アトリウム弦楽四重奏団・ロングインタビュー第3回配信(最終回)


■ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲全曲演奏会」の詳細とチケット予約は以下から
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2013/08/post-228.html

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第1回はこちらから
第2回はこちらから


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ロング・インタビューの第3回目、完結編です。政治に翻弄されたというイメージも強いショスタコーヴィチですが、それとは別に現在のロシアの情勢も少し語られます。また、ショスタコーヴィチが終わればベートーヴェンをやりたい、と今後の野心も。


来月の公演へ向け、期待を高めるインタビューの完結編、どうぞお読み下さい。


アトリウム弦楽四重奏団は12月1日(日)に武蔵野市民文化会館でショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲全曲演奏会を開催致します。


全11時間にわたるマラソン・コンサートは、あなたの人生の、かけがいのない財産となるに違いありません。まだご予約頂いていない方は、ぜひこちらから詳細をご確認の上、ご予約下さいませ。


略称は以下の通りです
Al・・・アレクセイ・ナウメンコ Alexey Naumenko(ヴァイオリン)
An・・・アントン・イリューニン Anton Ilyunin(ヴァイオリン)
D・・・ドミトリー・ピツルコ Dmitry Pitulko(ヴィオラ)
Anna・・・アンナ・ゴレロヴァ Anna Gorelova(チェロ)
Q・・・秋島百合子(ロンドン在住ジャーナリスト)


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第3回配信 今後の活動について、そして弦楽四重奏をすることの難しさ


Q=現在のロシアでショスタコーヴィチの音楽を演奏するときは、実際にこのような政治状況や歴史を考えてやるのですか。それとも純粋に音楽だけ?
D=演奏者によります。


Q=観客は?
An=ショスタコーヴィチの音楽への反応は、2種類あるだけです。受け入れるか、受け入れないかです。この曲は好きだけど、こちらは嫌いだ、ということはなくて、彼の音楽自体が好きか嫌いかなだけ。ロシアで観客がショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲を聴きにくるでしょ。ものすごく熱狂的な反応か、まったく否定的な反応しかない。

Anna=それは彼が天才的な創造である印じゃないかしら。芸術においても、建築でも、絵画でも舞台芸術でも、こんなものは受け入れられない、といわれるか、これは天才的だというかのどちらかだけ。いつもそうです。


Q=リリースしたCDを見てもロシア物が多いですが、ロシア音楽をライフワークとしているのですか?
An=私たち今はベルリンに住んでいます。最初の目的は音楽を勉強するためでした。ベートーヴェンとか、シューベルト、シューマン、メンデルスゾーン、モーツァルト、ハイドンなどを勉強するために。ロシアでは十分に演奏の仕方や公演について学ぶことができなかったので。ですから特にロシア音楽をやろうというのではありません。ベートーヴェンやリゲティやバルトークなどのコンサートなどでもよい批評をもらっています。ですからロシア音楽の演奏家としてのみ受け入れられているのではありません。


Q=でもリリースや今までの活動を見て、ロシアのものが多いですよね?
An=モーツァルト、ベートーヴェンも録音しています。スペインの現代作曲家のホルディ・セルベージョ(Jordi Cervallo)も録音したし。ベートーヴェンもドビュッシーも録音しました。


Q=イメージの問題かもしれませんが、みなさんはロシア人で歴史的に深刻な意味のあるベルリンに住み、歴史的、政治的にいろいろな意味を持つショスタコーヴィチをたくさんやっている。
D=メンデルスゾーンのチクルスも考えています。

An=アトリウム弦楽四重奏団の創立15年が2015年にあるので、そのときはべートーヴェンのチクルスをやりたいですね。

Anna=それが夢なの。

D=今までにやったベートーヴェンの批評はよかったから、ぜひ。僕の意見ですが、我々にとって、なぜかモーツァルトはむずかしい。理由はわからないけれど。ハイドンとベートーヴェンはいいのに。

