セルゲイ・サロフ公演はブラボー大会へ

 
投稿者:ヤマネ


セルゲイ・サロフに、三大バレエを弾いてよ、と頼んだのですが、後悔してはいません。一昨日はなかなか素晴らしい公演になったようですから。特に三曲目の「春の祭典」が終わったときはブラボー祭り(座席数も少ないのでミニ祭り)になりました。


音もよく鳴るし、腕が4本ぐらいあるのとちゃうんか?と言うような分厚い和音の打撃連続に場内大興奮でした。


ところで私は「春の祭典だけは譜めくりが必要です」と言われていて、何も考えず軽い気持ちでオーケーしていました。で、出番直前になって、ようやく繰り返しの有無を尋ねるのですが(譜めくりをする時の基本事項として出演者と必ず確認することです)、爆笑が帰ってきて、「なかなかいいジョークだね!」(いや、冗談ではないんだけどな・・・)、「繰り返しはないけど繰り返しばっかりみたいな音楽だけどね・・!!」


・・・ガーン、そうだ。私はなんといううつけ者でしょう。春の祭典は変拍子てんこ盛りだし、同じような音形でガンガン進むし、と今ごろ思い出し、一人舞台袖で青くなったり白くなったりしていました。


(しまった、リハーサルやっている時にちゃんと楽譜を眺めさせてもらうべきだった!!)・・・・時すでに遅し。気づけば私はもう舞台上に出て椅子に座っていました。


そしてそこで楽譜をちゃんと見ようとして私はもう一度驚愕するのです。楽譜がやばい!ちゃんと見てなかったけど、よくみたら適当に糊付けされていたり(一部折れ曲がって読めなくなっていたりする、糊付の合わせ面はズレズレ)、ホッチキスであちこちガチャガチャ留められたりしてるやんけ!・・・・そう、几帳面な国の日本人なら絶対にやらない驚異的に"雑"な作りの「マイ楽譜」だったのです(雑とか書いて申し訳ありません。でも雑だったんだもん)。おいおい、一体全体、どこから弾き始めるんだよジョージ?


あとで聞けば、フィナーレ(=有名な楽譜制作ソフト)を使って自分で作った、とのことでしたが、いやいや、曲のタイトルもなければ演奏記号も全く、そう「完全に」「無謬なまでに」「徹頭徹尾」記載がなくて、ひたすらダラダラっと音楽を打ち出した楽譜だったんですよ。


当然ながら前置きなしにいきなりテンポが変わるし、多分弾くつもりにして書き込んだもののやっぱり弾くのをやめた音符も結構ありましたし、そもそも全然違う音を弾いている箇所もありました。それから・・・・休符も曲者でしたね。休符っていうのは普通、休符の長さに合わせて幅を広くとったり狭くとったりするんですが、それもわりと無視。すごい狭いところに長い休符とかあったりして、私は軽いめまいを覚えながらめくっていました。


自分は何度も弾いているから、その結果として自分の中で完成形が見えているのでしょうが、私には何も見えていません。あるのは音符と、ガチャガチャの楽譜のみ!すわ、絶体絶命!!(自分が招いたピンチとも言う)


岩城宏之の著書に確か「暗譜で春祭を振っていて生贄の踊りの一小節毎に拍子がころころ変わるところで暗譜がわからなくなって止まった事があった」(きっかけは確か「トランペットに合図を出したが反応がなかった」という所から恐慌状態に突入)とかいう恐怖の記述がありましたが、私の頭の中にはそのエピソードがぐるぐる回っていました。演奏してもいないのにね!!ええ、ええ。


やばいなこれはと思いながら、こけつまろびつしながら譜めくりをしておりましたところが、生贄の踊りのクライマックスの音がついに視界の隅に見えてきまして、ああ、ようようこのページで終わりだね、私はもうめくらなくていいのだ・・・おビール飲みたい・・・と思った瞬間・・・・終わっておりました。なので全然内容が私の頭には残っていないのですが、すごい拍手が来たので多分よかったんでしょう。うん。安心致しました。


最初うっかり楽譜が戻ってしまったり、間違って早目に立ってしまったりしたところ、ご容赦下さい。本人的には譜めくりぜんぜんオッケー。だったそうです。ありがたき幸せ。