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お別れのブログ

投稿者:Director's Choice


「最近、吉祥寺シアターおもしろいですね」と言われることが増えたんです。と、劇場の若いスタッフが言う。「ああ、よかった・・・」僕は二代目のこの劇場のディレクターで、明日、市役所に戻りその任を終えます。


夢見る人間の私は、世界の全ての人があなたを認めなくても、僕は君には才能がある!僕と仕事をしよう!と叫ぶのがディレクターだと思っています。若い人の才能を見付け、その才能と共に劇場も育っていくのだと。そして歴史を作った歴戦の勇者とも言うべき巨人達も劇場には必要です。歴史は先人を否定するのではなく、その先人達の上に積み重なっていくものと言えましょう。


僕は音楽・オペラ畑の人間の発想でこの劇場を導いていますので、もしかすると演劇人には理解されないかも知れません。でも「今日、よかったね」とおっしゃっていただければそれで良いのでしょう。2年くらい前まで「僕と仕事して下さい!この劇場にいらしてください」とお願いした方々より前に劇場を去るのは心が引き裂かれるようでもあります。けれど、残ったスタッフが更に歴史を作ってくれると信じています。


演劇に出会って良かった。僕は演劇のおかげで強くなりました。音楽とオペラの人、そして哲学のひとだった私は、演劇と出会って自分自身が光の槍を持って戦う人間に変身しました(もうファンタジーの世界でわかりにくいでしょうか)。


ジェームズ・ボンドのように年間400回以上、芝居に通い、企画を次々と作っていて、ブログに書けない仕事ばかりしていて、ほとんどブログに参戦できなかったことをこの場を借りてお詫びします。


僕はヨーロッパのオペラハウスを観て育った人なので、あなたが、そう一人一人が劇場を育て、愛するのだと思っています。劇場にいらしてくださった全ての方に心からの感謝を込めて。

  
 

観やすい席!?

投稿者:Director's Choice


自由席の客席案内って難しいですよね。某劇場で「観やすいので是非こちらで。とても観やすいお席です。」と一番前の右から2番目を薦められました。


何をやるのかわかればいいので「じゃあいいですよ」と座りましたが、椅子が舞台に対して斜めに置いてあるので、正面を向いて座ると視界はスピーカーやらドアやら壁やら。舞台は視界の左端15%くらいに見えるだけ...


・・・うーん、まぁ・・・・・・ネ。やっぱりとっても観やすい席ですよ・・・というのはナシなんじゃないかと考えてしまいました。案内する方にも苦労はあるんだと思いますが・・・。


1ヶ月に40本くらい芝居を3年ほど観ていますが(さすがに少し減らして1ヶ月30本くらいにしようとは思っていますが)、1日に3本はしごすることもあり、こういうときは例えば紀伊國屋ホールや、一般的な劇場に近い小屋だと本当に身体が楽ですね。


祈りと怪物~ウィルヴィルの三姉妹を立ち見で観ていた方は、本当に大変だったのでは・・・などと席に座りながらも思ってしまったのは、ミカン箱(のようなもの)を置かれて、ここに座ってネと言われて休憩ナシ2時間半(!)というのをたまにやる私だけではないかも知れません。
お芝居前に慌ててご飯を食べて、膝を抱えて座り、下手をすると足を地面につけるスペースもない最前列で2時間というのもやっぱりヘヴィーですね。


自由席の案内ということから、あれこれ考えてしまいましたが、吉祥寺シアターにおいで下さる方に丁寧なご案内をしなければならない・・・とつくづく感じる今日であります。

 

児童文学のあり方と演劇

投稿者:Director's Choice



夏になると各地で子どもにも観てもらいたい演劇が数多く上演されますね。世田谷パブリックシアターのクリンドル・クラックスは英国と言うことを強く意識させる作品でした。


僕は児童文学を読むのが趣味で、世界中の本を読み漁りましたが、日本と英米ではずいぶん児童文学のあり方が違うと思うのです。
日本で児童文学が好きというと「ふーん、猿かに合戦とかだろ?」と言われます。確かに日本ではこうした話を小さい頃に読むと、ラヴコメのような読みやすい本が待っている感じです。


その一方、アメリカなどは離婚が深刻な問題であり、こうした状況の中で子供たちがどう生きていくべきか、指針のような強く生きる力のようなものを与える役割があるとも言えます。(もちろんファンタジーもたくさんあり、社会派の話が主流という訳ではありません。)
しかし、中学・高校生に相応しい話がきちんと出版され、軽い恋愛ノヴェルとは全く違う世界が描かれています。


吉祥寺シアターでの少年社中「モマの火星探検記」は毛利さんの世界を強く反映した、こうした中学・高校生にも楽しめる世界に近いものでした。その一方KAATの「暗いところからやってくる」は日本の小学生にわかりやすいドキドキする話でしたね。最後のセリフ「友達なんだ」と言うところは感動的でした。「前川さん、いい台詞書くなあ・・・」と幸せな気持ちでいっぱいになりました。


