カンゲキのススメVol.45 ティーファクトリー『ドラマ・ドクター』


カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、10月23日(金)より吉祥寺シアターで上演が始まるティーファクトリー『ドラマ・ドクター』です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】

ティーファクトリー『ドラマ・ドクター』10月23日(金)~11月2日(月)

公演詳細→http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2015/07/post-38.html

 

 

O君:突然ですが、Kさんにとって“物語”とはなんですか?

 

Kさん:あらO君、今回はずいぶんと哲学的な問いで攻めてきたわね。そしてとても突然すぎるわ。

 

O君:ぼくにとって“物語”はなくてはならない存在です!ひとりで寂しい夜はいつも本の中の“物語”の世界が唯一の慰めだったものです・・・(しみじみ)

 

Kさん:そして聞いてもいないのに自分のことを語り出すっ!だけどそれはO君がただ根暗な男の子だったっていうだけの話なのじゃないかしら?

 

O君:(絶句)

 

Kさん:さて、気を取り直して、今回はティーファクトリー『ドラマ・ドクター』の紹介です。ティーファクトリーはもうすっかりお馴染みだけれど、O君、一応簡単な説明をお願いできるかしら?

 

O君:(がんばって態勢を立て直して)は、はい!任せてください!

ティーファクトリーは川村毅さんの新作戯曲を上演するプロデュースカンパニーです。

川村毅さんは明治大学在学中の1980年に劇団「第三エロチカ」を立ち上げ、1985年には『新宿八犬伝 第一巻 ―犬の誕生―』で岸田國士戯曲賞を受賞します。その後、2010年の劇団30周年の節目に『新宿八犬伝 第五巻 ―犬街の夜―』を創作、25年にわたる連作を完結し、「第三エロチカ」を解散しました。そして、2002年に創作の幅を広げるため、固定メンバーに捉われない舞台創りを目指して「ティーファクトリー」を設立、現在に至っています。

近年の活動では、2012年に白井晃さん演出で上演された『4』が第16回鶴屋南北戯曲賞、平成24年度文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する他、今年からは「東京/ニューヨーク往復書簡」と称して、アメリカの現代演劇を代表するひとり、ジョン・ジェスランさんとコラボして戯曲翻訳のワークショップや公開リーディングを行うなど、精力的な活動をされています!

 

Kさん:はいはい、どうもありがとう。

昨年は実に3年ぶりとなる書き下ろし新作&演出作品『生きると生きないのあいだ』をシアターで上演したわね。柄本明さんの怪演が光ってたわ。

今回の作品は“川村毅新作連作第二弾”として、昨年に引き続き二年連続の新作上演となります。演劇生活30年を経て、いまなお<新しい文体>を追求する川村さんの新境地とも言える作品ね。

ところで、今回の『ドラマ・ドクター』にはきらりと目を引くキャッチコピーがあるけれど、O君ならもちろん知ってるわよね?

 

O君:もちろんです!今回のテーマは「ひとはなぜ物語を“ひつよう”とするのか・・・?」う~ん、聞いただけで謎めいたキャッチコピーですね。

 

Kさん:あ、もしかして冒頭のわたしへの謎の問いかけはここへの伏線だった?

 

O君:ドキリ!ば、ばれましたか?

 

Kさん:ばれたもなにも、話の持って行き方が下手くそすぎるわ。

 

O君:ずん!(深く落ち込む。)

 

Kさん:まぁ何はともあれ、“物語”というテーマが今回の作品に深く根ざしていることはよくわかったわ。じゃあ、“物語”が必要なO君なら、今回の作品のあらすじも、ばっちし紹介できるわよね?

 

O君:はい、任せてください!(ぴし!)

『ドラマ・ドクター』はその名のとおり、「物語の医者」と呼ばれるドクターと、3人の劇作家たちを巡る物語です。

プロデューサーから「今までになかった物語」の執筆を依頼された3人の若手劇作家たちは、自分が書いている物語の展開に行き詰まり、それぞれの思いと物語を胸に“ドラマ・ドクター”の書斎を訪れます。自らの物語について語る劇作家たち。彼らの物語を診断するドクター。ドクターの書斎をうろつき、劇作家たちの物語にたびたび介入しては物語をかき回す怪しい男・アスラム。そして謎に包まれたプロデューサー・・・彼らの現実と“物語”が舞台上で錯綜するとき、いまだかつて見たことのない結末が訪れる・・・!!!はぁはぁ・・・

 

Kさん:はい、熱弁どうもありがとう。少しバテ気味のO君に代わって、このあとはわたしが引き継ぐわ。

「彼らの現実と“物語”が舞台上で錯綜する」、とO君も言ってくれたけれど、この作品の特徴は劇中の現実と、劇作家の書く戯曲の世界が複雑に、何層にも交錯していくことなのよね。いったい今は誰の“物語”を語っているのか分からなくなってしまうような、そんなからくりが仕掛けられています。しかも最後にはとんでもないどんでん返しが・・・

 

O君:Kさん、ストップです!喋りたくなる気持ちは分かりますが、ネタバレになっちゃうんで続きは劇場で、ということで!!

