深く考えること―知性と共に生きる

 
投稿者:Director's choice


「あなたの好きな字を一字、漢字で書いて下さい」


そんな質問をされたことはありますか?
ある教室で子どもたちは、それぞれに「秘」とか「家」とか色々な字を書いていました。
僕ならどんな字を書くのかなぁ・・・と考えると、「深」という字になりそうです。


最近はインターネット社会になり、ものを深く知らなくてもすぐにテクニックが手に入ります。でもすぐにできてしまうので、そこから先には行かないし、行くことを求めませんね。
古楽的アプローチとか、色々わかった気もしますが、それが本当に心から出るものか・・・。
深く考え、叡智を求めるタイプの僕はすっかり少数派になっています。いや、学生の時でも(30年前!)すでにそうだった気がします・・・。


ギル・シャハムが演奏している間、彼が年を追うごとに心技体ともに素晴らしい人へと成長していることを思い、「ああ、なんて深い音楽・・・」とポロポロと涙を流してこんな事を考えていました。


僕は公務員ですから、誰でもできることをマニュアル通りやって、次の人に引き継ぐべきなんでしょう。ところが、あまりにものを深く考えてしまい、人とどんどん違ってきて、ここの事業も他の会館とは違うものになってしまいました。


さて、来月ミハル・カニュカというチェリストの無伴奏リサイタルをやります。バッハ、コダーイ、ブリテンをやりたい・・・という人が圧倒的な中、モザイク模様のように色々な作品を組み合わせた、いくつもの"種"があるようなプログラムを出してきました。既成概念にとらわれない生き方、そして音楽、それが毎日の流れ行く人生の中で静かに行われるカニュカの世界。1000円なのでよかったら聴いて下さい。


知の料理と言えば、西麻布のレフェルヴェソンスですね。
慶應の経済出身のシェフで、知の冒険を感じる方と、優しい完成された皿に満足される方に分かれるかも知れません。僕は好きですよ、カンテサンスほどの冒険ではありませんが、知性の在り方がカンテサンスのシェフとは違っているだけで、感じるものは大きいです。少し高いですが、それだけの価値はあります。そう、ギル・シャハムのように。