スタッフブログ:2014年11月

劇場の神様

書いた人:スピカ

 

 少し前に新宿に出る機会がありまして、靖国通り沿いが、大変な賑わいなので、何の縁日かと思って見ていると、11月には恒例の「酉の市」が花園神社で開催されていたのでした。
 酉の市と言えば熊手のお飾りでして、主に商売をされている方がご購入されるようで、本来は一般の勤め人などは関係ある行事なのか?疑問に思うこともあるのですが、たくさんの煌びやかな熊手やそれにも増して境内を埋め尽くす飲食の出店を見ておりますと年の瀬の賑わいを感じます。このような光景は、私の生まれた地方ではあまり聞いた事がなく、都内に出てきてから知った催しではありますが一気に年の瀬が来た趣を感じさせますね。
 そういえば、熊手のような縁起物ではありませんが、神社、神事ということで繋がりがあるとすれば、劇場にも毎年12月も中旬になると神様の交代が行われます。平たく言えば、劇場に掲げてある一年間お守り頂いた神札(しんさつ)を元のお宮に返納し、代わりに新しい御札をお招きし掲出するのです。一年間、何事もなくお客様をお出迎え、お見送りできたことに感謝し、また一年、気持ちを新たにすることは毎年恒例とはいえ、劇場にとっては大切な神事と言ってよいと思います。一見、何事もなく一日、一日が過ぎてゆくようでも、日々の営みには意味があることを教えてくれます。我々スタッフにとっても怪我や病気に苛まれていては仕事になりませんから、今年一年、何事もなく過ごせたということはそれだけで「幸福」なことですね。

吉祥寺シアター公演情報
 来月5日(金)からのデュ社「ふたつの太陽」に関しましてアフタートークのゲストとお時間が確定しましたので、お知らせいたします。
○5日(金)19:30
port B主宰 高山明氏 × 向雲太郎
○6日(土)19:00
向雲太郎 × 川口隆夫 × 小栗雨吉(ドラマトゥルグ)
終演後、30分~40分を予定しております。
※別日をご覧頂いたお客様も半券を御持ち頂ければ、ご覧頂けますのでよろしくお願いします。

また、本公演に併せましてカンゲキのススメも更新しましたので、舞台を観る前にご一読頂ければ幸いです。

 

decade

書いた人:スピカ

 

 英単語で10年(間)は「decade」と言います。カタカナ表記にするとディケイドが適当でしょうか?皆様、ぜひとも10年はでっけいど(でっかいぞ!)とでも覚えましょう。
 …で、何故このような書き出しからはじめたのかと言いますと少しだけ理由があり、やはり10年という年月はやはりでっかいねと駄洒落とはいえしみじみ思ったからです。

―先月のことです。
 「黄昏にロマンス」の公演の問い合わせ電話を受けていたところ、
「実は前にもう30年は前かしら? “ターリン行きの船”って言って、キャストは今回のお二人ではないけれども設定は全く同じで、たしかその時も同じ舞台を観に行ったのよ。だから、今回もとても楽しみにしているの」
とご丁寧に私に説明してくださる年配のお客様のお問い合わせを受けました。
「確かにこの作品は随分以前に公演されたことがあったようですよね。ぜひ観にいらしてください。」
とその場はそのまま受話器を降ろしたのですが
さて・・・と業務に戻ろうした刹那、今から30年以上も前の舞台のこと?このお客様はそんな昔のことまで大切な記憶として温めていらしたのか!と内心驚きで一杯であったからです。
皆様、たとえば30年前どうしていたかとか、または逆に今から30年後、自分はどうなっているか覚えていたり、想像がついたりしますでしょうか?
そんなことを考えていると少し事情はかわってしまうかもしれませんが、私も似たようなことであれば、体験だけはしているかもしれません。ネットでモノを調べることができる時代になって随分世の中も変わったものだと「今浦島」を唱えるほど時代錯誤のことは言いませんが、時々、自分がまだ子どもであったころ、読んでいた本であるとか映画のことを調べてしまうことがあるのです。それは当時の世間的な評価がどのようであったかとかリアルタイムの情報を知ることができたり、作品レビューを読んでみたり、今になってから記憶の確からしさを追認する作業と似ているのかもしれません。
まぁそれはさておいても、自分の30年後は・・・と思い浮かべても、「さて・・・」と答えはないままではありますが・・・。 

 


 

移ろいゆく季節

書いた人:スピカ

 

 今年も残り一月半となりました。早いですね~。一年ってあっという間だなぁと、自宅で書棚の整理をしていたところ、学生の頃、読んだ本をもう一度手に取る機会がありました。美術評論家である椹木野衣の著作で「平坦な戦場でぼくらが生き延びること(筑摩書房)」の中に「私たちの記憶に残っている風景というのは見えるものを手立てとして、実はその中の意味を見ているもかもしれない。」という趣旨の文言で、時節柄感慨深く思いました。これはつまり、些細な事ながら夏から秋、秋から冬といった変化にも応用が可能で、例えば衣替えで周りがネクタイを締めるようになってはじめて秋が深まったことを感じ、冬物のコートやマフラーを用意したりとか、今日は寒いから鍋でもつつくかと肘を組んで寒い寒いとポーズを取ることってありますよね。我々の意識というのは、実際の暦の変化よりも「目にはさやかに見えねども」の変化の世界で生きているのであって、型どおりに意識の変化が追いついているというよりは、五感を通じてふとした瞬間に秋だなぁ、冬だなぁなんて気づき、思い出したかのように昨年はどうしていたかと記憶の連鎖が続くような気がいたします。