An=我々の人生の特定の時期に、我々が重要だと考えるレパートリーを明確に表現しなければならないと思っています。それでメンデルスゾーンはあと2年後には重要になると考えています。彼がドイツ人だとか、我々がベルリンに住んでいるとかいうのではなくて、音楽の世界に重要で、弦楽四重奏にとって重要だからです。我々にとって今の段階では、ショスタコーヴィチが一番重要なんですよね。いろいろ平行してやっていますけど。


Q=チャイコフスキーやショスタコーヴィチを直接知っていた人と接触する機会はありましたか?
An=第15番を初演したタネイエフ弦楽四重奏団のチェリストのヨゼフ・レヴィンソン教授です。この曲を始めて演奏した人です。ショスタコーヴィチのモスクワの家に行って練習したそうです。レヴィンソンから学んだ最初の重要なことは、楽譜に書いてあるテンポについてです。テンポはショスタコーヴィチにとって一番必要なことではありませんでした。楽曲のキャラクター(特質、特性)がテンポより大切だというのです。たとえばテンポが80の場合、厳密に80でなくてもよい、そこから音楽を作るキャラクターを生み出すことが大切で、テンポは90でも70でもいいから。それがショスタコーヴィチのメトロノームです(笑)。

Anna=それは重要なことですね。

D=ほんとうかどうかはわかりませんが、そういう話はききました。

An=ある曲をいつも同じキャラクターで同じテンポで演奏するのは不可能ですよ。その日その時によります。気分がいいとか音響がどうだとか、その時によってすこし速く、または遅くやるものです。いろいろな状況によりますね。

Anna=レヴィンソン教授が私たちの先生で、私たちのクァルテットの創設を後押しして下さいました。


Q=みなさんはベルリンに定住しているのですか?
Al=はい、そうです。


Q=ロシアでは、何をするにも自由ですか?
An=ええ、もちろん。


Q=ヨーロッパできくニュースですが、現体制下でも自由を奪われる人々がいると伝わってきます。
A=我々が政治の話をするのは適切ではないと思います。集中して考えているのではないので。


Q=よくロシアと行ったりきたりするのですか?
Al=もちろんです。


Q=アーティストはなんでも自由にできるのですか?
An=はい、そうですよ。


Q=アーティストには特権があるのかもしれませんね。
An=西側のメディアには誇張された話がたくさんあると思います。民主主義とか自由について話すとき、これらの言葉の解釈にはいろいろあります。ですからロシアに民主主義がない、などというのは間違いです。音楽家はまったく問題ないですよ。極端なケースでない限り。それはどこでもあるでしょう。


Q=「プッシー・ライオット」(*)の刑罰が西側メディアでは大きく報道されていますが、あの事件をどう思いますか。

(*) カラフルな覆面を被った若い女性3人のパンク・グループ。2012年2月にプーチン体制を批判する歌をロシア正教の聖堂で歌い、同年8月に暴徒行為罪で禁固2年の実刑判決を言い渡された。以後釈放されたメンバーもいるが、2013年7月現在、リーダー格のメンバーは釈放を求める上告を却下されて服役中。宗教と表現の自由を巡ってロシア内外で大論争を呼び、欧米メディアは主にロシア体制に批判的な姿勢を示す。歌手のマドンナがロシアでのコンサートで派手な抗議をしたり、BBCを含む西側の映画製作者が映画館用のドキュメンタリー映画を作ったりして反響が広がっていった。

(みんなが一度に話し出す)

Al=アーティストの問題ではありません。法廷の判決が間違っていたのです。

Anna=いろいろなことが間違っていました。最終的な判定に至る前に、普通ではありえない、よくない情報が多く飛び交いました。私の意見としては、この女性たちは、もし何かに反対しているならその意見を示すことは正しいけれど、教会でやるべきではなかったと思います。教会という場所を尊重すべきでした。街頭ならよいけれど、幼稚園もだめ、教会もだめです。


