オーストラ・マコンドー「家族」公演に向けて(小津安二郎映画より:俳優編)


書いた人:スピカ


 本日、劇団オーストラ・マコンドーによるプレイベント「東京物語を読む!」のワークショップが開催される運びとなりました。ご参加頂いた皆様ありがとうございました。17時からの参加者による発表会の観覧は無料となっておりますので、ご興味のある方はぜひとも吉祥寺シアターまでお越しください。また「東京物語」をもとに同劇団、倉本朋幸さん脚本・演出による「家族」の本公演が3月にございますので観劇をご検討頂ければ幸いです。

 さて、新年が明けて、新聞を読んでいると脚本家の山田太一さんの朝日賞受賞の報が眼に飛び込んできました。山田太一さんと言えば、少し前のことになりますが私は講演会でお話を拝聴する機会がありました。講演の中では(フリーとして活動を決めた際に)笠智衆さんを主軸に据えて脚本を書いてみたかったというお話が今でも印象に残っております。

 その場にいらした聴衆は20-30代が中心だったため、おそらくは「リュウチシュウ」という響きに“誰だったかその俳優さんは?”という方もいらしたかもしれません。

 お顔が分かればそれと知れるのに、名前が出てこない、笠智衆さんは若い世代にとってはそんな俳優のお一人かもしれないと私は勝手に思っていたりします。

 笠智衆さんは戦後の小津映画には欠かせない俳優の一人です。「東京物語」をはじめ、多くはご年配の、老父役を演じたことで知られます。88歳まで現役を貫かれた方ですので、まさに役柄の年齢に実年齢が徐々に追いついていったような人生を歩まれたように思います

 ちなみに山田太一さんが脚本を務めた笠智衆作品というのはどういったものだったのか調べたところ「ながらえば」「冬構え」「今朝の秋」など1980年代にNHKで放映されたもののようですね。いつかDVDで鑑賞したいものです。

 さて、その中の一本に、田舎に隠遁していたご老人が都内に住む一人息子の死が近いことを知り病院に駆けつける・・・と「今朝の秋」の解説文にありましたが、これは確か、内容は逆で、息子が田舎の父親の元へ戻ってゆくというものがあったなとデジャヴュのようなものを感じたところ、2008年に民放で放映された「風のガーデン」(倉本聰さん脚本)で演じた緒形拳さんの姿でした。笠智衆と緒形拳、活動された期間は少し異なりますが、俳優のあるべき境地として緒形さんが笠智衆さんの名を挙げていたことは意外に知られていないことかもしれません。詳しくは『SWITCH STORIES 彼らがいた場所』新潮文庫 の笠智衆の章、並びに解説にその詳細が書かれてあります。

そんなこともあり「風のガーデン」と聴くとこの作品が遺作となった緒形拳さんと笠智衆さんの姿がダブって見えてしまうことがあります。