カンゲキのススメVol.22 オーストラ・マコンドー『さらば箱舟』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、2月6日より吉祥寺シアターで上演が始まるオーストラ・マコンドー『さらば箱舟』です。 


【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
オーストラ・マコンドー『さらば箱舟』 2/6(木)~16(日)
公演詳細→ http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/10/post-20.html

O君:こんにちは!冬真っ盛り、皆さま風邪などは引かれていませんか?注目の公演目白押しの2014年冬でありますが、本日ご紹介させていただくのは劇団オーストラ・マコンドー『さらば箱舟』!ノーベル文学賞受賞作家・ガルシア=マルケスの名著「百年の孤独」を奇才・寺山修司が映画化した作品「さらば箱舟」の舞台化に挑戦します。

Kさん:今回はとにかく見どころが盛りだくさんなのよね!それぞれの見どころについてはこれからきちんと説明していくけれど、ます最初に一言。これまでにオーストラ・マコンドーの作品を見たことのない方も、寺山修司ってどんなことやってたんだ?という方も、是非一度足を運んでいただいてこの作品世界にどっぷりと浸かっていただきたいです。そして寺山修司通の方には、あの唯一無二の“寺山ワールド”が、ハートウォーミングな演出を得意とする倉本朋幸さんの手によってどんな世界へと変貌するのか、これまでと一味違う、新しい寺山修司の魅力をお楽しみいただければ幸いです!

O君:ほほ~!Kさん、今日は初っ端から気合が入っていますね!僕も気合入れて頑張ります!フンッ!

Kさん:O君、ちょっと鼻息がうるさいからやめてくれる?

O君:すいません・・・

Kさん:さてO君、ガルシア=マルケスはコロンビア出身の作家ってことは知っているかな。非日常と日常が融合し合うことで生まれる豊潤な世界を描き出す“魔術的リアリズム”の旗手として数々の作家に多大な影響を与えた人よ。ガルシア=マルケスの作品は「コレラの愛」という作品に加えて、今回の『さらば箱舟』の下敷きとなった「百年の孤独」が、ノルウェイ・ブッククラブによって「世界傑作文学100」に選ばれているの。そして1982年にはノーベル文学賞を受賞しているわ。

O君:僕も「百年の孤独」についていろいろと調べてきました。初版は1967年、日本語版は1972年に発行されたそうです。日本の作家にも大きな影響を与えていて、寺山修司はもちろん、大江健三郎や中上健次、筒井康隆らが影響を受けたと明言しています。
大まかなあらすじですが、ある一族が「マコンド」と呼ばれる村をつくり、そこで繰り広げられる一家の興隆から衰退までを何世代にも渡って描いている作品なんですよね。その期間なんと一世紀。読破するのも一苦労と言えそうな、壮大な作品となっています。そして今回の作品を上演する劇団オーストラ・マコンドーの演出・倉本朋幸さんは、「マコンド」という村の名前が自分の劇団の名前と重なっているという点に強い縁を感じたそうです。

Kさん:へえ~知らなかった。不思議な縁があったのね。さて先にも出てきた寺山修司。彼はこの「百年の孤独」に感化され、当時彼が主宰として活動していた劇団「天井桟敷」の演目として上演したそうよ。これが1981年のこと。天井桟敷が上演したこの作品を通じて、「百年の孤独」という作品を知った人たちも多かったんじゃないかしら。

O君:この上演後、寺山修司はさらに新たな着眼点と筋を書き換えて、映画「さらば箱舟」を作り始めるんですよね。出演者に原田芳雄さんや小川真由美さん、山崎努さん、三上博史さんらを迎えて、舞台となった沖縄の地で病気と闘いながらの撮影だったそうです。そして結果として、映画「さらば箱舟」は寺山修司の遺作映画として1984年に発表されました。

Kさん:この映画では沖縄のとある村で、時任という権力を持った一族の百年間が描かれているのよね。彼らは村中の時計を取り上げて埋めてしまい、“時間”という概念を時任家だけのものにしてしまう。村の権力を欲しいままにしていた彼らの生活が、あることをきっかけにどんどんとほころんでいくの。「人間は中途半端な死体として生まれてきて、一生かかって完全な死体になる」「百年経ったらその意味わかる、百年経ったら帰っておいで」といった有名な台詞も映画の中に出てくるわね。

O君:過去と現在、未来が1枚の系譜になっているような、現実と空想が入り混じる“寺山ワールド”が存分に感じられる映像となっていますよね。この「さらば箱舟」、過去には関西の劇団ニットキャップシアターが2012年に舞台化しています。僕の知るところだとそれ以来の舞台化となる訳ですが、なんと今回出演者が総勢80人強ということで、どんな作品になるのか今から楽しみです!

