スタッフブログ:2016年04月

『愛情の内乱』稽古場レポート(その2)


『愛情の内乱』稽古場レポート(その1)はこちら!


顔合わせから読み合わせの2日間が終わり、1日オフを挟んでの4月12日(火)、読み合わせが続いておりました。ただ、稽古初日よりも細かな指示や確認が入ります。その中で、川村氏が繰り返し発する言葉がありました。

「親子の間の、複雑な、一筋縄ではいかない感情」

このことを、川村氏は稽古初日から強調しており、この「感情をどう見せるか」ということに、今回かなり気を遣っていることが伺えます。

口では「嫌い」だ「うざい」だと言っても、心の中はそういった負の感情が100%とは限らず、どこか精神的に親子の繋がり、家族の繋がりが残っていて、どこか離れがたく思っていたりする。しかもそのバランスは絶えず揺れ動いている。反対に言えば表面では大切に思っている素振りを見せても、心の中では少し距離を置きたい気持ちもあったりするでしょう。親子や家族に限った話ではないのかも知れませんが、家族や親子って離れて暮らしていて、たとえ何年も会っていなくても、それでもなんとなく「家族」「親子」の感覚は残り続けていて、これはやはり他の関係とは少し違う特殊な関係のように思われます。

今回の『愛情の内乱』は、とある一家の、親と3兄弟が核となります。
母から3兄弟への想い、3兄弟から母への想い。もちろん3兄弟それぞれで母との対峙の仕方は異なりますし、兄弟間での立ち位置も異なります。母も兄弟1人1人に違う想いを抱きながら、それでいて3人に共通する想いも抱いていたりするのでしょう。読み合わせの段階から早くも、親子のやりとり、そして兄弟間でのやりとりに、目には見えないし、文字にも起こされていないけれども、そこには確かにヒリヒリとした緊張感が漂っています。

そして、演出家・川村毅がこのやりとりに細かくチューニングを施していきます。

「ここはもっとぽんぽんと会話が進んで欲しい」
「お互い感情が出過ぎている」
「今のはどういう感情で臨んでいるんだ?」


「あまり口を出さない」稽古初日から比べると、細かくストップがかかり、川村氏からキャスト陣への指示や質問が飛びます。それを受けキャストの演技はその都度変化を遂げていき、読み合わせも3週目に入った13日(水)には、前日の読み合わせと比べても俄然密度が濃くなったのを感じました。


白石加代子さん演じる母・カカの堂々たる存在感、影を背負いながら何処か不思議な色気を漂わせる、大場泰正さん演じる長男・アニ、全てを見通すように淡々と語りながらも、その裏側に複雑な感情を抱いている次男・ドス役の兼崎さん、天性の可愛らしさと芯の強さ、そして真っ直ぐさ故の葛藤を余すことなく発揮する三男・ジン役の末原さん、ティーファクトリーの誇る飛び道具とでもいいましょうか、その独特の存在感は一度味わうと外すことの出来ない笠木誠さん(ドキュメンタリーを撮影に来た男・ハル役)は、今回も最初の読み合わせから1人異質な空気を発していましたし、謎の家政婦・トラを演じる蘭妖子さんは神出鬼没という言葉がぴったりはまる、文字通り「謎」な存在。
それぞれのキャラクターの方向性がくっきりと明確になっていき、作品がより立体的になってきたところで、荒立ち稽古が開始!

立ち稽古でも最初はあまり細かい指示は飛びませんが、川村氏の戯曲には出ハケについて細かい指定が記されていないので、それに関しては「あっちから出てきましょう」「そっちにハケて」などの指示が出ます。まだまだ皆さん台本を持ちつつではありましたが、実際に身体の動きがつくと、役者の皆さんの演技もどんどん変わっていき、本読みのときとはまた違うイメージが湧き上がってきます。
まだまだ立ち稽古の初日の段階、美術などもほとんどない状態ですので、ここからどのような舞台空間ができあがっていくのか、台本を読んだ時に私が抱いた安易な想像はとっくに打ち破られ、全く想像がつかなくなってきました。こういったところに私個人としては演劇の醍醐味を感じます。
次回以降、更なる変貌を遂げているであろう稽古場の模様を引き続きお伝えして参ります。お楽しみに!



※チケット好評予約受付中!
全体的にお昼の回の方がお席少なくなっております。少しでも良いお席で観たいという方には、夜の回をお薦め致します。吉祥寺ならご観劇後でもレストラン等、多くの飲食店が営業しております。吉祥寺でディナーをお召し上がりいただいてお帰りになるのもお薦めです。


ティーファクトリー『愛情の内乱』公演詳細:
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2016/05/post-45.html
チケットのご予約(一般):
https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=126&type=O
チケットのご予約(学生):
https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=127&type=O

(文・構成・写真:大川智史〈武蔵野文化事業団〉)

 

『愛情の内乱』稽古場レポート(その1)

4/10(日)午後2時、ティーファクトリー最新作『愛情の内乱』の稽古初日がスタートするということで、稽古場にお邪魔して参りました。2013年度(2014年3月)に《吉祥寺シアター シェイクスピアシリーズ》として『荒野のリア』を上演していただいて以来、ティーファクトリーの新作公演も3年連続4本目です。

この『愛情の内乱』は、2014年に劇作家生活30周年を迎えた川村毅氏が、『生きると生きないのあいだ』『ドラマ・ドクター』に続き、吉祥寺シアターで創作・上演する3年連続の書き下ろし新作戯曲第3作となります。公演まで早くも1ヶ月をきりましたが、今後公演初日までの間、定期的に稽古場にお邪魔し、稽古場の模様をこのような形で皆様にお伝えしようと思います。


