キット・アームストロングのリサイタル

 
投稿者:ヤマネ


今週の月曜と火曜は、ブロンフマン、アームストロングと、二晩連続で個性的なピアニストの演奏会が開催されました。


台湾系アメリカ人のアームストロングは、あの巨匠アルフレッド・ブレンデルが惚れ込んだ才能で、ブレンデルが「出会った中で最高の才能だ」と絶賛しているのだとか。


実際に生の演奏を聴いてみますと、ブレンデルに学んだらしく?フレージングなど細かな部分でのこだわりをたくさん持っているなと、感じさせるものでした。


素晴らしかったのは最後のベートーヴェン。ピアノソナタ第28番の終楽章のフーガで、これは圧倒的という言葉が相応しかった。小さな身体(お辞儀もまだまだぎこちなく、これからという印象を持ちました。まだ23歳になったばかり)から出ているとは思えぬ力強さと説得力がホールを満たし、非常に感銘を受けました。


たとえて言うと、たとえとして適切かどうかはわかりませんが、イチローのようなタイプなのではないかと思いました。大きな身体があるわけではなく、当たればホームランというパワーヒッターではないが、他人は絶対に拾わない(拾えない)広範囲の球を拾って確実に外野手前に飛ばすことで、結果を出していく。そういうタイプだと見受けました。


ホームランを見に来るお客様には物足りないかも知れないが、優れた才能を持つ演奏家であることに間違いはないでしょう。そしてやはりイチローのように、時にはホームランだって打ってみせる。そしてイチローは、アメリカでもスーパースターなのです!!


才能は磨いていけばどんどん輝きをましていくもの。今後に期待したいですね。彼はいったい何を演奏すれば28番のフーガみたいに超強烈な演奏をしてくれるのだろうか?と、考え込んでしまいました。