クラシック音楽のなかの戯曲

 

投稿者:I.D   

 

私は以前、演劇をやっていたせいで、クラシック音楽の題材に"戯曲"を取り扱ったものがあると、心の中のある部分がピクンと反応してしまいます。クラシック好きの方々は周知のことも多々あると思いますが、どんなものがあるか見ていきたいと思うのでお付き合いください。


まず、シェイクスピアの多さが目につきます。オペラの題材として数多く取り上げられており、ヴェルディの歌劇『オテロ』『マクベス』。『ファルスタッフ』は「ウィンザーの陽気な女房たち」という戯曲をもとにしています。オットー・ニコライ作曲の歌劇『ウィンザーの陽気な女房たち』という歌劇もあります。その明るく楽しい喜劇性のためか、欧米の演劇(ストレート・プレイ)の世界でもしばしば上演される戯曲です。グノーの歌劇『ロミオとジュリエット』、トマの歌劇『ハムレット』、ライマンの歌劇『リア王』、ブリテンの歌劇『夏の夜の夢』、ウェーバーの歌劇『オベロン』は「夏の夜の夢」と「テンペスト」を合わせるという荒技。


メンデルスゾーンの「夏の夜の夢」。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ「テンペスト」。シェイクピアが原作を使用せず、自分で作った話は「夏の夜の夢」と「テンペスト」だけと言われています。「夏の夜の夢」のほうが有名ですが、「テンペスト」も勝るとも劣らない魅力を持った戯曲です。チャイコフスキーの「テンペスト」「ハムレット」「ロミオとジュリエット」が...。書き始めて思いました。シェイクスピア、ありすぎます。


先を急ぐので有名じゃないのだけ挙げます。


ベルリオーズの歌劇『ベアトリスとベネディクト』は「から騒ぎ」を、コルンゴルトの歌曲「道化師の歌」は「十二夜」を基にしているとのこと。「十二夜」はシェイクスピアの喜劇の最高傑作といわれています。悲劇が有名なシェイクスピアですが、喜劇も全く劣っていません。シューベルトの歌曲に「シルヴィアに」というのがあり、これは「ヴェローナの二紳士」という戯曲をあつかったもの。この戯曲は若いころ書かれたもので、ほかの戯曲に比べて高い評価は得ていませんが、私は好きですね。


きりがないので次にいきます。


ゲーテの「ファウスト」も人気です。グノーの歌劇『ファウスト』、ベルリオーズの劇的物語『ファウストの劫罰』、ボーイトの歌劇『メフィストーフェレ』、リストの「ファウスト交響曲」、「メフィスト・ワルツ」。シューベルトの「糸を紡ぐグレートヒェン」...。まだまだあります。しかしこれらで取り上げられるのは、ほとんど「ファウスト」の第一部なのですね。ゲーテの「ファウスト」は第一部、第二部があり、第二部は"国家(世界)の創造"という壮大な話になっていきます。あまりに壮大で完全版は演劇でも上演不可能ともいわれており、最近では、十数年前ペーター・シュタイン演出、ブルーノ・ガンツ主演で行われたぐらいです。(私の知る限りです。違っていたらすいません。)


ちなみに「ファウスト」はゲーテ以外も戯曲化しており、シェイクスピアと同時期の劇作家クリストファー・マーロウも「フォースタス博士の悲劇」というのを書いています。この人はエリザベス朝演劇でシェイクスピアに次ぐ天才といわれており、読んでみると圧倒されると思います。


ゲーテの戯曲は圧倒的に「ファウスト」であって、それ以外はあまり知られていません。ほかには扱われてないのかしら...、と調べてみたら、デュカスが若いころに序曲『ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン』というのを作曲しています。これは「ファウスト」に次ぐゲーテの重要な同名の戯曲を題材にしています。またリストの交響詩「タッソー、悲劇と勝利」は「トルクヴァート・タッソー」という戯曲を基にしています。


ギリシャ悲劇は間接的に甚大な影響を及ぼしているので、間接的なものは割愛します。直接的に使われているのは...、ストラヴィンスキーの歌劇『エディプス王』。一番有名なソフォクレスの「オイディプス王」ですね。メンデルスゾーンの劇音楽に『アンティゴネー』『コロノスのオイディプス』があります。「アンティゴネー」もオイディプスに次いで有名なんじゃないでしょうか。オイディプスの娘さんです。これはオルフやテオドラキスも歌劇にしています。「オイディプス」はご存じでも「コロノスのオイディプス」を知っている方は少ないのではないでしょうか。最晩年のオイディプスが登場する戯曲です。なにかリア王などを彷彿とさせる壮大な悲劇なので、オイディプスの最後を知りたい方は是非どうぞ。(そういう方はどれくらいいらっしゃるのだろう。普通いませんよね...)。


さてアイスキュロス、エウリピデス、そしてギリシャ喜劇のアリストファネスの作品を直接的に使った作品はあるのでしょうか。ちょっと調べたけど見当たりませんでした。知っている方がいたら教えてください。


このあと、時代順に挙げようと思ったら長くなりすぎました。続きは次回にします。


戯曲をよんで、演劇にも興味を持っていただけたら嬉しいですね。演劇に興味をもたれたら、吉祥寺シアターにもいらしてください。それでは。