 

Kさん:おっと、O君の熱弁がついつい移っちゃったわ。たしかに結末をあらかじめ知ってしまった物語ほど、面白くないものはないものね。

 

O君:そうです、よくわかってるじゃないですか!まぁ今回の作品は一口で言うと、“大どんでん返しの予測不可能なノンストップ・ブラックコメディ”とでも言うことができるでしょうか!!!

 

Kさん:(なんなのだこのネーミングとノリは・・・)な、なるほど。それは興味深いわね。

ところで、今回の『ドラマ・ドクター』では、ドクターの元を訪れる3人の“若手劇作家役”を、実際に劇作家としても活躍する俳優たちが演じるところにもまた特徴がありそうね。なんでも川村さんたっての希望で、実際に「書くことの苦しみ、つくることのつらさ」を実感している人に演じてもらいたかったとか。

 

O君:そーなんです!人気劇作家ヘンリー役には劇団「おぼんろ」を主宰し、自ら作・演出・出演を行う末原拓馬さん。(おぼんろは今年の5月~6月に、ここ吉祥寺シアターで『ゴベリンドン』を上演したことが記憶に新しいですね!)ヘンリーのライバル・トニー役には「花組芝居」の人気女形俳優で、自身が主宰する演劇ユニット「あやめ十八番」では作・演出も手掛ける堀越涼さん。そして女優から劇作家へと転身する紅一点の女優作家サラ役には、昨年の『生きると生きないのあいだ』にも出演し、自ら作・演出・出演を行う独り芝居を手掛けたこともある岡田あがささんを迎えます!

 

Kさん:聞いただけでもとても魅力的な配役ね!いま最も注目を集める若手俳優・劇作家たちがおなじ舞台上でどんな掛け合いを見せるのか、いまから楽しみだわ。

そして物語の核となるドラマ・ドクター役には、元HIGHLEG JESUS総代の河原雅彦さんを迎えます!

 

O君:河原さんといえば舞台版『カッコーの巣の上で』や『ショーシャンクの空に』、また宮藤官九郎さん脚本の『鈍獣』、『万獣こわい』などの演出で活躍している印象が強いですが、今回は久々に純粋に役者だけでの出演ということもあり、作品に賭ける思いもひときわ強いようです!川村さんと河原さんは同じ明治大学出身ですし、去年の川村さん×柄本さんの「激シブコンビ」に続く「カワカワコンビ」の誕生です!

 

Kさん:O君、それはあまりにそのまんま過ぎるわ!でも、名コンビ誕生の予感がするのはたしかね!河原さんは役者としても類いまれな存在感を発揮される方で、川村さんとタッグを組むことでどんな“ドラマ・ドクター”が生まれるのか、いまからわくわくするわね。

それにしても、河原さん演じるドラマ・ドクターに末原さん・堀越さん・岡田あがささんの3人の若手劇作家たちなんて、舞台中がシブメン&美男美女パラダイスで、考えただけでもうくらくらしちゃうわぁ~。(うっとり)

 

O君:Kさん、それはおばさんの発言ですよ(ぼそっ)

 

Kさん:(鋭く切り返して)なにか言ったかしら?

 

O君:い、いえ、なんでもありませんよぉ!

そ、それから!ドクターと若き劇作家たちの脇を固めるのは、ドクターの傍に寄り添う怪しい劇作家・アスラム役に第三エロチカ時代から川村作品に関わり続け、川村さんから“孤高の哲人”と称される笠木誠さん。謎のプロデューサー、ヘルマン・プレミンジャー役に昨年に引き続き川村さんの新作に出演する東京演劇アンサンブルの重鎮・伊藤克さん。どちらも比類ない存在感を発揮する、川村ワールドに欠かせない俳優さんたちです!

 

Kさん:配役だけでももう目が離せない素敵な舞台になりそうね!目が釘付けになっちゃうわ~。

 

O君:Kさんはどうせ若い人たちばっか見るんでしょ?(ぼそっ)

 

Kさん:(ギロリとO君を睨み付けて)いまなにか言った?

