カンゲキのススメVol.24 ティーファクトリー『荒野のリア』


 カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、3月13日(木)より吉祥寺シアターで上演が始まるティーファクトリー『荒野のリア』です!!

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
ティーファクトリー『荒野のリア』 3/13(木)~23(日) 公演詳細↓
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/11/post-21.html












O君:まだまだ寒さは残るものの、少し鼻がむずむずして来ました。花粉症の訪れと共に春の訪れももう少しです。3月に入り平成25年度も残り僅か、そして吉祥寺シアターシェイクスピアシリーズも残り僅か!今回はシェイクスピア最高傑作との呼び声高い『リア王』を元にしたティーファクトリー『荒野のリア』が登場します!!

Kさん:吉祥寺シアターシェイクスピアシリーズの中でも『リア王』の登場は三回目!やっぱり『リア王』は人気演目だし面白いのよね。今年度の一年間で私たちも『リア王』ツウになれた気がするわ!劇団「柿喰う客」・中屋敷法仁演出劇団SCOT・鈴木忠志演出と来て、最後を飾るのがティーファクトリー・川村毅演出の『荒野のリア』!!なんだけど、川村毅さんについてはもちろんリサーチ済よね。

O君:はい!もちろんです!!川村毅さんは劇団「第三エロチカ」の主宰を務め、1985年には『新宿八犬伝 第一巻 -犬の誕生-』で岸田國士戯曲賞を受賞されています!第三エロチカは時代を活写した舞台で人気を博し、国内外で高い評価を受け、日本の演劇シーンに欠くことのできない劇団となり、2010年に劇団結成30年の節目をもって正式に解散しました。「ティーファクトリー」は解散前の2002年に川村毅新作戯曲プロデュースカンパニーとしてスタートし、川村さんの最新作だけでなくイタリアの映画監督P.P.パゾリーニの作品を上演するなど精力的に上演を行っています!最近では川村さんが戯曲を手掛けた『4』が第16回鶴屋南北戯曲賞、平成24年度文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞し、さらに最新作『神なき国の騎士―あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?』がちょうど世田谷パブリックシアターで3月16日(日)まで上演中です!!

Kさん:うーん、最新情報まで入れてきたのは良かったけれど、あと一押しね!今回は川村毅さんとシェイクスピア作品の関係も押さえていたら完璧だったんだけど・・・。鼻づまりのせいかしらねー。川村毅さんは『ハムレットクローン』や『マクベスという名の男』というシェイクスピア作品の設定を利用しながら現代的な視点を加えた作品を手掛けていて、世界各国の国際演劇祭に招かれ賞賛を受けているの!その川村さんが手掛ける久しぶりのシェイクスピア作品で初の『リア王』ということで、さらに期待が高まっているのよ!

O君:そうなんです。鼻がつまって本調子じゃないだけですよ!いつもはもっと優秀なんですよ!!というわけで『リア王』のあらすじについては柿喰う客女体シェイクスピア004『失禁リア王』のカンゲキのススメを参考にしていただいて・・・。今回は女体シェイクスピアとはまさに真逆!男優だけで上演する『リア王』になるんですよね。

Kさん:シェイクスピアが戯曲を書いていた当初は女性役も男性が演じていた、という事はこのカンゲキのススメでも何回か紹介しているわよね。今回は「男優だけ」のというところがキーワードになるわね!

O君:でもシェイクスピア作品を男優だけで上演するオールメール作品は最近では日本でも良く上演されるようになりましたよね。今回はどう違うのでしょうか?

Kさん:おっ!いいところをついてきたわね!!そこで今回のもう一つのキーワードになってくるのが「第三幕に焦点をあてた」というところなのよ。普通『リア王』ではなんとも個性的なコーディリアやゴネリル、リーガンの三人姉妹と老王リアの関係に注目しがちよね。でも今回はそんな娘と父の親子の関係性ではなく、リアを中心とした地位や財産、名誉を失った男達に焦点をあてて、男優だけの舞台だからこそ出来る骨太な舞台になっているというのが今回のポイントなの!!しかも今回は「構成・演出:川村毅」というクレジットでも分かるようにシェイクスピア作『リア王』への変更や加筆はなく、新たな視点が加わっていているの。一足先に台本を読ませてもらったんだけど、台詞の順番が入れ替わっている部分はあったけど、ストーリーや台詞自体はそのままなのに良く知っている『リア王』とは何かが違っているの!この脚本がどんな風に舞台上に出現するのか想像がつかなくて、本当に楽しみになったわ!

O君:なるほど、特に脚色などは入っていないのに、「何か」が新しい!!ということですね。それはとても気になります!!今回の『荒野のリア』の中心となる『リア王』の第三幕というと、ゴネリルやリーガンに粗末に扱われたリアが嵐の中で叫ぶというのが有名なシーンですよね?「風よ、吹け、貴様の頬が裂けるまで。・・・」という台詞は有名な台詞が多い『リア王』の中でも名台詞として知られています!

