カンゲキのススメVol.46 劇団しようよ『ドナドナによろしく』

カンゲキのススメは、東京を中心として、これから始まる公演のご紹介を主に行うページです。演劇初心者の吉祥寺シアターの新人職員O君が、先輩職員Kさんに色々と観劇にあたっての質問をしていきます。お読みになっていただいた方に、今までは知らなかった劇団や新しい魅力などを見つけていただき、劇場へ足をお運びいただくきっかけになればと考えております。

今回取り上げるのは、11月21日(土)より武蔵野芸能劇場で上演が始まる劇団しようよ『ドナドナによろしく』です。

【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】
劇団しようよ『ドナドナによろしく』
公演詳細:http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2015/09/post-486.html


Kさん:O君って、昭和何年生まれなの?

O君:え、僕ですか?僕は平成元年です。

Kさん:え、あなた平成くんなの?じゃあ、なに、あなたは小渕さん(小渕恵三元首相、当時は官房長官)が、あの「平成」を掲げたときは、まだ生まれていなかったの?そんな人が間近にいるだなんて、考えもしなかったわ…(冷ややかな目つき)

O君: いや、あの、そんな露骨に冷たい目をするの、止めてもらっていいですか?ちょっと怖すぎます。てか、突然どうしたんですか?

Kさん:実はね、先日、京都まで《劇団しようよ》さんの最新公演「ドナドナによろしく」の稽古場にお邪魔してきたの。

O君:(話の展開の唐突さ加減に戸惑いつつも)あ、ああ、今週末11月21日(土)から24日(火)まで、我らが吉祥寺シアターのお姉さん?お兄さん?にあたる、武蔵野芸能劇場で上演される公演ですね。

Kさん:そうよ。という訳で、今日のカンゲキのススメは、この、劇団しようよ『ドナドナによろしく』を採り上げます。

O君:吉祥寺シアター公演以外の作品を、このカンゲキのススメで採り上げるのは初めてですね。

Kさん:そういえば、そうね。

O君:《劇団しようよ》さん、僕は拝見したことがないのですが、少し教えていただけますか?

Kさん:固定の確立されたスタイルを軸にするのではなく、作品ごとに、色々なアプローチで作品製作を進めている印象があるわ。前回東京で上演された「パフ」は、“さよならのための怪獣人形劇”とサブタイトルがついているように、人形を用いた演出が興味深かったわ。

O君:ということは、いつも人形を使うという訳じゃないんですね?

Kさん: そうね。あえて共通しているのかなと思うところを挙げるとすれば、派手だったり、一瞬のインパクトが強い手法ではなく、全体的に手作り感があって、それを生身の人間(俳優)が積み上げていく、と感じられるところかしら?

O君:手作り感、ですか・・・?

Kさん:もちろん、どんな派手なものも、突き詰めれば手作りなんだけどね。でも喩えるならば、スピーカーから打ち込みの音楽をガンガン流すクラブと、小さいアンプとスピーカーだけで演奏される弾き語り、どっちも音楽だし、どっちも元は人が生み出すものだけど、その印象はだいぶ違うじゃない?

O君:そうですね。気分によって、どっちの音楽を聴きたいかとか全然変わってきますし、そもそもそれらの音楽が楽しめる場所だって変わってきますもんね・・・?
そうだとすると、音楽・演奏の吉見拓哉さんの存在は大きそうですね。

Kさん:鋭いわね、O君。ギターとハーモニカの、吉見さんの弾き語りスタイルは、劇団しようよさんのスタイルを象徴しているとも、大きな影響を与えているとも言えるように、私には思えるわ。
 

【さらに詳しく『ドナドナによろしく』に迫る!】

O君:今回の公演『ドナドナによろしく』はどういう印象でしょうか?イディッシュ歌曲の「ドナドナ」に着想を得ていると聞きましたけど。「ドナドナ」って、あの哀しい歌ですよね。「ドナドナド~ナド~ナ 仔牛を乗せて ドナドナド~ナド~~ナ 売られていくよ」(歌いながら既に泣いている)

Kさん:ちょっとO君、気持ち入りすぎ・・・。

O君:(涙を拭いながら)『ドナドナによろしく』って、この売られていく仔牛によろしくっていうことなんでしょうか・・・?なんて哀しい(また泣く)

Kさん:(無視して)確かに、食用にされる牛の話も出てはくるけれども、牛が可哀想かどうかというだけじゃなくて、そうやって売られて殺されて食べられていく仔牛が、何を思うかということを想像しようというところに主眼があると思うの。

O君:でも、全編牛の話なんでしょうか・・・?

Kさん:違うから安心して。牛だけじゃなく、同じ時代を生きている他者、そして残念ながら亡くなったり消えてしまった他者を、想像したり思い返したり。そこから、今私たちが生きている、この「平成」という時に思いを馳せて、「私」という個人を「時代」(「平成」)という大きな流れに、個人の偏りのある視点から、結びつけていこうとする。
全体の構成は、もちろん演出の大原さんによるものだけれど、出演している俳優にとっても、劇場の客席に座る観客の皆様1人1人にとっても、他人事ではないでしょ?それぞれが、それぞれの視点でこの「平成」という大きな流れに思いを馳せて、自身の立ち位置というか、「私」と「他者」の関係性や、自分がこれまで生きてきた道のりについて思いを馳せることが出来ると思うわ。

O君:お客さんを含めた、全ての関係者が確かにその瞬間「平成」を生きているわけですものね。それでKさん、最初に何年生まれかを尋ねてきたんですね?

Kさん:私は「平成」が誕生した瞬間からずーっと今まで「平成」を生きてきていますからね。O君は違うみたいですけど。

O君:いい大人なんだから、拗ねないで下さい。僕だって半年くらい遅れただけですよ。でもKさんのお陰で、『ドナドナによろしく』が、どういう作品なのか、何となく分かってきました。タイトルからは想像がつかないような、壮大なお話ですね。

Kさん:時代だったり社会だったり大きな流れと、「私」という個人を対比させながら、現代社会に於いて個人が孕むあやうさを見つめ直すというのは、《劇団しようよ》さんの作品の大きな特色だと、私は思っているわ。

O君:これ、最終的には文字に起こされるから読んで下さる方は大丈夫でしょうけど、聞いている僕は、Kさんのいう《私》が、Kさんのことを指しているのか、「個人」という意味なのか、わからなくなりそうです。

Kさん:文字起こし、頑張ってね!(満面の笑みで、颯爽と立ち去る)

O君:えー、ちょっとKさん、丸投げは勘弁して下さい・・・。
(諦めて)劇団しようよ『ドナドナによろしく』は、11月21日(土)~24日(火)まで、武蔵野芸能劇場で上演されます。吉祥寺シアターではございませんので、ご来場の際はお間違いの無きよう、ご注意下さい。僕も上演が楽しみです!公演詳細や、チケット予約は下記のリンク先よりどうぞ。1人でも多くのお客様のご来場を心よりお待ちしております!!


劇団しようよ『ドナドナによろしく』
公演詳細:http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2015/09/post-486.html
チケット予約:https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=109&type=O
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●アフタートークのゲスト決定!!
11/21(土)19:30の回 ゲスト:北川大輔さん(カムヰヤッセン)
11/22(日)19:30の会 ゲスト:杉原邦生さん(KUNIO/木ノ下歌舞伎)

ご来場をお待ちしております!!