月の岬

投稿者:ピンクのイヤホン


 
青年団第66回公演「月の岬」を観て参りました。ブログに書いていないだけで他にも色々観てはいるのですが、なぜか採り上げるものは青年団ばかりになってしまいますね。たぶん自分で思っている以上に、青年団好きなのかも知れません。でも、次は違うものを採り上げます(と宣言しておきます)。


で、「月の岬」なのですが、青年団にしては珍しく、平田オリザ氏の脚本ではなく、マレビトの会の松田正隆氏が脚本を書いています。97年の初演時に、読売演劇大賞の最優秀作品賞・優秀演出家賞を受賞した、平田・松田両氏にとっても代表作と言える作品です。私個人は今回が初見だったのですが、その巧さに思わず舌を巻いてしまいました。なかなかというか結構というか重たい物語で、一歩間違うとうんざりしそうな感じもするのですが、観ているときには、その色々と絡み合った人間関係に引き込まれ、言葉のやりとり1つ1つに聴き入ってしまいました。それでも、ただ口当たりがなめらかというだけではなく、観終わった後にはしっかりと苦みが残る。美味しい珈琲みたいなものですかね。


松田氏の脚本は、長崎弁で繰り広げられる会話ということ以外にも、物語の進め方や人物同士の関係性など、少しずつ平田氏の脚本とは違う手触りを感じるのですが、全体の印象としてはしっかり青年団の舞台に仕上がっています。青年団は10月末から11月前半にかけて吉祥寺シアターで公演を行いますが、ますます楽しみになりました。「月の岬」は東京では17日まで座・高円寺で上演しています。


ちなみに、この「月の岬」は、昨年やはり吉祥寺シアターで公演を行ったPカンパニーが、7月に池袋のシアターグリーンで公演を行うそうです。演出家に文学座の高瀬久男氏を迎えて上演するとのこと。同じ脚本を別々の方、しかも現代口語演劇を提唱した平田氏と、「新劇」の団体である文学座・演出部所属の高瀬氏では、立ち上がってくる舞台空間が全く異なることでしょう。両者を見比べてみることで、演劇の見方を広げたり、新しい視点に気づけたりするかも知れません。