移ろいゆく季節

書いた人:スピカ

 

 今年も残り一月半となりました。早いですね~。一年ってあっという間だなぁと、自宅で書棚の整理をしていたところ、学生の頃、読んだ本をもう一度手に取る機会がありました。美術評論家である椹木野衣の著作で「平坦な戦場でぼくらが生き延びること(筑摩書房)」の中に「私たちの記憶に残っている風景というのは見えるものを手立てとして、実はその中の意味を見ているもかもしれない。」という趣旨の文言で、時節柄感慨深く思いました。これはつまり、些細な事ながら夏から秋、秋から冬といった変化にも応用が可能で、例えば衣替えで周りがネクタイを締めるようになってはじめて秋が深まったことを感じ、冬物のコートやマフラーを用意したりとか、今日は寒いから鍋でもつつくかと肘を組んで寒い寒いとポーズを取ることってありますよね。我々の意識というのは、実際の暦の変化よりも「目にはさやかに見えねども」の変化の世界で生きているのであって、型どおりに意識の変化が追いついているというよりは、五感を通じてふとした瞬間に秋だなぁ、冬だなぁなんて気づき、思い出したかのように昨年はどうしていたかと記憶の連鎖が続くような気がいたします。

 
 ふとそんなことを思ったのも、当館では9月よりアマヤドリ「非常の階段」にはじまり、つい先日まで公演のありました「黄昏にロマンス」で今年度の秋の協力・提携公演が一区切りついたということもあるかと思います。晩夏にアマヤドリの稽古場見学に行かせていただいた際には半袖で十分だったのに、あっという間に11月も中旬となり、気温の低下と日の短さを感じたのが、実に「黄昏にロマンス」の楽日のことでした。

 さて、そろそろ年末に差し掛かってきました。来月は 5日(金)~7日(日)のデュ社旗揚げ公演「ふたつの太陽」、そして毎年恒例劇団SCOT「トロイアの女」、「からたち日記由来」19日(金)~26日(金)の公演が控えております。
 2公演とも、お時間がありましたら、ぜひとも吉祥寺シアターまで足を運んでいただければ幸いです。