カンゲキのススメVol.25 世田谷シルク『美しいヒポリタ』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、3月27日より吉祥寺シアターで上演が始まる世田谷シルク『美しいヒポリタ』 です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
世田谷シルク『美しいヒポリタ』 3月27日(木)~3月31日(月)
公演詳細→http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/01/p-1.html










O君:みなさま、いかがお過ごしでしょうか。早いものでもう3月も後半、2013年度も残りあとわずかとなりました。毎年のことですがこの時期は、今年度中に終わらせないといけないあれこれに追われつつ、来年度へ向けての準備も始めなければという少し慌ただしい日々を送っています・・・へっくしゅん!
さて今日は、今年度最後のカンゲキのススメということで、世田谷シルク『美しいヒポリタ』を取り上げます!はりきってまいりましょう・・・へっぷしゅん!

Kさん:いきなりくしゃみ連発で登場ね。毎年この時期は花粉症でつらそうなO君、ここから後は文字数の都合上、くしゃみの音はカットさせていただきますのでご了承ください!(きっぱり)そんなことはさておいて、カンゲキのススメ今回は3月27日からはじまる世田谷シルク『美しいヒポリタ』を取り上げるのね。世田谷シルクは吉祥寺シアター初登場の劇団よね、何か世田谷シルクについて説明できることはあるかな、O君。

O君:・・・・は、はい、世田谷シルクは作・演出を手がける堀川炎さんを中心に2009年より活動を開始した劇団です。「くすっと笑えるアート」をコンセプトに、色彩感覚溢れる美しい舞台を追求し、独自のリズムによるダンスを取り入れるなど都会的で洗練された作品をこれまで発表しています。今回の『美しいヒポリタ』では、堀川さんは振付も担当されるようです。

Kさん:今回もしっかり調べてきているわね、O君。作・演出を手がける堀川さんは若手女性演出家としての注目度も高く、2010年には若手劇団の登竜門とされている「シアタートラムネクスト・ジェネレーション」に選出されていたり、2013年には「利賀演劇人コンクール観客賞・奨励賞」を受賞しているのよ。利賀といえば毎年冬に吉祥寺シアターでも公演を行っていただいている鈴木忠志さん率いるSCOTの活動拠点として有名よね。

O君:シアターとも少し縁があるというわけですね。ちなみにこの利賀演劇人コンクールで世田谷シルクが上演した作品は三好十郎作「冒した者」だそうですよ。「冒した者」といえば、こちらも昨年シアターで長塚圭史さん率いる「葛河思潮社」が上演したことでも記憶に新しいです。

Kさん:そうね。世田谷シルクの特徴の一つと言えるのは、この「冒した者」もそうだけど、古典を原作としつつ現代の要素をふんだんにミックスし、スタイリッシュにアレンジしているところじゃないかしら。これまでも魯迅の「藤野先生」を原作とした『Mr. Fujino』や宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を原作とした『渡り鳥の信号待ち』(この作品は先ほど挙げたシアタートラムネクスト・ジェネレーションに選出)など様々な名作古典にチャレンジしてきているのよ。

O君:そうだったんですね!そして今回は<吉祥寺シアターシェイクスピアシリーズ>のラストを飾る作品として、シェイクスピアの「夏の夜の夢」を原作にした『美しいヒポリタ』を上演するというわけですね!この作品実は2010年に下北沢の劇場で初演されているんです。

Kさん:そのようね。「夏の夜の夢」といえばシェイクスピアの喜劇として有名だけど、もちろんO君知っているわよね?

O君:もちろんですよ!「夏の夜の夢」は、ハーミアという女性に恋するライサンダーとディミートリアスという若い青年二人と、ハーミアの親友でディミートリアスに夢中なヘレナ男女4人が、妖精パックのいたずらによって目が覚めた後にはじめて見た人に恋をしてしまうという惚れ薬を飲まされたことによって、周囲の人々を巻き込んで大騒動を繰り広げる様子を描いた作品です。

Kさん:説明をありがとう!O君。ちなみに今回の題名になっているヒポリタっていうのは、ハーミアの父で貴族のイジーアスが、娘の結婚について相談にいくアテネ公爵シーシアスの結婚相手でアマゾン女王のことなのよ。第一幕でシーシアスが女王のことを「さぁ、美しいヒポリタ」と呼ぶところからこの物語はスタートするのね。

O君:そうだったんですね!いや~、これを読んだときは僕も一度でいいから惚れ薬を手に入れたいと思いましたよ!

