「書を捨てよ、町へ出よう」

                                  書いた人:スピカ
 吉祥寺シアターでは来年2月に、寺山修司没後30年記念認定事業、劇団オーストラマコンドーによる寺山修司遺作映画「さらば箱舟」を舞台化することが決定いたしました。

また本年12月7日(土)、8日(日)には
“町へ出て寺山修司の短歌を詠む野外劇 新作公演プレイベント半観客参加型野外劇”
「書を捨てよ、町へ出よう」も会場をコピス吉祥寺のウッドデッキに移して開催されることが決定いたしました。
※本企画は出演者オーディションが行われます。オーディションの詳細については劇団HPまでよろしくお願いします!

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生まれてはじめて寺山修司の名前を聞いたのはいつのことだろうとなんとなく思い浮かべてみました。
私の年代からすれば、寺山修司と訊いて、“知っています。”となんの迷いもなく答えられる人は、文芸(特に詩歌)に詳しいか、演劇に詳しいか、内容に関らず熱烈な寺山ファンかといった観があります。いずれにしても、寺山修司とはどんな方かという回答ではありません。つまりそれは人物像――映像、演劇、歌人などそのマルチな活動に秀でていた証明でもあり若干、伝説じみた人物像が語り継がれており、同時に、類稀なる夭折の叙情詩歌人としての側面と、実験演劇としての人物像との対比を両天秤にかけることに躊躇いと迷いが生じるからでありましょう。何しろご本人は、本業は何ですかと問われると、決まって「僕の職業は寺山修司です。」と返していたのですから。それと同時に私よりも年配で青年期に同時代を生きた方にとっては詩歌、演劇の内容、そのものよりも、さらに寺山修司という名前にある種の時代の息吹、憧憬、強いカリスマ性を感じる方もまたいます。
(私自身は短歌のノスタルジックな叙情性に少なからず影響を受け、寺山修司というと、歌人でしょうと答えます。)

 さて、今回公演が決定された「さらば箱舟」はノーベル文学賞作家、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」を下敷きとしているそうで、まずはこれを押えなければ…とメモを記したのはよいものの、他の波のように興味深い情報もまた同時に眼に入ってきます。本当にエピソードに事欠くことはありません。
しかし今回のコピス吉祥寺の「書を捨てよ、町へ出よう」には少しだけ回答ができるかもしれません。
この文言はそのまま著名からきておりますが、――続きがあるのです。
“かつて、私は、「街は大いなる開かれた書物である」と書いた。
しかし今ならばこう書き直すことだろう。
「街は、今すぐ劇場になりたがっている。さあ、台本を捨てよ、街へ出よう」と。“

寺山修司関連情報
寺山修司没後30年としましてタワーレコードのフリー情報誌「intoxicate」バックナンバーに評論家の東琢磨氏が論考を寄せております。
下記のURLからもアクセスできますのでご参考まで。
http://www.tower.co.jp/article/feature/2013/05/10/terayama