Q=それで刑務所に入れられたのですよね?
An=それはとても不可解な判決です。
(同時に話す)
Al=子供がいる人もいたのに。

An=彼女たちがやったことはいいことではありません。でもその結果(判決)は行き過ぎです。

Anna=あれは見せつけのための裁判(show trial)ともいえますね。禁固刑に値するような罪ではありません。行いは悪かったけれど。


Q=あと2つだけ質問です。先ず近い将来の計画について。
An=創立15周年を記念する行事をやりたいと思っています。もちろんチャイコフスキー生誕175周年もね。彼の3つの弦楽四重奏曲も含めてすべての室内楽をやるミニ・フェスティバルを主催できたらいいと考えています。おそらくベルリンで。三重奏曲や六重奏曲、ヴァイオリンの作品など。さらには、あまり有名ではないGrigory Fridというロシアの作曲家のピアノ協奏曲を2曲を録音します。ヴィオラのソロの入った曲も入れます。ドイツの放送局で録音し、おそらくCPOレーベルになるでしょう。ピア二ストはドイツ人です。さらにピアノ五重奏曲もあって、ヴァイオリン2人にヴィオラとチェロとピアノですが、リーダー的楽器(leading voice)はヴィオラという楽曲です。

D=ヴィオラが話をするわけです。


Q=では、最後の質問です。日本にはプロの弦楽四重奏団がほとんどありません。やりたい学生はいるのですが、先例がないのです。どうしたらいいか、何かアドバイスをいただけますか。
An=専門の先生を招聘して大学などの音楽教育機関に室内楽専門の部門を作ることでしょうね。何か小さな弦楽四重奏アカデミーが日本にできるといい。それしか方法はないでしょう。

Q=では何からスタートすればいいのでしょうか?
D=先ずはだれか、人がいないとね。ほんというにわかる教授が必要です。

An=興味のある学生たちをプロの生活に導くには非常にむずかしいことです。

Anna=だからこそ私たちはタネイエフ弦楽四重奏団のレヴィンソン教授に非常に感謝しているのです。この(弦楽四重奏という)アイディアを私たちの頭に吹き込んでくれたのはこの先生ですから。彼の教え方というのは、一緒になってやる、ということなんです。お互いを愛し合うこと、これがコミュニケーションを助けるのだと。

D=そうですね。僕は最初からいたのではありませんが、彼がすばらしい人であったのは知っています。クァルテットの練習をするときも、それは五重奏曲のようでした。先生がものすごくプロセスに入り込んで一緒にやっていましたから。ですからコンクールに参加したときも五重奏のようでした。あらゆる感情を分かち合ってくれました。

Anna=教える先生というのは、それぞれの楽器の演奏者であるだけでなく、クァルテットの一員としての経験が長い人でなければいけません。

D=グループの中のことがわかっていないとね。

Anna=弦楽四重奏団の中から、長い間グループがどう活動するのかをわかっていることが大切です。

Q=そしてコンクールがあります。
An=コンクールに優勝するのはよいスタートにはなります。でもそれからの仕事はコンクールに勝つことよりずっとむずかしいです。生涯の競争ですからね。毎日、その演奏を特別のものにしなければなりませんから。

Anna=コンクールは一般に知られるためにあるのです。でもそれからが、ほんとうのキャリアを作る段階になるのです。


【了】


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アトリウム弦楽四重奏団・ロングインタビュー第2回配信


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第3回(最終回)はこちらから


昨日に引き続き、アトリウム弦楽四重奏団へのロング・インタビューの第2回をお送り致します(全3回です)。


第2回目はカルテット演奏について、解釈についてを中心に話されます。今回も非常に読み応えがあります。やはりショスタコーヴィチはロシア人にとっても非常に重要な作曲家なのです。「崇拝される存在」とまで言い切っているところに驚きと畏敬の念を抱きます。


それでは今回もごゆっくりとお楽しみ下さい。


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略称は以下の通りです
Al・・・アレクセイ・ナウメンコ Alexey Naumenko(ヴァイオリン)
An・・・アントン・イリューニン Anton Ilyunin(ヴァイオリン)
D・・・ドミトリー・ピツルコ Dmitry Pitulko(ヴィオラ)
Anna・・・アンナ・ゴレロヴァ Anna Gorelova(チェロ)
Q・・・秋島百合子(ロンドン在住ジャーナリスト)