Kさん:・・・・いったい誰に飲ませたかったのかな~(目を釣り上がらせて大きい瞳でO君を睨む)それにこの惚れ薬は時間が経つと効果が無くなってしまうのよ、まさに恋愛そのものとも言えるわね。

O君:(すぐに目をそらせて)た、たしかに。Kさん考え方が現実的すぎますよ・・・

Kさん:(完全にスルーして)そんな「夏の夜の夢」を世田谷シルクがどうアレンジするのかというのが、今回の大きなポイントとなりそうね。『美しいヒポリタ』の舞台は恋愛禁止の携帯アプリ開発会社。会社の新事業として立ち上げられたチャットができる“おしゃべりアプリ”に社員たちもはまっている。ところがプログラマーの勘違いによって、社内カップルの女性の名前と、同じ名前で別の女性が恋人登録されてしまう。そのことで男性社員たちは混乱し、挙げ句の果てには社長やプログラマーをも巻き込んだ大騒動へと発展することに・・・ という物語だそうよ。

O君:一見すると「夏の夜の夢」とは少し違うような気もしますが、大混乱を招く原因となる「惚れ薬」を『美しいヒポリタ』では「インターネット」や「SNS」に置き換えているということですよね。まさに現代的!

Kさん:そういうことね。実際の社会でもインターネットや携帯電話が広く普及して、「Twitter」や「Facebook」などネットの世界の中で自由に交流できる便利なアプリが利用されているけど、その反面問題も大きく取り上げられているわよね。インターネットの「匿名性」ということをうまく取り入れ、古典を現代と掛け合わせてみせるというのが今回の『美しいヒポリタ』じゃないかしら。

O君:そうですね、僕達が今生きている現実の要素を入れることにより、見ている観客により身近でリアルに作品を感じ取ってもらえそうですね。ちなみに初演時の映像がダイジェスト版でYouTubeにアップされているみたいですよ。こちら↓



Kさん:ありがとうO君。それと世田谷シルクの特徴として見逃せないのは、洗練されたスタイリッシュな舞台じゃないかしら。たとえば舞台美術はかなりシンプルなものが多い気がするけど、過剰に見えるものは削って、作品の世界観を象徴するようなものを配置することで、より観客の想像力を刺激するように感じるわ。

O君:僕が前回の公演を見せてもらって気になったのは「色」と「身体」です。「色」は、たとえば役者さんの衣装が赤と白のコントラストがはっきりしているものを着ていて、その衣装と透明感のあるブルーの照明でダンスをするシーンはとても鮮やかに見えました。世田谷シルクの作品を見ていると、このように色彩にとても気を配って細部まで丁寧に作り込まれているなぁと感じます。ちなみにそのときの舞台写真がこちら↓

 








Kさん:よく見てきているわね。今回の『美しいヒポリタ』のチラシは見たかな?表面の照明が色とりどりに照らされている写真も、まさに今O君の言っていた世田谷シルクの色彩感覚が的確に表現された写真じゃないかしら。

O君:たしかにそうですね!それから「身体」というのは、舞台上の役者さんが、自然でよりリアルな演技を目指しているというよりは、どこか日常とは違う動きをしているように感じられます。たとえば途中で挟み込まれる役者さん達の息のあったダンスや出はけの動きなど、無駄がなく整頓されているような印象でした。今挙げたような世田谷シルクの特徴がよくわかる映像がこちらもYouTubeにアップされていたので見てみてください↓冒頭のダンスのシーンはとても印象的ですよ!



Kさん:とても参考になる映像ね。世田谷シルクの舞台は、身体表現やダンスを取り入れながらテンポ良く場面が切り替わって作品が進行していくことが多いから、独特の身体性や色使いというのが作品の中でとても良い効果を生んでいるのよね。それに今回の原作には妖精や魔法が出てくるから、作品に漂っている現実とは少しちがう不思議なファンタジー感がより一層際立つんじゃないかしら。

O君:そうですね、それも大きな見所の1つですね!今回の『美しいヒポリタ』は、2010年の初演に引き続き出演されている役者さんとオーディションで選ばれた初出演の方々を交え、新しくリニューアルした『美しいヒポリタ』を上演するというわけです。

Kさん:今後活躍が期待される若い役者さん達も多数出演されるようなので楽しみね。

O君:ということで、数々のシェイクスピア劇を上演してきた今年度の吉祥寺シアターシェイクスピアシリーズのトリを飾る世田谷シルク『美しいヒポリタ』ぜひお見逃しのないようにお願いします!みなさまのご来場心よりお待ちしております~


『美しいヒポリタ』は吉祥寺シアターにて3月27日~3月31日まで上演されます!チケットのお求めがまだの方は、ぜひ武蔵野文化事業団チケット予約までどうぞ!

世田谷シルク『美しいヒポリタ』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/01/p-1.html
チケット予約はこちらからどうぞ! https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
世田谷シルクHP http://www.setagaya-silk.com/next.html