カンゲキのススメVol.29 DULL-COLORED POP『河童』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、7月18日より吉祥寺シアターで上演が始まるDULL-COLORED POP『河童』です!!

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
DULL-COLORED POP『河童』7/18(金)~27(日)

公演詳細→http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/04/kappa.html










O君:なかなか梅雨明けず、洗濯物の山に悩まされる今日この頃皆様いかがお過ごしでしょうか。そんな雨の時期にはきっと「頭のお皿が乾かないぞ!」と喜んでいるであろうあの河童の大群が吉祥寺シアターに襲来しますよ!!
 

Kさん:そう!DULL(ダル)-COLORED(カラード) POP(ポップ)『河童』は芥川龍之介作の『河童』を原案とした作品でしかも音楽劇!このうだるような暑さも吹き飛ばすパワー溢れる作品の登場です。最近暑さでボーっとしてるO君、もちろんDULL-COLORED POPについては調べてきたわよね!

O君:ボーっとなんてしてないですよ!もちろんちゃんと調べてあります!!DULL-COLORED POPは作家・演出家・翻訳家の谷賢一さんが主宰を務める劇団です!ちなみに演劇ファンの皆様からは「ダルカラ」と呼ばれているようです。最近では翻訳と演出を手掛けた『最後の精神分析-フロイトvsルイス-』が平成25年度文化庁芸術祭優秀賞と小田島雄志・翻訳戯曲賞を受賞し、ますます注目を集めています!!

Kさん:そう!!昨年の受賞で谷さんを知ったという方も多いのではないでしょうか。翻訳も劇作も演出も出来てしまうマルチな才能を持った今注目の演劇人の谷さん率いるダルカラが吉祥寺シアターに初登場します!実は谷さんは文学好きを公言していて、何度か日本文学作品の舞台化を実現しているわ。一番最近では青山円形劇場で太宰治の『人間失格』を原案とした『完全版・人間失格』の上演も成功させているのよね。

O君:そうなんですね!過去の作品を見ていると翻訳作品も日本文学作品ももちろんオリジナル作品もあって作品の種類が多種多様で、いったいどんな作品を作っている劇団なのかイマイチ分かりにくいんですけどKさんの思うダルカラのイメージはどんな感じですか?

Kさん:そうね。例えば最近では第13回公演『アクアリウム』で谷さん自身もそうである1982年生まれのいわゆる「酒鬼薔薇世代」と呼ばれる世代をテーマにしたオリジナルの新作を上演したわ。一見すると重いと思われてしまいそうなこのテーマを、しゃべる動物達や70年代演劇を思い出させるような大きな声と大胆な台詞回しの“演劇のお約束”を取り入れて、笑いのある作品にしていたの。暗いテーマとしてではなく、ポップな演出で肩肘張らずに笑いながら見ているうちに、気が付くと「酒鬼薔薇世代」という名前に取り付かれてしまっている彼らの心理や現代社会の闇を一緒に体感しているという作品になっていたわ。ポップなカラーでダークな闇の部分をくるんでしまうというのがまさにDULL-COLORED POP(「くすんだポップ」という意味)の名前にぴったりよね。

O君:なるほど!ということは今回の「ちょっとおかしな河童の世界を使って人間世界を皮肉っている」と言われる芥川の描いた『河童』の世界観とダルカラの持つ世界観には共通点があるということですね!

Kさん:そう!よく気が付いたわね!!だから私も原案である芥川作『河童』が谷さんの手によってどんなカラーに染められるのか本当に楽しみなの!それに今回の作品はなんと言っても「音楽劇」って付いているから、ダルカラの作る世界観がよりポップでパワー溢れるものになると思うわ!

O君:「音楽劇」という響きがワクワクしてきますよね。そういえば今回の音楽劇『河童』では、音楽と演奏を現在引っ張りだこの舞台音楽の作曲家・岡田太郎さんが、振付は伊藤今人さん(ゲキバカ/梅棒)長谷川寧さん(冨士山アネット)堀川 炎さん(世田谷シルク)中林 舞さんが担当しているんですよね!!現在小劇場界を引っ張る作曲家と振付家のコラボレーションも見所とのことですが、世田谷シルクの堀川炎さんは今年3月の『美しいヒポリタ』の脚本・演出・振付で吉祥寺シアターで公演を行っていますし、伊藤今人さんは昨年のアマヤドリ『太陽とサヨナラ』に登場していました!吉祥寺シアターにも縁の深い皆さんのコラボレーション!楽しみですね。

Kさん:そうなのよ!そういえば『河童』の公式 ホームページでは振付家の皆さんと谷さんの対談の様子もアップされているわよ!振付ってどんな風に考えているのかって話はなかなか聞くことが出来ないから、演劇ファンの気になるところをついた対談よね。私も思わずニヤニヤしながら読んでいたわ。

O君:はい。知ってます。・・・(怖かったです。)



さらに詳しくDULL-COLORED POP『河童』に迫る!!