第2回配信 ショスタコーヴィチの全曲をやる意味、個々の作品に関して。そしてショスタコーヴィチの政治的な闘争。

Q=ではショスタコーヴィチについて。全曲をやることの意義はなんですか。お客さんにとっても。
An=重要なことですが、作曲家の生涯を1日で一緒に生きてほしいからです。これはほんとうに自伝のような作品ですからね。観客も演奏者も一緒に辿るわけです。2晩でやっても3晩でやっても、そのプロセスを経験するのは不可能です。家に戻れば家族もいるし、他にもやることがあるでしょ。スイッチ入れたり、切ったりしていては全体像を把握することはできません。彼は最初に24曲作るつもりだったのですが、でも15曲で止めました。


Q=どうやって聴いたらいいか、アドバイスはありますか?
An=曲の前に、作曲家について何か説明を加えたらどうでしょう。音楽を聴くだけでは十分でないこともありますから。一般の人にはね。

Anna=いろいろ象徴的なものが音楽に入っていますからね。私たちは書簡とか本とかいろいろ読みましたが、弦楽四重奏曲の一つ一つに興味深い話が詰まっています。それはあまり知られていないので、観客に伝えたらおもしろいと思うのです。

D=たとえば第6番は第5番と第7番からはかけ離れています。第6番とは別個のものなので、言葉で説明しなければ理解のしようがないでしょう。僕も初めて聴いたときはなんと変わった音楽だと思いました。


Q=彼としてはですね?
D=そうです。とても甘いのです。ショスタコーヴィチの音楽が甘いなんて想像できますか。この曲は2番目の妻に捧げられたものであることがわかったのですが、結婚したばかりでした。

An=ほんの2年ぐらいの結婚生活でしたけれどね。うまくいかなかった。

D=理由がわかると、音楽が理解できるものです。弦楽四重奏はビジネス的なプロジェクトではなくて、自分のために作曲したのです。


Q=第15番を書いているとき、自分の死期が近づいていることを知っていたのですか?
An=はい、この時すでに自分は助からないとわかっていました。弦楽四重奏曲はベートーヴェン弦楽四重奏団に捧げましたが、これは自分自身のために書いたのかもしれませんね。自分の過去を思い出すような記しが音楽の中にたくさん入っていますから。


Q=15曲もあるんですから、好き嫌いはないですか?
D=すべて同じです。

An=僕は違うな。

D=作品のクオリティは同じです。

An=たしかにクオリティは同じですが、好き嫌いは変わるものです。たとえば僕は長年第5番が好きだったのですが、飽きてきました。ちょっとね。昨年のシーズンでは第11番をやりました。これが15曲の中で一番天才的だと思ってね。いろいろなものが入っているから。今年は多分、第12がいいです。なぜだかわからない。彼(ショスタコーヴィチ)に何が起きたのか。もしかした弾くたびに新しいものを見つかってそれに興味を持ち始めるからかな。

Al=演奏しているといろいろなことを見つけますから。観客は彼の生涯について少し知った方がいいと思いますよ。


Q=チャイコフスキーやショスタコーヴィチは現在のロシアでどのように位置づけられますか。クラシック愛好家の中で、たとえばドイツ人にとってのべートーヴェンとかのように、特別な作曲家なのですか?
An=2人とも全くその通りです。大勢の作曲家がいますが、ソ連時代の作曲家としては、ショスタコーヴィチは崇拝される存在です。チャイコフスキーも、ロマン派の世界では同じです。もしロシアで、音楽関係者でないふつうの人にロシアの代表的な音楽家は?ときけば、間違いなくチャイコフスキーというでしょう。そしてもっと音楽をわかっている一般の人なら、ショスタコーヴィチというでしょう。2番目に。

