古くて新しいもの

書いた人:スピカ

 

 現在、吉祥寺美術館では「加藤まさをの乙女デザイン展 華やかなる大正抒情画家たち~夢二、かいち、華宵、春佳~展」が開催中です。【会期~9/15(祝・月)まで】
 私はつい先日、観覧してきたのですが、大正ロマンや、昭和モダン、童心主義など勉強になったことも多く、チャプターに記された解説にその時代を感じたり、観終えた後はなにやら展示室に包まれている空間に―ノスタルジーそのものに浸ってしまい―1つ1つの作品それ自体が小品だったこともあって、鑑賞記録を残そうにも曖昧なものとなってしまいました。そして自分が幼かった日のことを思い出しておりました。
 これは展示されていた事物・事象が幼い頃の記憶そのものとだぶって見えたというわけではもちろんなくて、(祖父・祖母の世代がまさにこの世代頃ではあったのだろうとは思うのですが、)自身が生まれてなかった時代の生活スタイルを探ろうとして、ノスタルジックな気持ちを得ることがあるとしたら、時代をいくら遡ってもこの辺りが限界だろうなと思うから、感じたのかもしれません。つまりそれは展示されている作品の多くは雑誌の装丁画、挿絵、レコードジャケット、楽譜、詩画集、封筒に画かれたアールヌーボー(植物文様)やアールデコ調(幾何学文様)のデザインをとってみても、今と遜色ないというよりは、レトロなもの、懐かしさを感じる原点がそこにあるということなのです。

 よくリバイバルブームという言葉があります。20~30年前に流行したものが、今になって新鮮に映り、もう一度流行のサイクルを繰り返すというものです。ただそこへいくと、大正ロマンや昭和モダンというのはいつまでも色褪せない魅力を感じます。関東大震災や、戦争によってその流行そのものが非常に短命にならざるを得なかった背景もあるのかもしれませんが、「レトロなんだけれども新鮮に映る」「新鮮なんだけれどレトロ」という境界線上を今なお、行ったり来たりします。だからとても不思議なのでしょう。

 余談ではありますが、私は大正の叙情画家と言えば思い出すのは、竹久夢二で、今回の展示にはありませんでしたが、「かげやとうろくじん」という影ふみをしている男の子の画が一番心に残るというか、ほっとする絵画としてかれこれ10年以上も前に観覧した記憶があります。またいつか観に行く機会があるだろうか、観たら、あの時見た感情がまた甦るだろうか、なんてことをふと思い返してみたりしました。