 

 

【さらに詳しくティーファクトリー『ドラマ・ドクター』に迫る!】

O君:と、ところで!公演間近に迫るティーファクトリー『ドラマ・ドクター』の稽古現場へ突入取材をさせていただきました!その様子を今回特別に!!少しだけご紹介いたしますよっ。

 

 

 

 

 


左からドクター役の河原さんと、若手劇作家のトニー役の堀越さん、ヘンリー役の末原さんのスリーショット。ドクターと劇作家たちとの掛け合いは、ユーモアに溢れながらも、ともすればその場の空気が一気に壊れてしまいそうな緊張感に満ちていて、スリル満点の見ごたえ満点でございます!

 

 

 

 

 


ドクター(左)と笠木誠さん演じるアスラム(右)のツーショット。なにやら怪しい関係のお二人ですが・・・アスラムは劇中で“トリックスター”的な役割を果たします。アスラム演じる笠木さんのアクの強くコミカルでいながら絶妙な間を意識した演技はまさに“哲人”技。劇作家たちだけでなく、彼らのやり取りにも注目です。

 

 

 

 

 

 

ヘルマン・プレミンジャー役の伊藤克さん。重厚な存在感がその場を圧倒します!稽古場では他の役者さんやスタッフさんに気さくに話しかけたりちょっかいを出したりと、お茶目な一面も。

 

 

 

 

 


通し稽古が終わり、休憩の後みんなでシーンの確認。写真右端のベージュの服を着てらっしゃるのが演出の川村さん。(写真がめっちゃぶれててわかりづらいですが・・・)

今回の芝居では、さまざまな人物の物語が幾層にも複雑に絡み合うため、いまやっているシーンが誰の物語の世界の中なのかを、演出・役者間で綿密に話し合い、確認し合っています。

写真中央は河原さん。役者として参加する今回の稽古場でも、演出的な目線からいろいろと的確なアドバイスをされていて、周囲をリードされているお姿が印象的でした。
 

 

 

 

 


河原さん、末原さん、堀越さん、そしてサラ役の岡田あがささんの夢のワンショット!!!

物書きたちの率直な熱意と苦悩がぶつかり合う物語なだけに、それぞれ実際に執筆や演出をやられている皆さんにも熱が入ります!

4人ともそれぞれ共演は初めてだそうですが、まるでいままでずっと一緒にやってきたチームのように息の合ったチームワークを発揮しています。

 

わずか数時間の見学ではありましたが、稽古場にいるだけで役者さん・スタッフさん・そして演出家である川村さんのアツイ思いが伝わってきました!! これがシアターの舞台でどんな作品に仕上がるのか・・・いまから待ち遠し過ぎて夜も寝られません!!!

 

Kさん:どうもありがとう、O君。充実した稽古場見学になったようね。興奮しすぎて疲れたのか、戻ってきてすぐに机に突っ伏して寝ちゃったことは黙っといてあげるわね。それにしても、とても素敵な役者さんたちを間近で見られるなんて羨ましい限りだわっ!!

(なにか言いかけるO君を睨んで制しながら、)そういえば、公演期間中にはスペシャルゲストを招いたポストパフォーマンストークも開催されるのよね?

 

O君:そそ、そうなんです!トークゲストがついに公開されたんです!
 

 

 

 

 

 

24日(土)18時の回には歌人の穂村弘さん。28日(水)15時の回には“スクリプトドクター”の三宅隆太さんをゲストにお招きして、川村さんとトークを行います!

穂村さんは現代短歌を代表する歌人のお一人で、90年代の「ニューウェーブ短歌運動」を推進した方でもあります。穂村さんの短歌のことばは日常的でありふれていながらも、斬新なことばの組み合わせで独特の世界観を描いており、老若男女から高い支持を受けています。

三宅さんは脚本家・映画監督として活躍する一方、大学やシナリオ学校で教鞭を執るなど、まさにシナリオのプロフェッショナルとも言える方です。近著には『スクリプトドクターの脚本教室・初級篇』(新書館刊)があり、作家を目指す人だけでなく、物語に興味がある人にも面白く読めるシナリオ解説書です!

 

Kさん:まさに「ことば」と「ものがたり」に関するふか~い話になりそうね!川村さんとどのようなお話をされるのか・・・こちらも注目ね!

 

そんなわけで、ティーファクトリー『ドラマ・ドクター』は10月23日(金)より吉祥寺シアターにて始まります!

初日の23日(金)は初回特別価格で誰でも4000円のお得回です!土日の公演もオススメです。お得な高校生以下チケットもございますよ!この機会をぜひお見逃しなく!!!

 

 

ティーファクトリー『ドラマ・ドクター』の公演詳細ページはこちら!

http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2015/07/post-38.html

 

チケット予約はこちらからどうぞ!https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/

 

ティーファクトリーHP→ http://www.tfactory.jp/