カンゲキのススメVol.27 FUKAIPRODUCE羽衣 『耳のトンネル』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、6月13日より吉祥寺シアターで上演が始まるFUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』 です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』 6月13日(金)~6月22日(日)
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/02/fukaiproduce.html









O君:みなさま、いかがお過ごしでしょうか。早いものでもう6月ですね!外の気温も暖かいどころか、暑い!こうなったら夏に向けて体を鍛えるしかない!ということで毎日少しずつ筋トレに励んでおります。さて今日は、カンゲキのススメということで、FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』を取り上げます!はりきってまいりましょう!

Kさん:今年も半分が過ぎようとしているのね、ほんと早いわねぇ。それにしても、O君が筋トレに励んでいるなんて初耳!夏までに間に合うといいけど・・・
そんなことはさておいて、カンゲキのススメ今回は6月13日からはじまるFUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』を取り上げるのね。FUKAIPRODUCE羽衣は吉祥寺シアター初登場の劇団よね、何か劇団について説明できることはあるかな、O君。

O君:はい、FUKAIPRODUCE羽衣は作・演出を手がける糸井幸之介さんが生み出す、日常にありふれたあれこれを、歌と踊りで表現する“妙―ジカル”を上演する団体です。“妙―ジカル”とは、「奇妙」と「ミュージカル」という言葉を足した造語で、一般的にイメージするミュージカルとは一味違います。また劇団名にもなっている「FUKAIPRODUCE」とは、この劇団の主宰で出演もしている女優の深井順子さんの苗字からきています。

Kさん:今回もしっかり調べてきているわね、O君。ちなみにFUKAIPRODUCE羽衣の「羽衣」というのは、作家よしもとばななさんの「ハゴロモ」という本の題名からとっているそうよ。(先日むさしのFMさんにゲスト出演させていただい際に深井さんがおっしゃっていました。そのときの様子はこちら
そして、FUKAIPRODUCE羽衣の特徴はなんといっても今O君が言ってくれた“妙―ジカル”をまずはあげることができるわ。会話劇で物語を進めつつ、その途中に音楽と歌が挟み込まれるのよ。役者の方々が汗まみれになって全力で歌う様子は、見ている観客の心にダイレクトに訴えかけてくるものがあるわね。

O君:そうですね!その“妙―ジカル”の虜になる観客が続出で、若手劇団の登竜門とされている「シアタートラムネクスト・ジェネレーション」に選出されたり、東京芸術劇場などでもこれまで公演を行ってきているんです。さて、ここでFUKAIPRODUCE羽衣をご存知ない方も、“妙―ジカル”って何?という方も、この映像を見ていただきましょう↓

Kさん:この短い映像でも十分にFUKAIPRODUCE羽衣の実践している“妙―ジカル”がよく分かると思うわ。この映像は、昨年夏に行われた第16回公演『Still on a roll』の中で演奏された「愛の花」という歌です。 

O君:すご~くよくわかる映像ですね。決して洗練されているとは言い難いけれど、一度聞いたら忘れることができない音楽と歌詞、あと振付が混じり合ってどこにもない特別なパフォーマンスになっています。あとこの映像をよく見ると、少し変わった舞台美術がちらちらと役者さんの後ろに映っています。ちょっと派手な自転車?のようなものが天井からぶら下がっていたり、鍋をたくさん重ねたものが舞台上に立っていたり、わかりますか?

Kさん:滑らか~に話を進めていくわね、O君。この少し不思議にもみえる舞台美術を考えているのが、作・演出を務める糸井さんなのよね。あとさっき見た映像の音楽も、というか劇中の音楽はすべて糸井さんの手によるものなのよ。
日本の演劇では特に多いことだけど、脚本を書く人と演出をする人が一人で二つの役割を持つということはよくあって(作・演出と表記されている場合)、それだけでも大変だなぁと思うんだけど、それに加えて舞台美術と音楽もこなすなんて本当に多才な方ということがよくわかるわよね。

O君:ほんとうにそうですよね、僕もそれを始めて知ったときはびっくりしちゃいましたよ。ちなみに多才繋がりでいうと、今回の『耳のトンネル』のチラシの表面に描かれている絵も糸井さんによるものだそうですよ。これTシャツになったら欲しいよなぁ~

Kさん:ほんとね、でもO君とお揃いのTシャツはちょっと・・・このようにFUKAIPRODUCE羽衣は糸井さんの独特の世界観と“妙―ジカル”という大きな二つの特徴があるということがわかったわね。
そして全ての作品に共通しているのは、糸井さんの日常を生きる人々への温かい眼差しだと思うわ。何気ない日常を入り口に、私たちが生きていく上では切っても切り離せないような人との出会いや別れ、希望や絶望、悲しみの感情などを掬い取って歌や台詞にのせることで、平凡な私たちの日常をやさしく肯定してくれているような感じがするわ。

O君:そうですね。先ほど挙げた映像を見てもわかる通り、洗練された歌や踊りというよりは、どこか野暮ったいところがあったりもするんです。でも劇を見ているとそういうところは関係なく、描かれている登場人物の全力のパフォーマンスや世界観を、どこか懐かしいようなメロディーにのせて届けられると、それがだんだん愛おしくなってきて、気付いたら感動しちゃっている自分がいるんですよね。