稽古初日は、全キャストの方と多数のスタッフの皆様が揃ったところで、プロデューサーの平井さんから各々の簡単な紹介があり、そして川村氏からキャストの皆様へ戯曲についてのお話が。その中で

「僕はこの作品の劇作家でもあるから、劇作家としての正解のようなものは確かに(川村氏の)頭の中にあるけれども、それに合わせるのではなく、それを超えていくようなものを演出家として稽古場で一緒に探していきたい」

というようなことを、川村氏がおっしゃっていたのがまず一つ印象に残りました。なぜかと言うと、丁寧に装丁、製本された台本を読ませていただき、まず私が感じたことが「とても難しそうな台本だ」ということでした。これは内容が理解できないとか、あまりにも不条理だとか哲学的だとか専門用語が連発される、とかそういうことではありません。むしろそういった難しさとは無縁であるが故の難しさをこの戯曲は孕んでいると感じました。

それは、川村氏の言葉にもある通り、そこに劇作家・川村毅の世界観が屹立しているということにあります。そして、それがあまりにも明確であるが故に、キャストの皆様は、その世界観に引きずられすぎることなく、いかに戯曲の持つポテンシャルを広げられるか、普通にやっても十分面白く、一つの明確な完成形を有している戯曲の可能性をいかに広げられるか。川村氏からキャスト陣へ-そしてもちろんスタッフ陣へも-の挑戦状とも思える作品です。と同時に、劇作家・川村毅から演出家・川村毅への挑戦状でもあるのでしょう。冒頭の川村氏の言葉は自分への言葉でもあるように聞こえました。


受けて立つキャスト陣は、白石加代子さん、蘭妖子さんの、川村氏よりもキャリアの長いベテラン勢から、兼崎健太郎さん、末原拓馬さんの三十代前半の若手俳優まで、全く異なる演劇観をもった俳優陣が集結するのも、ティーファクトリーならではというところ。彼らが川村氏からの挑戦状にいかに受けて立つのか、実は少しドキドキしながら稽古場に立ちあっていました。

「とりあえず全部一通り読んでみましょう。あまり口出しはしません」という川村氏のコメントのもと、稽古はまずは本読みからスタートしました。
最初の本読み、キャストの皆様もまだまだ戯曲の世界と馴染んでいないだろうし、どんな感じになるかなと思ったのですが、そこはさすが手練手管の俳優陣の集まり、この時点で早くもすっと物語の世界が立ち上がってきます。チラシの紹介文にもあるような「遠い未来の近い過去」「とある地方の広い家」がふと、まぶたの裏側に浮かび上がってきます。先が見通せないくらい広い庭がある、どこかの地方の家の佇まい、そこに暮らす家の人となりや生活の中に、私自身が身を置いているかのような感覚。自宅で台本を読んだ時に見えてきたものとは違う風景が、読み合わせの現場には立ち上がっていました。

とはいえ、まだまだ本読みの段階、立ち稽古が始まり、台本が手から離れ、稽古を重ねていくうちに、どんどんと変わっていくことでしょう。その模様を時々、皆様にお伝えしていきます。


稽古の途中でもう一つ、川村さんの指示で気になったことがあったのですが、それはまた次回、お届けします。



(写真提供:ティーファクトリー、文・構成:大川智史〈武蔵野文化事業団〉)



ティーファクトリー『愛情の内乱』公演詳細: http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2016/05/post-45.html
チケットのご予約(一般) https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=126&type=O
チケットのご予約(学生) https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=127&type=O

 

イトイーランド!

 

書いた人:しだた


 早いもので今年も春がやってきましたね!と言いたいところですが流れに乗り遅れ、すでに桜は散ってしまっていますが・・・暖かい日があったかと思えば、夜は少し冷えたりとなかなか“ぽかぽか”日和が続くことも珍しいですね。私は毎年じっくり花見をする習慣がないので、近所の桜並木の川沿いをさっと自転車で通過しただけで花見をした気分になり満足してしまいました。またピークは過ぎましたが、相変わらず花粉症のせいでマスクとポケットティッシュが手放せない日々を過ごしています。
 

さて、そんなことはさておいて、吉祥寺シアターでは本日4月14日よりFUKAIPRODCE羽衣『イトイーランド』の公演がはじまります。その独特な歌と踊りで中毒者続出中のFUKAIPRODCE羽衣ですが、その根幹を担っているのは、作・演出・そしてオリジナルの音楽までを製作している糸井幸之介さんです。そして今回のタイトル『イトイーランド』、どうしても某夢の国を連想してしまいますが(笑)、作品はというとそういった感じではなく、糸井さんの頭の中を全開で見せるというような主旨だそうです。
FUKAIPRODCE羽衣の特徴というと何より、そのオリジナルの楽曲の良さにあると思います。糸井さんの生み出すポップなメロディと明快な歌詞は一度聞いたら忘れられない圧倒的な熱量を持った音楽なのです。以前の公演の映像がアップされているのでご覧ください↓

 



また糸井さんの作品創作への意気込みなど盛りだくさんのインタビューがアップされています。
http://www.engekisaikyoron.net/itoi_yukinosuke/

そしてこちらは主宰で出演者の深井順子さんと糸井さんの動画インタビューです。
http://entre-news.jp/2016/03/28992.html

上演時間は2時間50分(休憩15分含む)、当日券は毎回発売予定(開演40分前より)です。
ぜひ皆様のご来場お待ちしております!