D=90%の人はこの2人の音楽をきいたことがないかもしれないけれど、間違いなく名前は知っています。


Q=チャイコフスキーは、先ずバレエなら知っているのでしょうか?
An=そうでもありません。もちろん2つぐらい誰でも知ってる。『白鳥の湖』もあるし。これはロシアに限ったものではありませんが。

D=ソ連が崩壊した時、テレビで3日間『白鳥の湖』をやってましたよ。


Q=ショスタコーヴィチの政治的闘争について、今日のロシア人は音楽を聴くときにどれぐらい結びつけて考えるのでしょうか?
An=それぞれ意見が違うと思いますよ。僕はいろいろなものを読んでいますが、体制から苦しみを受けていることに関して少し誇張されている気がします。必ずしも真実ではないと思う。ですから、ある程度の影響はあるけれど、多くの場合、彼はラッキーでした。いろいろなコンサートをやることができたわけですから。もちろん禁止されたこともあるけれど、全てではない。抑圧されていた話は少し大げさです。最終的には、自分のやりたいことをやり遂げました。


Q=スターリンが死んだ後も生き延びたのですものね。プロコフィエフと違って(スターリンと同じ日に没)。
An=スターリンやあの体制が、もしかしたら彼の生涯を短縮したかもしれない。もしかしたら・・・・。

Anna=ちょっと失礼...私は別の想像をしています。私は、以前は、彼はソビエト体制に適応する人だと思っていました。当時の作曲家の中で100%生き残ったのは彼だけだし、生存中に十分受け入れられていて、彼のほとんどの作品は有名になり、作曲後何年も経ってからも公表され続けました。ヴァイオリン協奏曲やいくつかの弦楽四重奏曲などがその例です。どれも評判がよく、批評家も称賛しました。彼は流れに沿っていって体制を受け入れ、適用することができる人だったと思っていました。でも彼の書簡などを読んで少し考えが変わりました。彼は先ず深いユーモアのセンスを持っていました。第2にはとても繊細な人で、いつも他の人たちに心を寄せていました。いつもです。ですから、無名の作曲家や音楽を援助しました。たとえば戦争中、みな貧しい時には食べ物や住居を用意したりしました。

An=自分のためでなく、他の人たちにね。

Anna=それから家族のあらゆる人たち、妻の家族も助けました。他の人も。それが彼の人柄なのです。人々に愛されました。謙虚な人で、自分自身のためにいろいろな要求をすることは決してなかった。そして要求をしなかったからこそ、いろいろなものを与えられました。ユーモアのセンスがあったし、繊細だった。もし体制が彼の人生を短くしたのなら、それは彼がいつも何かを恐れていたからでしょう。

An=自分のための恐れていたのではなくて、家族とか周囲の人たちのためにです。

Anna=歴史的を振り返って、人間というものの悲劇を反映していたのでしょう。それが彼の音楽に大きな影響を与えています。


Q=国家の悲劇というより人間個人の悲劇なのですね。
An=もちろん国家の悲劇にも根付いています。たとえば交響曲の「1905年」(第11番)、「バビヤール」(第13番)、またはレーニンの交響曲(第12番「1917年」)とかね。弦楽四重奏曲も同じですよ。いろいろな人物に捧げてますよね。第6番は、正式には捧げた人の名前がありませんが、非公式に2番目の妻に捧げたものであることがわかっています。

Anna=どれが好きかという話がありましたが、他のメンバーは第6番はあまり好きではないようです(笑)。でも私は大好き。美しいところがたくさんありますから。

Al=ショスタコーヴィチには、作家や画家が言えないことを、わかる人のみが理解できる音楽というものなら表現できるというアドバンテージがありました。

D=文化水準が低くて彼のユーモアを理解できない人たちが(体制の中に)いるのですよ。時に、このユーモアは特定の人に抵抗するものだとか、体制に反するものだと感じられることがあります。

