カンゲキのススメVol.37 オーストラ・マコンドー 小津安二郎に捧ぐ『家族』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、3月5日より吉祥寺シアターで上演が始まるオーストラ・マコンドー 小津安二郎に捧ぐ『家族』です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
オーストラ・マコンドー 小津安二郎に捧ぐ『家族』 3月5日(木)~3月15日(日)
公演詳細→http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/12/post-31.html

 








O君:毎日寒い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?冬のピークを迎え、雪が降る日もちらほらありますし、この季節はいくら重ね着をしても、寒い空気から逃れられないですね。

Kさん:本当に寒い日が続くわね、風邪にも注意しなくっちゃね。それにO君にとっては、ある意味一年で一番恐怖なあの季節がやってくるしね・・・・

O君:・・・そう、なんです。今年はインフルエンザの予防注射も打って、風邪対策は万全だったので、なんとか回避できたのですが。こればかりはなんとも避けられない、ムズムズの季節!

Kさん:毎年この時期はティッシュとマスクが友達になるO君。今年もそんな季節がやってきたわね!

O君:はっ・・・はっ・・・(すん止めくしゃみの音)そんなことを話していると、鼻が敏感に反応してきそうなので、早く今回の話題に入りましょう!

Kさん:そうするのがいいわね。今回紹介する公演は、3月5日からはじまるオーストラ・マコンドー小津安二郎に捧ぐ『家族』です。O君、まずは劇団オーストラ・マコンドーについての説明をお願い!

O君:さっそく Kさんの得意技むちゃぶり炸裂!まかせてください!まず今Kさんがさりげなく劇団オーストラ・マコンドーと紹介しましたけど、実は昨年2014年6月に劇団化を決行したばかりなんです!そして劇団として吉祥寺シアターに登場するのは初になります。ちなみにそれまでは演出を務める倉本朋幸さんのプロデュースユニットとして活動をしていました。

Kさん:今回も予習ができているようで関心ね。そしてその劇団化に伴い固定の劇団メンバーが加入したのね。俳優の趣里さん・後藤剛範さん・カトウシンスケさん、そしてミュージシャンのMOGMOSさんの4名です。

O君:ミュージシャンの方が参加されるなんて、実にマコンドーらしいですね!MOGMOSさんはロックバンド「チキンファームシート6」のメンバーとしてデビューし、現在はソロとして活動されています。これまで俳優としての活動暦もお持ちで、今回の『家族』では音楽だけではなく、久々に役者としても出演されるそうですよ!

Kさん:それは楽しみね!あと昨年は劇団化ともう一つオーストラ・マコンドーにとって象徴的な出来事があったわよね!何か分かるかな?

O君:もちろんです!先ほど“演出”の倉本朋幸さんと言いましたが、実は昨年初めての“作・演出”作品『斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの』を上演したんです。この作品がかなりの好評を得たようですよ!

Kさん:そうね、そして今回の『家族』でも、作・演出の両方を倉本さんが手がけるのね。ちなみに昨年公演された『斜めから見ても真っ直ぐ見てもなんだかんだ嫌いじゃないもの』に主演したのが、劇団メンバーになったばかりの趣里さんでした。

O君:昨年吉祥寺シアターで行われた『さらば箱舟』の好演でも記憶に新しいですね。それに趣里さんは山戸結希監督『おとぎ話みたい』や山本政志監督『水の声を聞く』など映画やテレビへの露出も増え、今後が期待される女優さんの一人ですよね!

Kさん:そうなのよ、特に山戸監督は次世代の映画監督として学生時代から注目を浴びていて、『おとぎ話みたい』もその瑞々しい感性で切り取られていく独特の映像世界で、趣里さんの魅力が堪能できる作品だったわよ!

O君:さすがKさん、映画もちゃんとチェックしてますね。そして今回の『家族』も趣里さんが主役の公演なのです。これまで寺山修二監督『さらば箱舟』やフランク・キャプラ監督『素晴らしき哉、人生!』など様々な映像作品を舞台化してきたオーストラ・マコンドーが満を持して日本映画の金字塔・小津安二郎監督「東京物語」へのオマージュに挑むわけです。

Kさん:これまで映像作品を舞台化したオーストラ・マコンドーの作品を見ていると、オリジナルの世界観を崩すことなく、倉本さんの斬新なアイデアと繊細な演出で、舞台にしかできない表現を目指しているという特徴があったように思うのね。

O君:ふむふむ、たしかに既存の作品をテーマとしながらも、倉本さん独自の視点と演出が入ることにより、映像だけでは見えなかった部分に新しい光があたるように感じます。

Kさん:そうね、小津安二郎監督の「東京物語」は1953年に公開されているから、すでに60年以上も経つ作品なんだけど、デジタルリマスター版が発売されたり、リバイバル公開されるなど根強い人気よね。ところでO君、もちろん「東京物語」は見たことはあるわよね。

