舞台ができるまで。
さて、現在、武蔵野芸能劇場では、演劇集団・声を出すと気持ちいいの会「富士の破れる日」の仕込み作業が行われています。その仕込みの模様の一コマをお目にかけましょう。
1つのお芝居を作るのには、たいていの場合かなりの時間がかかります。レパートリー・シアターのようになっていると、朝劇場に入ってその日の午後には公演なんていうこともできますが(学校向けの演劇鑑賞教室なんかはそうですね)、新作を作るとなると一定の時間と一定のマンパワーが必要になります。
俳優さんたちが芝居の稽古にかける時間や労力というのは並大抵のものではありません。人前で演じるに至るまでには、文字通り身も心も削りながら、1つの役を創り上げていきます。
この辺は、演奏家の方が、1つのレパートリーに取り組む過程に似ているのではないでしょうか。アプローチの方法は全く違いますが、なにか1つのものに全身全霊を捧げて創り上げるという点では、同じような境地に至るように感じます。
上の写真は、まさに作っている最中の舞台ですが、この舞台美術も脚本・演出をはじめとした様々な条件・制約の中で、一層世界観を引き立てるために、そしてそれだけに留まらず、1つの美術作品としての自己主張も忘れず、といったことが求められます。先ほど仕込みの様子を拝見してきましたが、舞台といいその舞台を照らす照明といい、とてもいい感じに仕上がっているなという印象を受けて、ワクワクしてきました。
さて、今夜には殆ど舞台も完成し、明後日にはこの公演も幕が開きます。
もともと、「声を出すと気持ちいいの会」さんは、新宿の劇場で「富士幻談」という公演を拝見したときに、当日パンフレットに書かれていた「吉祥寺美術館で観た、萩原英雄の『大富士』に触発されました」という脚本・演出の山本さんのコメントがキッカケでご一緒する縁ができました。それならまた別の視点で、萩原英雄の「富士」をモチーフにして、作品を作っていただきたいという私どものオファーを快く引き受けて下さり、今まさに出来上がろうとしているのが、この「富士の破れる日」、文字通り「様々な出逢い」の果てにたどり着いた公演です。
芸能劇場はそう大きくはない劇場ですが、そこには日本一高い山、そして世界遺産として日本を象徴するような存在となった富士が浮かび上がることでしょう。舞台はまさに富士への入口、未完成の舞台でさえ、その風格を存分に称えていました。また、3Fの劇場ロビーでは、この公演のキッカケとなった、吉祥寺美術館所蔵の萩原英雄氏の「富士」作品を、観劇にいらっしゃったお客様を対象と致しまして、展示を行います。是非、そちらも併せてご覧いただき、長きにわたって「富士」にこめられてきた人々の思いを感じていただければと思います。
是非この週末、一度は芸能劇場へ足をお運びいただければと思います。特に初日の土曜日は比較的余裕があるようです。土曜日は17時開演なので、観劇後に夜の街へ繰り出すこともできますし、便利な時間帯だと思います。まだご予約いただけますので、ぜひともお越し下さい。
「富士の破れる日」公演詳細ページ:http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2013/10/post-241.html
「富士の破れる日」チケット予約はこちら:https://yyk1.ka-ruku.com/musashino-t/index.jsp?id=56&type=O