『愛情の内乱』稽古場レポート(その2)


『愛情の内乱』稽古場レポート(その1)はこちら!


顔合わせから読み合わせの2日間が終わり、1日オフを挟んでの4月12日(火)、読み合わせが続いておりました。ただ、稽古初日よりも細かな指示や確認が入ります。その中で、川村氏が繰り返し発する言葉がありました。

「親子の間の、複雑な、一筋縄ではいかない感情」

このことを、川村氏は稽古初日から強調しており、この「感情をどう見せるか」ということに、今回かなり気を遣っていることが伺えます。

口では「嫌い」だ「うざい」だと言っても、心の中はそういった負の感情が100%とは限らず、どこか精神的に親子の繋がり、家族の繋がりが残っていて、どこか離れがたく思っていたりする。しかもそのバランスは絶えず揺れ動いている。反対に言えば表面では大切に思っている素振りを見せても、心の中では少し距離を置きたい気持ちもあったりするでしょう。親子や家族に限った話ではないのかも知れませんが、家族や親子って離れて暮らしていて、たとえ何年も会っていなくても、それでもなんとなく「家族」「親子」の感覚は残り続けていて、これはやはり他の関係とは少し違う特殊な関係のように思われます。

今回の『愛情の内乱』は、とある一家の、親と3兄弟が核となります。
母から3兄弟への想い、3兄弟から母への想い。もちろん3兄弟それぞれで母との対峙の仕方は異なりますし、兄弟間での立ち位置も異なります。母も兄弟1人1人に違う想いを抱きながら、それでいて3人に共通する想いも抱いていたりするのでしょう。読み合わせの段階から早くも、親子のやりとり、そして兄弟間でのやりとりに、目には見えないし、文字にも起こされていないけれども、そこには確かにヒリヒリとした緊張感が漂っています。

そして、演出家・川村毅がこのやりとりに細かくチューニングを施していきます。

「ここはもっとぽんぽんと会話が進んで欲しい」
「お互い感情が出過ぎている」
「今のはどういう感情で臨んでいるんだ?」


「あまり口を出さない」稽古初日から比べると、細かくストップがかかり、川村氏からキャスト陣への指示や質問が飛びます。それを受けキャストの演技はその都度変化を遂げていき、読み合わせも3週目に入った13日(水)には、前日の読み合わせと比べても俄然密度が濃くなったのを感じました。


白石加代子さん演じる母・カカの堂々たる存在感、影を背負いながら何処か不思議な色気を漂わせる、大場泰正さん演じる長男・アニ、全てを見通すように淡々と語りながらも、その裏側に複雑な感情を抱いている次男・ドス役の兼崎さん、天性の可愛らしさと芯の強さ、そして真っ直ぐさ故の葛藤を余すことなく発揮する三男・ジン役の末原さん、ティーファクトリーの誇る飛び道具とでもいいましょうか、その独特の存在感は一度味わうと外すことの出来ない笠木誠さん(ドキュメンタリーを撮影に来た男・ハル役)は、今回も最初の読み合わせから1人異質な空気を発していましたし、謎の家政婦・トラを演じる蘭妖子さんは神出鬼没という言葉がぴったりはまる、文字通り「謎」な存在。
それぞれのキャラクターの方向性がくっきりと明確になっていき、作品がより立体的になってきたところで、荒立ち稽古が開始!

立ち稽古でも最初はあまり細かい指示は飛びませんが、川村氏の戯曲には出ハケについて細かい指定が記されていないので、それに関しては「あっちから出てきましょう」「そっちにハケて」などの指示が出ます。まだまだ皆さん台本を持ちつつではありましたが、実際に身体の動きがつくと、役者の皆さんの演技もどんどん変わっていき、本読みのときとはまた違うイメージが湧き上がってきます。
まだまだ立ち稽古の初日の段階、美術などもほとんどない状態ですので、ここからどのような舞台空間ができあがっていくのか、台本を読んだ時に私が抱いた安易な想像はとっくに打ち破られ、全く想像がつかなくなってきました。こういったところに私個人としては演劇の醍醐味を感じます。
次回以降、更なる変貌を遂げているであろう稽古場の模様を引き続きお伝えして参ります。お楽しみに!



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全体的にお昼の回の方がお席少なくなっております。少しでも良いお席で観たいという方には、夜の回をお薦め致します。吉祥寺ならご観劇後でもレストラン等、多くの飲食店が営業しております。吉祥寺でディナーをお召し上がりいただいてお帰りになるのもお薦めです。


ティーファクトリー『愛情の内乱』公演詳細:
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2016/05/post-45.html
チケットのご予約(一般):
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(文・構成・写真:大川智史〈武蔵野文化事業団〉)