Kさん:ようやく「優秀な」本調子が出てきたみたいね。まさに今回のタイトルの通り「嵐の荒野にたたずむリア」の姿から今回の物語がスタートすると言えるわね。『リア王』の物語通り、嵐の中でたたずむリアの元には、リアと同じように地位や名声を失った男達が集まってくるの。それがグロスター親子なのよね。

O君:はい!その親子の物語は女体シェイクスピアのときにもKさんが(しつこいくらいに・・・・)熱く語っていたので覚えています!!私生児ゆえに差別され兄と父を憎む弟エドマンドと、その弟エドマンドのたくらみによって国を追われる兄エドガー、エドマンドの口車にのってしまう父グロスターの話ですよね。

Kさん:そのグロスターとリアは子供たちとの行き違いから悲劇に陥るという部分で共通することが多いというのも女体シェイクスピアで紹介したとおりね。この悲劇に陥った男二人が再会するのが第三幕なの。全てを失った状態で荒野を彷徨うリアの姿が「都会の荒野を彷徨う現代人のようだ」と感じた川村さんの発想からこの物語は出来ているの。川村さんは狂気と戦うリアに現代人の苦悩を感じたのね。男優だけでの上演という古典的な方法をとりながらも、今回の舞台は現代を生きる私たちのための『リア王』となっているの!


さらに詳しくティーファクトリー『荒野のリア』に迫る!!


O君:都会の荒野ですか・・・。なるほど、だからあの森山大道さんが撮影された素敵なビジュアルが誕生したわけですね!このチラシ何度見てもかっこいいですよね。麿赤兒さんの表情がなんともいえません!男の僕でもこんな渋い男性には憧れます!!

Kさん:O君が麿赤兒さんのように渋くて素敵な男性になるまでには最低でも100年は必要そうね。(笑)

O君:ひ、ひどい・・・。でも、確かに・・・(笑)。き、気を取り直して!!今回の撮影はちょうど地元・吉祥寺で行われたそうです!!ティーファクトリーの制作さんにこっそり教えていただいたのですが、あのハモニカ横丁でも撮影を行ったそうですよ!その様子が少しだけティーファクトリーの公演ブログで紹介されていました!あと、川村毅さんのブログにも!!

Kさん:こんなにかっこいいビジュアルがこの吉祥寺のあのハモニカ横丁で!なんてちょっと信じられないけど、これこそ森山大道さんと麿赤兒さんのコラボレーションのなせるワザなのね!!このとっても素敵なチラシにも現れているとおり、リアが彷徨うのは遠い昔の荒野ではなく、今の私たちにとっても身近な荒野であるというところがこのチラシにも表現されているわよね。

O君:吉祥寺の何気ない日常の風景の中に居るはずなのに絵になる麿赤兒さん、そしてその一瞬を切り取る森山大道さんやはり素晴らしいコラボレーションですね。そんな麿赤兒さんを筆頭に今回は出演者もかなり豪華なんですよね!!

Kさん:そうなの!今回はなんと言っても実力派かつ個性的で魅力たっぷりの男優さんが揃っているところも注目ポイントなのよ!!まずは主役のリアを演じるのは吉祥寺に本拠地を置く舞踏集団「大駱駝艦主宰の麿赤兒さん!!舞踏家としてはもちろん有名だけど、言わずと知れた唐十郎さんの状況劇場を共に旗揚げしたメンバーの一人でもあるのよね。俳優としても数々の舞台に出演し、怪物的とも言われるほどの存在感と演技力で今の演劇界にも大きな影響を与えている、まさに伝説の怪優とも言えるわね!実は今回の公演、シアターガイド4月号にも関連記事が掲載されているんだけど、その対談で麿赤兒さんは今回の話が来たときに「来るべきときが来た」と感じたと話しているわ。もともと『リア王』の物語は大好きだったそうよ。

O君:確かにリアを演じるにはある程度の年齢が必要ですもんね。満を持しての『リア王』ということなんですね。そんな麿赤兒さんが演じるリアと共に荒野を彷徨うグロスターを演じるのは手塚とおるさん!!僕はあの人気ドラマ「半沢直樹」の古里課長代理役でファンになったのですが、舞台を中心に活躍されている役者さんなんですね!蜷川幸雄演出や野田秀樹演出の舞台にも出演される実力派ということで、深い悲しみと後悔を持ちながら目を失い彷徨うグロスターをどう演じるのか楽しみです!!

Kさん:そして、そのグロスターの息子エドガー役を演じるのは吉祥寺シアターではおなじみの柿喰う客の劇団員の玉置玲央さん!そしてそして注目は道化・コーディリア役に元・第三エロチカの有薗芳記さん!!

O君:え?「道化・コーディリア役」!?そ、それはどういうことですか?綺麗で美しく聡明なコーディリアと道化を同じ役者さんが演じるとは・・・どういうことなんでしょうか?

Kさん:これも今回の『荒野のリア』のキーワードの一つと言えそうね。シェイクスピアが作品を作っていた当時は、少ない劇団員で登場人物の多い壮大な物語を上演するために同じ役者が複数の役を担当することがあったみたいなの。そこで、舞台では全く顔を合わせないことからコーディリアと道化は同じ役者が演じていたのだろうという説が有力なの!この説の配役を実現したことも今回の『リア王』では重要なポイントね!

O君:へー!!確かに言われてみれば、道化とコーディリアは一緒に登場するシーン無いですが・・・でも、信じられないです!(信じたくない!!)

Kさん:そうね。コーディリアファンのO君には特に衝撃的な配役よね。この信じられないような配役がどんな化学反応を生むのかを是非期待していただきたいわ!!

O君:僕のコーディリア像が崩れそうで怖い・・・でも見たい!!というわけで『荒野のリア』公演間近!!完売となっている回もありチケットは残り僅かですのでご予約はお早めに!どんな『リア王』が誕生するのか、豪華なキャスト陣の共演はどんな化学反応を生むのか、花粉症も忘れてしまうような濃密な舞台をお届けします!!来場お待ちしております!

ティーファクトリー『荒野のリア』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2013/11/post-21.html
ご予約はこちらからどうぞ!→https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
ティーファクトリーHP→http://www.tfactory.jp/