O君:もちろんです!「東京物語」は、尾道に住んでいる老夫婦が、東京で暮らす子供達や孫の顔を見に上京するが、みんなそれぞれが自分達の家庭や仕事に手一杯であまり相手にされず、唯一もてなしてくれるのは次男の妻・紀子だけだった・・・というお話ですよね。

Kさん:さすが、映画好きを公言しているだけあってコンパクトにまとめたわね。この「東京物語」は戦後日本の社会が大きく移り行く中、人々にとって身近な家族のあり方にも変化が起き始めたことを背景に製作された映画だと言われているわね。ただこの映画はそれだけではなくて、人間の老いや死、孤独、つながりなど誰もが経験するキーワードが至る所に散りばめられているのよね。

O君:たしかに、家族の話が中心にはあるんですが、よくよく見ていると画面の端や台詞、少しの間の中にさえ、いろいろな要素が散らばっているような映画ですよね。まさに家族を“社会の縮図”として、人間の普遍的な姿を浮び上がらせていますよね。

Kさん:そうね、そして今回その「東京物語」にオマージュを捧げる作品として上演されるのがオーストラ・マコンドー『家族』よね。何かこの公演について掴んでいることはあるかなO君。

O君:もちろんです。まず今回の公演における主人公は「東京物語」における“紀子”だそうです。「東京物語」では紀子は上京してくる老夫婦・周吉ととみの次男である夫を戦争で亡くし、未亡人という設定なのですが、今回の『家族』でも踏襲し、その紀子の一人住まいであるアパートの部屋を主な舞台に、人々が出入りして物語が展開するということが基本設定になっているようです。

Kさん:つまり、紀子の視点から描く現代版「東京物語」というニュアンスが近いのかもしれないわね。今回のチラシビジュアルを見ても、紀子役の趣里さんの白無垢姿が大きく載っているのが印象的よね。

 
















O君:そうですね、ただ登場人物の名前は紀子以外は違う名前になっていたり、時代設定も現代の話になっていたり、登場人物も「東京物語」には出てこない次男の同級生達が出てきたりなど倉本さんの解釈で描く “家族の物語”として一味も二味もちがう作品になると思います。

Kさん:そうね、それに舞台上で起こっていることだけでなく、ちょっとした会話や間から見え隠れする物語の設定やテーマをじっくり見ることも重要よね。見終わった後はじんわりと自分の家族や親しい人のことを思い出したり、思いを馳せたりそんな気持ちにさせる作品になりそうよ。

【さらに詳しく『家族』に迫る!】

 Kさん: そういえば、この公演に先立ち1月18日にプレイベント『東京物語を読む!』というリーディングイベントを開催したわよね!

O君:そうなんです、かなり濃厚なイベントになりましたよ。せっかくなので、ここでリーディングイベント当日の様子も写真とともに少しお伝えしようと思います!当日は20代から70代の方まで老若男女約30名の方々にご参加いただきました。
ワークショップの内容はというと、映画「東京物語」の脚本の中からいくつか場面を抜粋し、それぞれの役に分かれて読み合わせを行いました。この役を決めるときにはじめ希望を募ったのですが、やはり女性は紀子役に殺到!結局じゃんけんで決めることとなりましたが、ご自身のじゃんけんの弱さに嘆く方が多数いらっしゃいました(笑)そして何より、紀子役の原節子さんの人気のすごさを思い知らされました!たしかに古き良き奥ゆかしい女性の代表という感じであこがれますよね!




















Kさん:そうね、同性から見てもとても品のある佇まいは憧れの的よね。

O君:たしかに、Kさんに今足りないものかもしれないですね!(言った後にしまったという顔をする)

Kさん:(ふつふつと込み上がる怒りをこらえて)・・・まぁ私もこれからより一層大人の女性として磨きをかけていかなくっちゃ、よね。ところで今回のリーディングイベントは、初の劇場の舞台上での開催と最後に発表会もやったのよね、それはどうだったのかな。

O君:そうなんです!最後の発表会はただ脚本を読むだけではなく、より物語の世界をイメージさせるような倉本さんの演出やMOGMOSさんの音楽なども入り、盛りだくさんな内容となりました。参加してくださった方の中には、吉祥寺シアターの舞台に立ててうれしいとおっしゃってくださる方も!

 


















Kさん:劇場で開催した甲斐があって本当によかったわね。本公演もますます期待が高まるわね。
ということで、オーストラ・マコンドー小津安二郎に捧ぐ『家族』は吉祥寺シアターにて3月5日~3月15日まで上演されます!チケットのお求めがまだの方は、ぜひ武蔵野文化事業団チケット予約までどうぞ!

オーストラ・マコンドー 小津安二郎に捧ぐ『家族』公演詳細ページはこちら!
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2014/12/post-31.html
チケット予約はこちらからどうぞ! https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/
オーストラ・マコンドーHP http://www.austra.tv/