いろいろとこだわる人、こだわらない人。マルシン・ディラの場合

 
投稿者:ヤマネ


ホロヴィッツが語ったとされるジョークに「ピアニストには3種類しかいない。ユダヤ人かホモか下手くそだ」というものがあります。(あまり上品ではないジョークを持ち出して申し訳ありません)


これが正しいかどうかはさておき、わたしは音楽家分類シリーズに「こだわりを持つ人と持たない人」というジャンル分けを無理やり追加したい、と思います。(誤解のないように付け加えておきますと、こだわりのない人が悪いとか言いたいわけでは全くありません。)


こだわらない人は、もう本当になんだっていい、という場合があります。例えば、日本に来たからにはスシを、ぐらいの事は口にしますが、スーパーのスシでオーケー、みたいな感じだったりもします。あるいはそもそもそんなこと興味がなく、ビールが飲めればいいよ、とか。日本のベストのビールを持って来てよ。それからピザのデリバリーお願いシマース。トッピング?適当でいいよー。


一方、こだわりをもつ人は、服装や食べるもの、飲むもの、車などに徹底的に凝ります。高級なものを揃えるのではなく、高級であろうがなかろうが、いろいろと自らのポリシーを持って選びます。


先日武蔵野市民文化会館で素晴らしい演奏をしたギタリスト、マルシン・ディラ(※)はこだわりの人でした。


(※)当事業団ではマルツィンと記載しておりましたが、ご本人に確認しましたところマルシンが正しい発音だとのこと。今更ですがお詫びして訂正致します。


見た目からしてこだわっている。同じ国ポーランドの傑物ピアニスト、クリスチャン・ツィメルマンを彷彿とさせるような外見でした。彫りの深い顔、青い目、トレードマーク?の髭など。


そして最初の印象としては「物静か」なのですが(実際それほど爆発的におしゃべり、という人ではありませんでしたが)、いろいろと聴いてみれば、葉巻をたしなんだり、わざわざひとりでシガーバーに出かけていってサントリー山崎を飲んでみたりと、音楽以外の面でもいろいろと凝っている。


「ウィスキーはそのテイストを楽しんでいるのだ。スモーキーなのが好きだよ。ラフロイグとかいいよね。ウォトカはテイストを楽しむ物じゃないからあまり好きではないんだよね。」


音楽に対してももちろん凝っていて、どうやってプログラムを決めるのか、と質問したところ、曲はともかく慎重に選んでいるとのことでした。自分のテイストに合う物であることがもちろんだが、そうでなくても、全体の構成を考えてプログラムの中に組み込むこともするとのこと。好きな曲でも何度も演奏してフレッシュな感じがなくなったらプログラムから外す、など、どんな話よりも身を乗り出して語ってくれたのは印象的でした。


素晴らしい演奏家ですから、また来日する機会がありましたら、ぜひ足を運んで聴いて下さい。