吉祥寺ダンスLAB. vol.2『サーチ』レポート①(吉田恭大)

 
「カンゲキのススメ」では、主に吉祥寺シアターで上演される作品に関連して、インタビュー、劇評、レポートなどさまざまなコンテンツを掲載いたします。これからシアターでどんな作品が上演されるのか?どんなアーティストが関わっているのか?作品の魅力を少しでもお伝えできれば幸いです。
 
今回取り上げるのは、1月25日(土)・26日(日)の本番に向け絶賛制作中の吉祥寺ダンスLAB『サーチ』。このページでは、作品のクリエーションの様子を数回に渡りお届けします。初回は歌人・舞台制作者の吉田恭大による稽古場レポートです。
 


1/9稽古場レポート

2020年になって、稽古3日目。劇場も、吉祥寺の街の雰囲気も、お正月が明けてどことなく真顔になってきたような気がする。とはいえ、稽古場の雰囲気はあくまでリラックスしていた。
昨年末に脱稿した額田さんのテキストを、岩渕さんと酒井さんの二人が交互に踊ってみる。テキストは全部で5章。ひとまずは1日1章のペースで進めていく予定だという。
まずは一人ずつ、声に出しながら身体を動かしていく。逐語訳のように、言葉を一つ一つ動作に置き換えてみる作業。同じテキストを読みながらでも、当然ながら岩渕さんと酒井さんの動きは全く違う。とりあえずやってみる、それから話し合う、の繰り返し。三人の話の中で印象的だったのは、どうとでも「踊れてしまう」ことに対して、どのくらいテキストの解釈を寄せていくか、具体的に演じるか、という身体と言葉の距離感の話だった。

 

たとえば。テキストに「お祭り」という語があるとする。その一語によって、二人は(あるいはダンサーと呼ばれるような身体を持った人々は?)いかようにも「お祭り」を踊ることができる。それはお祭りの中でも、盆踊りや阿波踊りのような実際にある振り付けの中の一部分かもしれない。あるいは、お祭りの景色の描写、そぞろ歩いている人々や屋台や花火の様子の再現、あるいは、もっと個人的な思い出の中の、固有性を持った季節や時間の中でのざわめきや賑わいのような、抽象的なものかもしれない。
ダンサーの身体を経て、出力されていく「お祭り」を見るとき、それが写実的な描写なのか抽象詠なのか、テキスト全体だけでなく単語レベルでも機能が変わってくる。

どのくらい具体的に演じるか、というのはどのくらい忠実にテキストを読むか、という点にも関わってくる。たとえば、書かれている文字数以上のリフレインをどこまで繰り返すことができるか。額田さんは度々、「音として言葉を扱う」ということに触れていた。音として気持ちよくなるまで、あるいは次の語が言えるようになるまでその語に留まり、繰り返し読んでもいい。音として読む、意味を込めて読む、という二つのバランスについても、章ごとに調整がされていた。
ふだん定型詩という制約の多いフレームの中で作品を作っている立場から見ると、言葉の側にも身体の側にも、三人で調整できるゲージがたくさんあるのは少しうらやましい。実践と対話を繰り返す、その成立過程を追うだけでもとてもスリリングな体験だった。

最終的なアウトプットの形式はまだわからない。テキストをどこまで声に出すのか。作中に出てくる何人かの人間は、上演としてどう登場するのか。舞台美術についても面白そうなアイデアが沢山出ていた。岩淵さんの言う「言葉と身体のバランスが整う」瞬間を狙いながら、全体のレイアウトについてもこれから決まっていくのだろう。

三人の手札を出し合いながら続いていくクリエーションが、最終的にどのような形で上演に現れるのか。舞台上の三人の在り方も含め、ぜひ多くの人に見届けていただきたいと思う。

吉田恭大(よしだ やすひろ) 歌人・舞台制作者/歌集に『光と私語』(2019年いぬのせなか座)



【武蔵野文化事業団にて、チケット販売中!】



吉祥寺ダンスLAB. vol.2『サーチ』

[振付・ダンス]岩渕貞太 [テキスト・音楽]額田大志  [出演]岩渕貞太 酒井直之 他 

1月25日(土)19:00 1月26日(日) 14:00

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1月20日(月) 19:00~20:30  公開リハーサル&トークセッション開催決定!
入場無料、皆さまお気軽にご来場ください!