Kさん:オーストラ・マコンドーは昨年3月に上演した「素晴らしき哉、人生!」に続いての登場ね。演出の倉本朋幸さんは、カフェのような小さなスペースから中劇場まで様々な演出をされているわ。岸田國士の戯曲や歌舞伎作品をはじめ、古典や映画作品からファッションショーとのコラボレーションに挑戦するなど、ジャンルにとらわれず幅広く活動している演出家さんね。

O君:「素晴らしき哉、人生!」はフランク・キャプラ監督の映画作品で、原作の通り心温まる舞台になっていましたよね。あっ、その作品の舞台写真があるみたいですよ。写真からも、ハッピーな雰囲気が伝わってきますね。

 

 

 

 

 

Kさん:倉本さんが演出する作品を観ていると、一定の共通認識がなされている作品からも、わたしたちが気づかなかったような新たな発見が出来たり、違った視点から作品世界を眺めることが出来るのよね。基本的には原作に忠実ながらも、独特の描き方をする演出家さんだなあという印象があるわ。「このシーンをこういう風に描くのか」という新鮮な驚きを楽しみながら観ていただけるといいんじゃないかしら。

O君:昨年の12月7日、8日には『さらば箱舟』の上演に先駆けて、コピス吉祥寺ウッドデッキにてプレイベント「書を捨てよ、町へ出よう」も行われたんですよね!当日は異様な盛り上がりで、ちょうど日が暮れかける頃に木造の飛行機が宙に浮かぶシーンには息を飲みました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Kさん:わたしも見たけどすごかったわ。このプレイベントに出演した役者さんたちはほぼ全員『さらば箱舟』にも出演するそうよ。それから覚えている方もいるかと思うんだけど、上演中、お客さんの周りをビデオカメラを抱えて撮影している女性がいたのよね。実はこの方、映画監督の池田千尋さんという方で、これまでに西島秀俊主演「東南角部屋二階の女」という長編映画を監督されていたりする方です。この方が今回の『さらば箱舟』でも、映像担当として舞台上をあらゆる角度から撮影するみたい。その映像がどのような効果を作品に与えるのか、それも見どころのひとつといえそうね。

O君:モニターをいくつか設置するという話も聞いているので、池田さんの手腕の見せ所ですね!他に僕が聞いているのは、今回の芝居は舞台上のあちこちでそれぞれの物語が同時に行われる「同時多発型」の演劇になるそうです。当時前衛的と評された寺山修司の演出方法を取り入れる形になるわけですが、正直なところ一体どんなお芝居になるのかまだ想像が付きません。

Kさん:そうね。昔から寺山修司を好きな人たちにも納得して楽しんでもらえて、演劇を見慣れていないお客様にも敬遠されずに喜んでもらえるような芝居を作ろうとすると、とても大変な挑戦になることは間違いないわね。だけどその分注目度も高いので、期待して上演を待とうと思うわ。

O君:公演が楽しみですね。そんな劇団の挑戦を強力に支える出演者の皆さんの紹介をしたいと思います。作品の中心人物として名前が挙がっているのが仁科貴さん、若松力さん、趣里さん、梅舟惟永さんの4人。仁科貴さんは昨年の「素晴らしき哉、人生!」に続いての出演です。昨年とは全くタイプの違う役柄を演じることになるので、どのような演技が観られるのか今から楽しみです。それから若松力さん。俳優・若松武史さんを父親に持ち、新国立劇場や彩の国さいたま芸術劇場など大劇場での出演歴がある実力派俳優さんです。

Kさん:趣里さんは水谷豊さんと伊藤蘭さんの娘さんで、これまではテレビドラマや映画への出演が多かったみたい。わたしはまだ舞台で趣里さんの演技を見たことはないけれど、現在稽古中のオーストラ・マコンドーのプロデューサーさんからは「趣里さんの魅力が溢れ出ていてとにかくすごいことになっています!!」との声をいただいたから、本番が待ち遠しいわ!

O君:きっと物凄いことになっているんでしょうね!笑 

Kさん:それから梅舟惟永さん、「うめふねありえい」と読む女優さんね。小劇場で活動する劇団「ろりえ」の役者さんで、最近はテレビドラマでレギュラー出演をされたり映画に出演したりなど、期待の若手女優さんのひとりよ。以前ろりえの作品を観たときに、とても存在感のある役者さんだなあと思っていたから、今回どんな役をされるのか今から楽しみね。

O君:また今回の作品は、“寺山修司没30年記念認定事業”として開催されることが決まっております。2013年がちょうど没後30年ということで、2013年度はいろいろなところで寺山修司関連のイベントや芝居、展覧会などが行われているんですよね。(“寺山修司没30年記念認定事業” Twitterはこちら
またオーストラ・マコンドーのホームページでも「寺山修司を知る旅」と題して特集ページが作られています。テラヤマワールド代表の笹目浩之さんや、青森県にある寺山修司記念館の館長をされている佐々木英明さんへのインタビュー記事もあってボリュームたっぷりなので、是非観劇前にお目通しいただけると嬉しいです。

Kさん:というわけで、オーストラ・マコンドー『さらば箱舟』は吉祥寺シアターにて2月6日~16日まで上演されます!各ステージ終演後にアフターイベントも開催されるので公演と合わせてお楽しみくださいね。特に前半割引が適用される2月6~8日については、残券がかなり少なくなってきているので、気になるなあという方はお早めにチェックしてみてください。チケットのお求めは武蔵野文化事業団チケット予約までお電話もしくはネット予約で絶賛受付中です!皆さまのご来場お待ちしております!


オーストラ・マコンドー『さらば箱舟』 公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/10/post-20.html

チケット予約はこちらからどうぞ! https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
オーストラ・マコンドーHP http://www.austra.tv/hako01.html