An=何かに捧げられているとしても、それが本音でないことはあります。 たとえば、すでに交響曲「1905年」(第11番)に触れましたが、最初のロシア革命に捧げられていますが、実際には、ショスタコーヴィチの「誕生の時代」というものに捧げられたのかもしれない。生まれたのはこの年ではなくて1906年ですが、この作品は彼の生まれた時代に捧げられたものなのです。特に革命のアイディアと結びついているというのではなくて。

Anna=「弦楽四重奏曲第8番」についても同じことがいえます。これは自分について、自分のために書かれたものです。「戦争とファシズムの犠牲者」に捧げられたものになってはいますが。


Q=「バビヤール(交響曲第13番)」みたいにですね。
Anna=そうです。

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第3回(最終回)はこちらから


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アトリウム弦楽四重奏団・ロングインタビュー第1回配信


■ショスタコーヴィチ「弦楽四重奏曲全曲」演奏会の詳細とチケット予約は以下から
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12月1日(日)に武蔵野市民文化会館でのショスタコーヴィチ・マラソンに挑むアトリウム弦楽四重奏団のロング・インタビュー記事が届きました。ちょうど開催一ヶ月前となる今日という日を記念して、掲載を開始致します。


インタビューが行われたのは夏の終わりの8月31日(土)のフランス、ヴィッセンブールという場所です。この地で彼らは日本に先がけ、このインタビュー翌日の9月1日(日)にショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲「全曲演奏会」を行い大喝采を浴びました。インタビュアーはロンドン在住のジャーナリスト秋島百合子氏。


かなりの長文ですので、上中下三回に分けて公開いたします。本日はその第一回目です。


演奏している分には余り疲れないようだ、とか言うことがわかったり、メンバーによって考えが異なる部分もあったりして、実に興味深いインタビューとなっております。ぜひ斜め読みではなく、腰を据えてじっくりとお読み下さい。


そして12月1日(日)は、あなたの人生にとっても極めて稀な体験となるに違いないこの超・特別なコンサートにぜひ、足をお運び下さい。皆様のご来場、お待ち申し上げております!


第2回はこちらから
第3回(最終回)はこちらから


略称は以下の通りです
Al・・・アレクセイ・ナウメンコ Alexey Naumenko(ヴァイオリン)
An・・・アントン・イリューニン Anton Ilyunin(ヴァイオリン)
D・・・ドミトリー・ピツルコ Dmitry Pitulko(ヴィオラ)
Anna・・・アンナ・ゴレロヴァ Anna Gorelova(チェロ)
Q・・・秋島百合子(ロンドン在住ジャーナリスト)


第1回目配信 いきさつ~練習について、そしてアトリウム弦楽四重奏団について
Q=日本向けにこのプログラムを選んだいきさつは?
An=日本から、ショスタコーヴィチのマラソン公演をやらないかという提案をいただいたのです。いつかこの作曲家の全曲演奏をやりたいと長年思っていたのですよ。そのきっかけとなる機会がほしかったのです。でも始めはできるかどうか不安でした。なにせ7時間でしょう。どうやって1日でまとめるのか。我々の間でいろいろ話し合った結果、これはすばらしいアイディアだ、誰もやったことがないんだからという結論に達しました。1日でやることによって、観客も我々も、全体像を短時間で把握するためのいろいろな可能性が出てくるだろうと思ったのです。日本の皆さんに感謝です。


Q=チクルスの準備にどれぐらいかかりましたか?
An=そんなに長くないですよ。15曲のすべてがすでにレパートリーとして演奏していましたから。2000年に結成した時から、違う年に個々に演奏しています。今のメンバーになってから5番をやって、それから7番、それから1つずつやって、全てがレパートリーに入りました。


Q=チクルスはすでに(ヴィッセンブールの前に)どこかでやったのですか?
An=ええ、チクルスとしては2度やりました。1度はサンクト・ペテルブルクのマリインスキー・シアター・フェスティバル、白夜祭です。今年の5月です。3日続けて、一晩で5曲です。まあ、通しですからマラソンのようなものですね。それからアイスランドのレイキャビーク芸術祭で、これは1日でやりました。