Kさん:本当にその通りね、だからFUKAIPRODUCE羽衣の演劇を見るときは、「役者・音楽・舞台美術などそれら全ての要素から発せられる世界観やパワーを全力で浴びる」ように見ることをおすすめしたいわ。
そして今回上演するのは『耳のトンネル』という作品ね。この作品は2012年にこまばアゴラ劇場で初演された作品で、主人公のある一人の男が“耳の入り口”からどんどん奥まで進んでいく過程と、その男の人生の記憶をめぐる物語です。この作品は「CoRich舞台芸術まつり!2012春」のグランプリも受賞し、とても好評を博した作品なのよ。

O君:でも、今回はその作品をそのまま再演するというわけではないんです!Kさんにご説明いただいた通り、この作品はある男の人生をめぐる物語なのですが、初演時には描けなかった男の新たなエピソードも追加しスケールアップして再演するんですよ!そのエピソードとは、2012年に京都の「KYOTO EXPERIMENT 2012フリンジ“PLAYdom↗”」という舞台芸術祭でのみ公演された糸井さんのソロユニット「ぐうたららばい」の『観光裸』(かんこーら)なのです。

Kさん:さすが、O君詳しいわね。この物語は京都を旅行中の不倫カップルが、お酒を飲み過ぎて酔っ払ってしまい近くの廃校に忍び込み一夜を過ごそうとするのだが・・・というお話よ。少しアダルティなお話だからO君にはちょっと早すぎたかもしれないわねぇ(蔑んだような笑みを浮かべて)

O君:そ、そ、そんなことないですよ!僕だってそれぐらいは分かる大人に成長していますよ!

Kさん: でも、いったいそのエピソードがどんな風にある男の人生に関係し、追加されるのかがとっても気になるわね。

O君:また今回の出演者には、なんと歌人の枡野浩一さんがご出演されるのです。枡野さんは歌人としての活動だけではなく、これまでも映画や舞台など多数ご出演されています。ちなみに僕が好きなのは、今回の『耳のトンネル』にも出演される金子岳憲さんが主演で、今回記録映像として参加される杉田協士さんが監督・脚本を務められている『ひとつの歌』という映画です。この作品の中で、枡野さんがとても重要な、とある役を演じられているんですけど、その存在感がすごいんですよ。また映画自体も全体にノスタルジックさもありつつ、どこか狂気のようなものも感じとれる映画なのでおすすめです。

Kさん:さすが、映画好きなO君ね。ちなみに『ひとつの歌』の杉田監督が撮影したFUKAIPRODUCE羽衣の映像作品がこちら↓

O君:お、これは『浴槽船』ですね。この作品は「クオータースターコンテスト」のグランプリを受賞しましたよね。サビの「お風呂は気持ちいいこと~♪」というフレーズは一度聞いたら忘れられないんですよ。独身女性が一人でワンルームマンションに帰宅しユニットバスに浸かっていると、いつの間にか浴槽が船になって空を飛んでいて、昔出会った人や風景、記憶を思い出していくという物語。なんとなく今回の『耳のトンネル』の男の記憶を巡る話にも少し共通点があるような気がしました。

Kさん:そうね、観劇前の予習には最適な映像かもしれないわね。それから今回の『耳のトンネル』は吉祥寺シアターでの公演に先駆けて、兵庫県伊丹市の「AI・HALL」でも公演があるので、関西近辺の方がいらっしゃればぜひそちらもチェックしていただければと思います。
そ・し・て・なんと今回の公演の関連イベントとして、吉祥寺シアター1階のシアターカフェでトークイベントの開催も決定したのよ!O君、詳細をお願いできるかしら。

O君:お、いきなり振ってきましたね。そうなんです、公演期間中にトークイベントを2回予定して、1回目の6月19日(木)17時半からは糸井さんが幻冬舎plusというHPで連載をしている、美しい女優さんとお茶をする(何ともうらやましい)コーナー「小劇場の美しい女優さん」を今回だけ特別に公開対談にしてしまおうというイベントです。そしてゲストの美しい女優さんは舞台や映画で大活躍の安藤玉恵さんをお迎えします!
そして6月20日(金)17時半からの2回目は、今年活動10周年を迎えるFUKAIPRODUCE羽衣の活動を振り返る記念トークとして、劇団とも関わりの深いゲストをお迎えし、糸井さんとこれまでのことをじっくり語っていただく回です。(誰がゲストにくるかは後日発表します、お楽しみに!)どちらも入場料500円のワンドリンク付きなので、公演前後にふらっと立ち寄ってみてくださいね。(でもカフェのスペースには限りがあるので、できるだけ事前のご予約をおすすめします!詳細は劇団HPをご覧ください

Kさん:ありがとう、O君。いろいろと楽しみがある公演で、私も今からわくわくしてきちゃったわ!では最後に今回の出演者の方々からメッセージの映像がアップされているので、ご覧いただきましょう!

O君:最後までお読みいただきありがとうございます!いつにも増して熱量の高いカンゲキのススメはいかがでしたか?ということでFUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』は6月13日からはじまります。劇場でみなさまをお待ちしております~


『耳のトンネル』は吉祥寺シアターにて6月13日~6月22日まで上演されます!チケットのお求めがまだの方は、ぜひ武蔵野文化事業団チケット予約までどうぞ!

FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/02/fukaiproduce.html
チケット予約はこちらからどうぞ! https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
FUKAIPRODUCE羽衣HP  http://www.fukaiproduce-hagoromo.net/