ちなみに、日本の児童文学者で私が好きなのは、岡田淳です。


 
さて、PARCO劇場で三谷文楽の当日券を買って、開演までにちょっとお昼を、と思って、PARCO裏のスパマッチョに行きました。750gでも650円!というもの凄い店。味はなかなかで、250gなら軽く食べられますよ。
 
  
   

ウルトラ・ミニマル・ダンス

投稿者:Director's Choice



この文化会館の小ホールで7/22に行われる、コンテンポラリー・ダンサーのキャロル・ガリーガとオルガンのエヴァ・ダラック=アンテスベルガーの公演はなんと1000円だ!
ロンドンを拠点に活動し、動きを極力抑えたダンス・カンパニー"ミリアム・グルフィンク"の看板ダンサーであるガリーガは初来日である。ミニマルを超えた、ウルトラ・ミニマルとロンドンで評されるダンスを体験できる数少ないチャンス!オルガンのエヴァ・ダラックはアンファン・テリブル(恐るべき子供)とフランスで最高の賛辞を受けた鬼才。古典(クラシック)と現代音楽の両方で活躍する若きボルドー音楽院教授である。

 
21日には子供のための公演もあるのだが、こちらは既に完売しており、22日の公演のみ残券アリ。1000円という激安プライスですが、内容はヨーロッパの現代を映す鏡のようなトップレベルのものです。


 
さて、1000円でフレンチのランチ・・・ということで、本郷三丁目のビストロ アバを紹介します。男の料理......という感はありますが、街のおばちゃんが僕の隣でブーダン・ノワールを食べていました。日本も変わったなぁと思う瞬間でした。


1000円でダンス!1000円でランチ!

  
 

サスペンデッズと早船さん

投稿者:Director's Choice


サスペンデッズの吉祥寺シアターでの公演「GO HOME」の初日を観た。早船聡さんの書く本は、一言で言ってしまえば


「生きるって何だ?人間って何なのだ?」


という疑問を問うているのだと思う。


一見、彼の書く物語は毎回違って見えるが、この本質は変わらない。物語はこの本質となる核をかぶっているドームのようなもので、この上部構造だけを追ってしまいがちなので、今回はどういう話か、という視点に立ってしまいがちなのだが...。


時代がモノを茶化したり、ミニマリズム偏重に陥ろうとしている感もある中で、早船聡の芝居というのは、哲学の原点と呼べるものなのだ。


「生きるとは何か」

    
           
さて、アトリエ春風舎に芝居を観に行くと、本当に周りに何もなくて困り果てたが、「まちのパーラー」という、とても素敵なお店が住宅街にあります。興味のある方は探してみて下さい。私はここのパンをテイクアウトして食べて春風舎に入るときは、最高に幸福です。

       

女流作家

投稿者:Director's Choice


 
先月は、ゴールデンウィークのためか前半に「行きたい!」芝居が少なく、1ヶ月で32本しか観られなかった。
(若い学生の劇団までなかなか手がまわらず、5月は1回しか行けなかった。なんとか月に40本は観ないと...と思うのだが。。。)


さて、演劇の仕事をしていると、女性の劇作家が少ないと感じてしまう。5月に吉祥寺シアターに高井浩子さん率いる東京タンバリンに登場していただいたのだが、「演劇界でもっと女性にガンバッテもらいたい!」という気持ちを込めての出演依頼でもあった。
今回の高井さんが書かれた芝居「婦嶽百景」は、少し年が上の3世代同居をしている方などのほうが楽しめたかも知れない。若いときだけでなく、何歳になっても芝居を観て欲しいと願ってやまない。


こうした女性作家という括りでいえば、渡辺えりさんの主宰するオフィス3○○(オフィス・サンジュウマル)が座・高円寺でおこなっている2部作のうちの「月にぬれた手」を拝見したのだがとてもよかった。高村光太郎を今までになかった視点に立って描いていて、取材の確かさと、そこから拡がるファンタジーは多くの人の共感を呼ぶものであった。これからもう1つの新作にも足を運ぶ予定だが、6月3日(日)まで公演を行っているのでおすすめしたい。


 
さて、今回のおすすめの店は、赤坂レッドシアター上の2Fにある「山傳丸」だ。赤坂はありとあらゆるジャンルのレストランに恵まれている(フレンチはビストロ・サンノーが閉まってからは最高の店はないかも...)。そんな中、劇場の2Fにあり、開演ギリギリまで食べられるので、山傳丸はおすすめだ。昼など780円の海鮮丼が美味しい。お試しあれ!