Q=疲れませんでしたか?
D=我々にとっての方が(観客にとってより)やさしいのですよ。通常、午前中にリハーサルで5曲の弦楽四重奏を練習して、夜に本番で5曲やれば、もう10曲やっているわけでしょ。3日で30曲になる。全部通せば、終れば疲れるけれど一息でやれるのはいいことです。

An=ちょっとつけ加えると、ステージに上がるには、その都度チューニングして演奏する気持ちに入らなければならない。これはとても重要なことです。5曲ずつ3回やると、3回そのプロセスがあるけれど、15曲やると、一度で済むからその方が楽なんです。レイキャビークでは、ただ一度やればよかった。3晩に分けてやるよりやり易いんです。

D=コンサートの後で、ドイツ大使館で大きなレセプションがあってね。3時間から4時間も。疲れた気分はなかったなあ(笑)。


Q=今リハーサルが終わったところですが、15曲もあるのに短時間でどのようになさったのですか?
Al=あそこ、ここと、ちょっと難しい箇所だけやりました。

An=でも僕は違う意見です。小さいところやイントネーションを考えながら一緒にやるのは重要ですが、もっとも大切なのは一緒にいるということです。我々にとっては、我々のムードや形をチューニングして明日のためのプロセスに入ることですよ。一緒に時を過ごすことが重要であって、極端に言うと、何をしていてもかまわないんです。


Q=明日の演奏会の前、最後に一緒に演奏したのはいつですか?
An=この音楽祭(注:ヴィッセンブール音楽祭)ですでに別のプログラムの演奏会をやったのですが、その後一度、ベルリンに帰ってマラソンの練習をしていました。他にもこの後に別のところでWeinberg というショスタコーヴィチの弟子の作品で、おもしろいけれど難しい、今度ベルリンで演奏するピアノ五重奏曲(op.18)と弦楽四重奏曲の第8番(op.66)の練習もしていました。


Q=アトリウム弦楽四重奏団についてうかがいます。創設メンバーはアレクセイとアントンですね?
An=アレクセイはその前にクァルテットを持っていました。2000年の前です。その後、アレクセイが僕を呼んでくれて参加し、サンクト・ペテルブルク音楽大学時代に学生たちでアトリウム弦楽四重奏団を結成しました。チェロ奏者は別の活動もあったりして、2002年アンナが入り、ドミトリーは2004年に入りました。


Q=アトリウムという名前についておしえてください。
An=それには美しい説明があるんですよ。アトリウムとはローマ時代の宮殿の美しい中庭を意味します。天井は空ですから、見透しがきく。4人のパーソナリティは別ですが、室内楽を作るときはアトリウムで一緒にやろうということでこの名をつけました。

Anna=歴史的に見ると、アトリウムは家族や友達が団欒するところでした。


第2回はこちらから
第3回(最終回)はこちらから


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【ネットで今話題】間違った曲を準備したピアニスト

投稿者:ヤマネ


今最も著名なピアニストの一人である事は間違いないポルトガル人、マリア・ジョアン・ピリス。アムステルダム・コンセルトヘボウ管(指揮:リッカルド・シャイー)とのリハーサルで、自分が準備していた曲と異なる曲をオーケストラが演奏し始め、猛烈なショックを受けている映像がいま、ネット上で話題、あちこちでシェアされています。


ホールには聴衆がいますし、ランチタイムコンサートと書かれているサイトもありましたが、シャイーが首にタオルを巻きラフな格好をしていますので、おそらくコンサートではなく公開リハーサルだったのではないかと思います。


■ニューヨーク・デイリーニューズ紙(英語)
http://www.nydailynews.com/entertainment/music-arts/pianist-horrified-orchestra-plays-wrong-concerto-live-performance-article-1.1500562


■テレグラフ紙のブログ(英語)
http://blogs.telegraph.co.uk/news/damianthompson/100243153/pianist-maria-joao-pires-panics-as-she-realises-the-orchestra-has-started-the-wrong-concerto/


