朗読劇

書いた人:スピカ
 

 FUKAIPRODUCE羽衣『耳のトンネル』公演初日を迎えました。今、モニター越しに舞台を見ているのですが、耳穴と波紋状に描かれた砂のような部分が大変シュールです。スケール感あふれる舞台となっておりますのでご観劇されるお客様ご期待ください!本日以降のチケットの取扱いは→こちら

時々ではありますが、自分がその時感じた気持ちや想いが、かつて見たものとオーバーラップして見えてしまうことがあります。

かなり前に、お休みの日を利用して、東京国立博物館の常設展示に行ってまいりました。江戸幕府において鎖国化されていた当時の物品、遺品の品々が展示されていて興味深く拝見したのですが、一般に知られる踏み絵だけでなく、イタリア人宣教師シドッチが所持していたとされる「親指の聖母」に感銘を受けました。濃紺の被布に包まれたマリアの横顔に目尻から頬を伝う一筋の涙。何かそこには篤い信仰心と、日本におけるキリスト教弾圧と迫害の歴史をそのまま描かれているような気がしたのです。危険を冒し、邪教と罵られ、異端の眼を向けられながらも、矜持を守りぬく。当然、押収された品は歴史の闇に葬り去られ、遺品は破棄されてもおかしくはありませんが、こうして今日、展示されているという事実は、月並みな言い方かもしれませんが、残るべくして残ったのでしょう。

それから一年以上経ち、つい先月、北千住のシアター1010 で「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」のスタジオ公演に行ってきたのですが、(これはグイドレーニという画家の同名作品が主題となっているのですが)あぁこれは先述した国立博物館で得た感触と一緒だなという既視感を得ました。(この短いブログでは詳しくは申せませんので、ご興味のある方はネット等で絵画を検索して調べていただければ幸いです。)

この公演、もとは昨年、あいちトリエンナーレ「オープンアーキテクチャ」のスペシャル企画として朗読劇から始まったものと聞きました。将来的には舞台化を視野にいれているそうで、朗読劇→スタジオ公演→舞台公演とステップを踏んでゆく手法に層の厚みを感じます。また、前段階の朗読劇はどのようなものだったのか気になるところであります。

さて、朗読劇といえば吉祥寺シアターでも7日より発売となりました前進座公演 北九州市立松本清張記念館プロデュース 松本清張朗読劇シリーズがありますね。松本清張作品の多くは、巧妙な伏線と、犯行が起こった経緯、捕まるまでの犯人の不安な心理、心情が重なり描かれることで知られております。

巧みな物語構成といくつもの解釈可能な余白部、さらにはあとに残る余韻、社会派と呼ばれた作家が描いた普遍のテーマが、朗読劇としてどのような形で再現されるのか、今から楽しみなところです。