    

ペティアン・ド・リステル

投稿者:Director's Choice

   
昨年、三鷹芸術文化センターで上演された、東京タンバリンの「ロマン」を観終わった帰り道、僕は吉祥寺シアターでは「フランボワーズのペティアン・ド・リステル」のような芝居を高井浩子さんに書いて欲しいなあ...と思いながら歩いていた。


4%以下の微炭酸のスパーリング・ワインはセリーズなど様々な味があるのだが、ペティアン・ド・リステルは、1000円程度で買えるささやかな楽しみだった。このワインはリーファー(定温輸送)で大切に運ばないと味のバランスが崩れてしまう。このためこのワインの本当の美味しさを知っている者は意外に少ない。


さりげない日常の中にある軽やかな一瞬の幸福。こんな芝居がいいなぁ...と思ったのだ。高井さんにも「フランボワーズのペティアンみたいな芝居がいいなあ」と言ってみたんですけれど、あまりにワインオタクすぎましたね。

 
ペティアンと言えば、中目黒にあったフレンチ・レストラン「ペティアン」を思い出す方も多いかも知れない。今はもう行けなくなってしまったこのお店の代わりに、銀座の「ル・シャス・リヨン」をオススメしたい。名店レカンの味がリーズナブルな値段で楽しめる。

               

"メルロー"のようなお芝居

投稿者:Director's Choice

 
Chateau Les Trois Croix 2009 Fronsacを飲む。ワイン日記を見ると、僕の飲んだ7500本目のワインだ...。シャトー・ムートン・ロートシルトの醸造責任者だったパトリック・レオンが作っているので、3000円を切るワインとしては高いレベルにある。メルロー80%なので、抜栓すると早くもメルローの甘さがやってくる。


メルローを飲むと5月に吉祥寺シアターで上演する東京タンバリンのことを思い出す。毎日芝居を観続けているとやはり疲れてしまう。そんなときにタンバリンの芝居「お買いもの」は本当にポップで照明から装置の隅々まで神経の行き届いた、ホッとする舞台だった。
毎日これでもかと、カベルネ・ソーヴィニョンのワインを飲んでいると、サンテミオンのメルローが優しくてホッとする。そんな感じなのである。


東京タンバリンの脚本を書いている高井さんに「メルローのような芝居で、僕はとても好きです」とオファーしたのだが、ワインオタクしかわからない変なオファーだったことだろう。


もちろん高井浩子という"もの書き"はこうした傾向の芝居だけを書いているわけではないので、次の吉祥寺シアターでの舞台「婦嶽百景」では、同じメルローでも大人の媚薬と呼んでもいいポムロールに近いものが登場するのではないだろうか......。

            

岸田國士賞授賞式

投稿者:Director's Choice


岸田國士賞の授賞式に行く。


今回の3人の受賞者のうち、矢内原美邦さん(ミクニヤナイハラプロジェクト)と藤田貴大さん(マームとジプシー)が今シーズンの吉祥寺シアターに登場する。今シーズンの吉祥寺シアターには登場しないノゾエ征爾さんの受賞作「○○トアル風景」も素晴らしかった。失礼な言い方かも知れないが「ノゾエさんはこの作品で岸田賞をとりに行っていて、そして必ずとるだろうからみんな観に行って」と周りの人に宣伝していた...。


矢内原さんは彼女の人柄が生み出す空間そのものが"凜"としていて他の演劇人の誰とも違う透明な美しさを湛えている。藤田さんの若々しい才能は初めて観たときから「おもしろい感性の子が出てきた。なんてフレッシュな芝居なんだろう」と魅せられていたので、吉祥寺シアターに出てもらえて本当に嬉しい。

        
      
さて話は変わって、青年座に通うファンも多いと思う。僕もその1人だ。この辺り(代々木公園駅・代々木八幡駅エリア)は、ブーランジェリーなど名店が数多くあるが、ビストロとサカバTAKEのカレーをオススメしたい。「ボルドー風」「ブルゴーニュ風」「サヴォア風」など様々なカレーがメニューに並び、出てくるスピードも早い。時間のない芝居好きにはオススメだ。

                

T-Factory「騙り」と山椒マーボー!

投稿者:Director's Choice

T-Factoryの「騙り」を観る。バゾリーニの本は"お客を選ぶ"ものであるし、今回もエディプス・コンプレックスを扱っているが、ヨーロッパ文化やその背景にあるものに知識があるとないとでは、ずいぶん楽しみ方が分かれると思う。

それにしても、川村毅の全く衰えない創作意欲と、演出家としてのアイディアや役者に対する高い見識は、現代の日本演劇界にあって唯一無二の才能なのだと、彼の2作のバゾリーニ作品の演出を観ていて痛感させられる。


さて、今回のオススメはLAWSONの「マーボー豆腐丼」
これは技アリ!で山椒をきかせた味は、そんじょそこらの中華料理店を上回っている。500円のワンコインで買えるので、観劇で食べる時間のないときなどにぜひオススメしたい。この丼が気に入ったら、楊(池袋)に行き、それもOKならロンアール(板橋など)まで行けば、山椒をきかせたマーボーのちょっとした通になれるのだ!