 
 ふとそんなことを思ったのも、当館では9月よりアマヤドリ「非常の階段」にはじまり、つい先日まで公演のありました「黄昏にロマンス」で今年度の秋の協力・提携公演が一区切りついたということもあるかと思います。晩夏にアマヤドリの稽古場見学に行かせていただいた際には半袖で十分だったのに、あっという間に11月も中旬となり、気温の低下と日の短さを感じたのが、実に「黄昏にロマンス」の楽日のことでした。

 さて、そろそろ年末に差し掛かってきました。来月は 5日(金)~7日(日)のデュ社旗揚げ公演「ふたつの太陽」、そして毎年恒例劇団SCOT「トロイアの女」、「からたち日記由来」19日(金)~26日(金)の公演が控えております。
 2公演とも、お時間がありましたら、ぜひとも吉祥寺シアターまで足を運んでいただければ幸いです。

 


 

可児市物産展がやってきました!

書いた人:バタコ

 ala Collectionシリーズvol.7『黄昏にロマンス-ロディオンとリダの場合-』が絶賛公演中の吉祥寺シアターロビーに可児市の物産展がやってきました!11月7日(金)と8日(土)の2日間、可児市の名産品をご来場の皆様にお届けしました!その様子を少し紹介したいと思います。
























有名な可児市のバラのバスソルトやローズアクセサリー、バラのジャムやせっけんなど、吉祥寺シアターのロビーがとっても素敵な香りに包まれました。香りはもちろん、様々な種類のグッズはとても色鮮やかで、ロビーが一気に華やかになりました。













他にも、可児市ゆかりの武将グッズや、観光情報パンフレットなども準備され、吉祥寺に居ながら可児市に遊びに行った気分を味わうことが出来ました。可児市の皆様ありがとうございました!













 吉祥寺シアターでのala Collectionシリーズ公演を楽しみにされているお客様も多いのですが、この物産展を楽しみにされているお客様も多いようで、公演前にもお問合せをいただきました。2日間ご来場ありがとうございました。連日たくさんのお客様にお越しいただいている『黄昏にロマンス』も残りわずか!平幹二朗さんと渡辺美佐子さんの夢の共演が東京で観ることができるのは残り2日。おふたりの若さに驚愕しながら、私も頑張らなければ・・・と感じる今日この頃です!!ご来場のお客様は可児市からのプレゼントのバラもぜひお楽しみに。

  

悲しさ半分、喜び2倍

書いた人:スピカ

 

 吉祥寺シアターで公演中の「黄昏にロマンス」の公演も中日を過ぎ、今日を含めて、残り4日間の公演となりました。今日、明日とご来場のお客様には、岐阜県可児市の物産展もあります。そちらもぜひお立ち寄りください。
 

 さて、ゲーテと並び称されるドイツの詩人であり劇作家としても名高いシラーの言葉に「友情は喜びを2倍にし、悲しみを半分にする」というものがあるそうです。おそらく学生の頃に、何か部活動に打ち込まれた方には、こうした言葉って共に歩んだ仲間との繋がりや絆っていくつになっても身に染みてわかるのだろうなぁ・・・なんて解釈していたのですが、これは”友“という部分を言い換えて、ご結婚をされた方にとっては生涯の伴侶や家族に対しても当然言えることにも気づきます。今、公演中の「黄昏にロマンス」も、(夫婦という設定ではありませんが)あくまで脚本を読んだ限りのことですが、これに通底するものを感じておりました。ただ、今月号のシアターガイドに主演お二人の対談が掲載してありまして、渡辺美佐子さんが、「戦争の傷跡を知っている世代の悲しみを含めて、単にラブロマンスというのではなく、孤独な二人がすれ違いながらも寄り添って行く過程をお客様に観て頂けたら」とおっしゃっていたのが印象に残ります。そこで、ほんの少しだけ、自分なりの解釈ではありますが、この言葉が劇を読み解く鍵になればと、1冊の本を紹介したいと思います。

 
 「孤独」とは一体何であるのか?ということについて、劇作家の鴻上尚史さんは「孤独と不安のレッスン」(大和書房)の中で、人間は生きている限り、孤独と不安に苛まれながら生きているもので、どうにかして輪に馴染じみ、気を紛らわせるよりはむしろ孤独と真に向き合うことで人との付き合い方も変わるものだと。また、人と人とは分かり合えるのが当然だという意識を捨てること。そもそもが分かり合えないからこそ、分かり合おうとするものだと意識をシフトするよう勧めております。これって劇中のロディオンとリダそのものかもしれないなんて重なるものを感じます。もちろんこの考えが全てとはいえませんが・・・。

あっ・・・昔読んだ本の中で恋愛に対しての印象深い箴言(しんげん)をひとつ思い出しました。
最後に1つ
 「恋愛の最初の一歩はインスピレーションである。しかしその後の長い道程は忍耐と容認にある。」
                      「過ぎ行く風は緑色」倉知淳 創元推理文庫