Kさん:ところでO君は原案である芥川龍之介の『河童』は読んだと思うけど、今回のDULL-COLORED POPの『河童』と比較してみてどう思う?

O君:はい!両者を比較するというわけではないですけど、なんていうかDULL-COLORED POPの「河童」はすっごい中身が濃いように感じます。

Kさん:なにそれ?それだけじゃ説明になってないわよ?ちゃんとわかるように説明してみて!

O君:はっ・・・はい(こわい・・・。)そうですねー・・・芥川龍之介の「河童」では穴に落ちた主人公がまるで狂言回しのように河童の国を廻りながら、河童の価値観が人間の世界と真逆であることを知るというお話ですけど、全体に流れる空気感は非常にドライな印象しかないんです。淡々と物語が進行してゆくというか・・・。

Kさん:そうね。それに加えてよく「闇がないところに光は輝かない」って言葉があるけど、河童の国では全てが合理的・合法的に解決されるから、そもそも陰がない。けど曖昧なところがまるでないから、光に照らされている様子(河童たちが主人公の質問に答える様子)だけが、ひたすら不気味に映るというか、そんな感じよね。

O君:はい。本当にこんな世界があったら狂っているとしかいいようがないんですけど、すごくブラックジョークが利いた印象を持ちました。それと比べて、一足先に台本を読ませていただいたDULL-COLORED POPの『河童』も人間社会をブラックユーモアに皮肉る、風刺する、通底するところは一緒なんですが、今回は舞台ということで、『河童』社会の描かれ方、社会国家としての河童の世界、輪郭が確立されているんです。台本を読んだだけでも、もし僕が河童の世界に投げ込まれて「はいっ、ここは河童の世界ね!」って言われたら「はい!」って思わず答えちゃいそうなくらい河童の世界が強烈に描かれていました!それに、芥川龍之介の原作には登場しない現代の世の中を風刺したそれぞれのキャラクターにすごくインパクトがありました!思わず読みながらニヤニヤしてしまいました!!(はっ、僕もKさんと一緒だ・・・。泣)だからダークな印象だけじゃなくて、河童の世界がより鮮やかに舞台上で展開されていくのではないかと思います。現代に芥川龍之介がいたら、こんな風に戯画化したんじゃないのかなぁと。谷さんが自身のHP「僕は真面目なことこそ、不真面目にあるいはポップに書きたい。」って書かれているんですけど、これってこのことだなって思ったんです。

Kさん:なかなかいいことに気づいたじゃない!けど、それだけじゃないわよ!!今回は音楽劇ということで要所、要所にミュージカル的な要素も入っているし、登場人物が現代版にアレンジされているの!これが舞台狭し、とばかりに踊りまくるのかと思うと驚愕の一言よね!!だからコミカルな要素もアレンジしつつ、「音楽劇」の名の通り、舞台がどのように仕上がるのか本当に楽しみよね。私も谷さんのHPを拝見したのだけれど、谷さんご自身がストレートプレイの人間だからこそ、音楽とダンスの力を実感されていて、「透き通るほど明るい空がかえって悲しいように、この突き抜けた明るさが澄み切った悲しさにつながるといいなと思って、バカバカしいシーンをゲラゲラ笑いながら稽古している。」なんて書かれているわ。これを読んだとき、試行錯誤しながらも、この舞台にかける熱い思いが伝わってきて、もうどれだけ面白い舞台になるのかって今からとってもわくわくしているの!

O君:僕は芥川龍之介にとってはこの河童の世界は、人間社会に嫌気がさしたときに空想して遊びまわった世界なのかなと思っているんです。そんな空想の世界が、谷さんによる素晴らしい「妄想」によって、平成のこの世にこれだけぶっとんだ舞台として生まれ変わるのをどんな風に芥川龍之介が見るのか、出来れば感想を聞いてみたいと思ってしまいます!

Kさん:そういえば、7月24日の芥川龍之介の命日である「河童忌」にも『河童』の上演があるんですよね。その日の回の14時公演にはアフタートークがあるんですよね!!公式HPには「ゲストには芥川龍之介先生をお招きします。※先生がいらっしゃらない場合は、谷賢一ひとりでお送りします。」とあります!!もしかすると芥川先生のご感想を伺えるかも知れませんよ!

O君:アフタートークも楽しみですが、各公演でゲスト河童が登場するらしく・・・。本当に楽しみな要素がたっぷりの作品です!!是非お見逃しなく!

公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/04/kappa.html

ご予約はこちらからどうぞ!→https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
※公演前日16時までご予約受付中です!!

DULL-COLORED POP『河童』の公式HPはこちら↓
http://dcpop14kappa.wix.com/dcpop14kappa