スタッフブログ:2018年04月

コワンのアルペジオーネ

投稿者:ヤマネ

 

先日のブログに引き続き武蔵野市中町よりお伝えいたします。恐れいります。


本日はいよいよ、クリストフ・コワンがアルペジオーネを弾く公演です。半端じゃないですこの公演は。中の人が言うのもあれですが、すごいです。そもそもアルペジオーネという楽器が、世界を探しても、もう20台前後しか残っていないという楽器なのです。


ポッと出てパッと消えた楽器、それがアルペジオーネ。人気が出なかったんだね。なので、そのまま歴史に埋もれて終了するはずだったのですが、シューベルトという人がですね、「アルペジオーネソナタ」という超絶名作を書いてしまったんですよね。この楽器のために。このただの一曲のために、この楽器は名前を今なお生きながらえさせているのです。なお、アルペジオーネソナタは幸か不幸かチェロで演奏が可能なので、現代ではチェロで弾くのが普通です。


ったく、シューベルトがいけなかったんだよ。フランツが余計なことをしてくれたぜまったく。あいつのせいで「アルペジオーネって何なの?えっ?楽器?ほぼ絶滅危惧種っ!ヨシコそれ聞いてみたーい!!ねえねえ、ねえったらぁ!!」


・・・みたいな話になるわけですよ。


ヨシコみたいなわがままな彼氏を持った平吉はとんだ災難だよ本当に。


そこで(どこで?)、クリストフ・コワン氏の出番なのです。いいですか、コワン氏は、世界に数えるほどしかないオリジナルのアルペジオーネを所有しているのです。コワン氏をご存じない方のために書きますと、音楽界のカリスマ中のカリスマと言われる超天才チェリストなのです。


見た目はものすごく怖いですが、そして多分本当に怖そうな方ですが、にっこり笑うと、ナイススマイル。


話がずれました。コワン氏がそんなオリジナル楽器を持ってきて、超貴重ですからね、それを、シューベルトが生きていた当時のフォルテピアノ(古いピアノの事をこう呼ぶ)と一緒に演奏するのです。本物のアルペジオーネが日本に上陸するのは、これが初めてでしょうし、本物のアルペジオーネを聴けるのは、もしかすると自分の人生でも今回が最初で最後になるかもしれない・・・。


これが一大事件といわず一体何なのでしょう!!ババーン!!


アルペジオーネソナタを含む、シューベルトの室内楽作品だけで構成された超レア公演は本日の午後7時開演です。アルペジオーネソナタ以外は、コワン氏はチェロで演奏いたしますので予めご了承下さい。


・・・・いや、実は他にも曲があるんじゃないの、図書館とか漁ったらなんか発見されるんじゃないの?と思われる方、ご安心下さい。すでに不肖私が聞いております。「せっかく貴重な楽器をお持ち頂けるのですから、シューベルト以外のアルペジオーネのための作品はないのでしょうか、アルペジオーネだけでコンサートが成立したりはしないのですか」と。


その回答が、ない、の二文字だったのです。さすが泣く子も黙るカリスマチェリスト、ムッシュ・コワンです、私なんかが尋ねるよりもずっと前にすでに調べていて、演奏に耐えうる作品はない、という結論に達していたのだそうです。残念!


それにしましても本公演は皆様の素晴らしく高いご関心を頂きまして、大変ありがたいことに「発売からわずか15分で完売する」という記録的な数字をたたき出しました。多分武蔵野の小ホール公演史上、最速完売記録だったのではないかと思います。ありがとうございます。


残念ながら当日来られない、という方も大丈夫。NHKがこの公演を収録しています。恐らくお茶の間でもごらん頂ける日が遠からず来ることと思います。期待に胸を膨らませながら、お待ち下さい。


上の写真は、昨日のリハーサルの模様です。え?楽器が見えない?えっ?小さすぎる?まあまあ、そういわずに。今日の公演を愉しみにお待ちください。
  

それから、武蔵野の呼びかけで全国5カ所でも公演を実施いたします。

4/20(金) フィリアホール(横浜)
4/21(土) 宗次ホール(名古屋)
4/22(日) ひまわりの郷(横浜)
4/24(火) 米子労音(米子)
4/25(水) 兵庫県立芸術文化センター(兵庫)

開催をしてくださる各団体に感謝するとともに、ご関心のある方は各ホールまで是非足をお運び下さい。(ただし兵庫公演は完売)



