にもかなり影響しているといえそうですね。そして2012年には、シェイクスピアの「アテネのタイモン」を下敷きにした『前向き!タイモン』が、第56回岸田國士戯曲賞を受賞しています。振付家・ダンサー出身の方が演劇界の芥川賞と言われている岸田賞を受賞するなんて前代未聞ですよね。たとえるならソフトボールの選手が沢村賞をとるようなものですよ、Kさん!!

Kさん:のってきたわね、O君・・・その例えが最適かどうかは別として、それほどまでにすごいことだと言いたかったのよね。そして今回はその「アテネのタイモン」に引き続き、シェイクスピア原作の「ジュリアス・シーザー」に挑むのよ。

O君:「ジュリアス・シーザー」といえば、シェイクスピア作の悲劇で、戦に勝利し、皇帝になろうとするローマの将軍ジュリアス・シーザーに対する暗殺計画をめぐる物語です。

Kさん:そうね、その話を下敷きにしながらも今回矢内原さんは「悲劇」をあえて「喜劇」として描くことにチャレンジするそうよ。登場人物は女の体になってしまった男、影に飲み込まれる男、命が残り短い男の3人。作品のキーワードは「空を見上げる」だそうよ。今回の作品について矢内原さんのインタビュー映像が公開されているわ↓

O君:おぉ、インタビュー映像を見ると作品に対するいろいろな想像が掻き立てられますね。部屋に一人でいるという孤独より、大勢の中で空を見上げるという行為に孤独を感じるというのは矢内原さん独特の感じ方といえそうです。その孤独の中で人はどのように希望を見出すことができるのか、今のような時代だからこそ向き合うべきテーマのような気がします。

Kさん:そうね。それに映像の中で矢内原さんがおっしゃっている新しい演出方法にチャレンジしているというのも気になるわね。矢内原さんは2005年に吉祥寺シアターの杮落とし公演のひとつとして、ミクニヤナイハラプロジェクト初の作品『3年2組』を発表して以降、定期的に吉祥寺シアターで公演を行ってくださっている、とても縁の深いアーティストなのよ。進化し続けているミクニヤナイハラプロジェクトの舞台は必見ね!

O君:ということでミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』は1月30日から2月2日まで、5回公演という限られた回数なので貴重な公演になることまちがいなし!ぜひお見逃しのないようにお願いします!みなさまのご来場心よりお待ちしております~


『シーザーの戦略的な孤独』は吉祥寺シアターにて1月30日~2月2日まで上演されます!チケットのお求めがまだの方は、ぜひ武蔵野文化事業団チケット予約までどうぞ!

ミクニヤナイハラプロジェクト『シーザーの戦略的な孤独』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/10/-vol8.html
チケット予約はこちらからどうぞ! https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
ミクニヤナイハラプロジェクトHP http://www.nibroll.com/myp/caesar/strategic_loneliness.html