ロザリオのソナタ

投稿者:ヤマネ



スペイン人に吉祥寺(Kichijoji)を読ませるとキチホヒって言うんですよ。めっちゃ言いにくそうにキチ・・・ッホッヒッって言うのさ。ご存じですか。


というわけでみなさんご一緒に、こんにちは!声が聞こえません。もう一回。こんにち、ワッーーー!あまりにもごふさたしてしまいしたことをお詫び申し上げます。


先日小ホールの廊下で、「いつも声立てて笑って読んでおりますところの鬼財団の、いえ、貴財団のブログが最近更新されないのは誠に遺憾であるやんぬるかな云々」そんな事を言っていだきまして、ありがとうございます、と心の中で何度もお礼を申し上げたのでございます。会話の中で漢字を間違えるってどういうことや?っていう突っ込みがくることを心待ちにしながら、先へ進みます。
 

ロザリオのソナタ。不肖私がこの曲について知ったのはいつのことだったか。おそらく大学生の頃だったかと薄ぼんやりと記憶しておりますが、調弦が一曲ずつ違うんだって。ふーん。みたいな。なんでそんな面倒なことするんでしょうねえ。みたいな。


アンドルー・マンゼという、この曲の全曲録音をした数少ないヴァイオリニストその本人から、これ死ぬほどむずいねんわ、と言われたときもふーん、と軽く流してしまったことを後悔。ちゃんと根掘り葉掘り聞くべきやった。


この魚はなんていう魚?え?ロックフィッシュっての?オー、クール!!デリーシャス!とか言いながらギヤハギャハと甲子園の近くで日本酒を飲んだだけで終わってしまったのだよね。残念。もう10年ぐらい前の話。


しかしここに挽回の機会が、ついにやってきた!リナ・トゥール・ボネ with ムジカ・アルケミカの公演


スコルダトゥーラと呼ばれる、調弦方法をいつもとは変える、しかも一曲ごとに変える、というその手法はなぜ使われたのか、その疑問を解くべく(ウソ。これは後付の理由)、スペイン人の素晴らしいバロックヴァイオリン奏者によるこの演奏、みなさまお楽しみいただけましたでしょうか。なんとも豪華に、全6名の演奏家でお贈りいたしました。(確か最少2人でも演奏できる)


結果は、お越しいただいた皆さんはもうご存知でしょう。素晴らしく感動的な公演になりまして、お客様も演奏家も上気して赤くなった顔でホールを後にして頂くことができました。


使用したヴァイオリンは4つ。なぜ4本かというと、スコルダトゥーラのためです。ヴァイオリン一つじゃあ対応できないんだね。曲ごとにびゃーんびょーん、ピャーん、と舞台上で調弦されるご様子には痛く心を動かされました。


あと使っていた弓もご覧になりましたか。現代の弓とは全然違う。バッハとかを弾くときにみなさんが使うようなのよりもさらに華奢で、軽くて、構造も単純で、短い。ビーバーの時代の、オーストリアの弓なのだそうです。あれもレアでめっちゃ興奮したぜ。あんなに華奢なのにかなり大きい音が出てたのにも驚き。写真撮り忘れてごめん。


曲ごとに全然いつもと違う音が出るのにどうやって演奏するんだろう。指と頭がこんがらがって容易に意味不明に陥ることは間違いない。涼しい顔して弾ききったリナ様には感嘆の声を提供したい。(楽譜には実際に鳴るべき音が書いてあるのです。自分でフィンガリング、ポジショニングを決めて身体に覚え込ませるよりないのです)


そんな難しさもあって、また全16曲に及ぶスケールの大きさも相まって、この曲が全曲演奏されることは滅多にない。(武蔵野でも多分初めて。今後もなかなかないと思います。)


初演とか、過去の演奏でもこうやって舞台上で調弦したのだろうか、どうやって説明しながら演奏したのだろうか、そもそも演奏されたことがあったのだろうか。なんせ楽譜が見つかったのもわりと近年になってからですし、この曲については謎だらけなのです。


謎は謎を呼び、ミステリーハンターにご登場願いたい程です。じゃ私はスーパーひとしくん温存の方向で。


こんな知的興奮に満ちた演奏会を、ご来場いただきました皆様のおかげにて、大成功のうちに終えることができ、感謝いたします。ありがとうございました。


しかしどういう必要があってスコルダトゥーラをするのか、それについては・・・・やっぱりわかりませんでした。それではオチがきれいに決まったところで、また次回。