■問題の映像Youtube


映像はそれほど鮮明ではありませんが、ピリスは若く見えますので、最近の話ではなさそうです。


それにしてもオーケストラが違う曲を弾き出す、というのは本当に恐ろしい悪夢です。通常指揮者とピアニストはリハーサル前に2人で曲について打合せをしますが、この時は時間が無かったのか、なんらかの理由で打合せなしだったのでしょう(いや、打合せが仮にあったとしても激烈に動揺することに違いはないですが)。

いやー、恐ろしい。楽器を演奏した事のある人なら誰でもこういう夢は見たことがあると思いますが、現実になってしまったホラーは想像しただけで「昏倒もの」です。私も一気に全身から血の気が失せました。


ピリスは7歳の頃からこの曲を演奏しており、前のシーズンもこの曲を弾いたという事のようで、シャイーも、「おうちに楽譜を置いてきてしまった」と言うピリスに向かい「昨シーズンも弾いたでしょ」と軽々返して指揮を止めないあたり、鬼だなと思うのですが、しかしピリスはショックを受けながらも「もし憶えてたらやれるだけのことをするわ」と何とか気持ちを切り替え、演奏を始める。しかも美しく完璧に・・・。


・・・とここで映像は終わり、伝えられるところによれば最後まで完璧に弾いたそうです。
  

本屋に行こう。三鷹駅前には本屋が5軒

投稿者:ヤマネ

世の中から本屋さんがどんどん無くなっているそうです。時代の趨勢ですね。Amazonなどのオンラインショップでの注文や電子書籍の普及に伴い、本屋でぼんやりと、あるいは真剣に本棚を睨めつけながら本を見付けるという行為は、人々の、そして私の生活から減って行っています。


実際私も、オンラインで本を買うことしばしばです。また、私が働いている武蔵野市民文化会館のすぐ目の前には武蔵野市の中央図書館がありますので、そこを利用することもある。


しかし「絶対に本屋に行くとき」があります。それはいつかと言いますと、コンサートホールに早めに着いたとき、なのです。


目的のコンサートホールに行くために電車に乗り、最寄りの駅で降りる。時計をみれば開演までまだ大分あるじゃないっすか。そういう時、私はまず100%本屋に行きます。サントリーホールならアークヒルズの丸善。東京文化会館なら上野駅中のブックエキスプレス、オペラシティならくまざわ書店、紀尾井ホールなら鈴傳(これは酒屋!!)、といった具合です。


特に目当ての本があるわけではなく、本屋で何とはなしに本を眺め、ぱらぱらとめくってみたり、買ってみたりする時間というのは何ともぜいたくな気がしています。私は本屋という場所が何とも好きなので、これからも利用し続けたいと思います。


武蔵野市民文化会館への最寄りの駅であるJR三鷹駅前にも、大きくはないですが数件の本屋さんがございますね。南口コラルの啓文堂、三鷹の森書店、アトレの文教堂、そして駅中と北口ツタヤにも小さいですがそれぞれ本屋があります(もっとあったらごめんなさい)。私も折に触れて立ち寄っております。


みなさんも、三鷹駅に早く着いた時はぜひ、というか、たまにはちょっと早めに着いてみて、上記いずれかの本屋で本の匂いに浸ってみてはいかがでしょうか。
 

  

オランダ、蘭学、ミンナール

投稿者:ヤマネ

ハンス・ミンナール。オランダ人の若手期待のピアニストであります。エリザベート国際コンクール第3位(コジュヒンが優勝した2010年の回です)。その後めきめきと頭角を現してきており、先日はついにブロムシュテット指揮コンセルトヘボウ管にデビューを果たしました。


話が逸れますがオランダ語というのは不思議な言語です。英語とドイツ語が混じったような形をしていて、サンキューとかダンケとか言う代わりにダンクユーと言います。私は一時ベルギーに住んでいたので、あそこはフレミッシュという一種オランダ語のなまりを話すのですが、aaとか、ijとか、ooとか、一風変わった綴りを見かけました。


江戸時代は蘭学が盛んだった、と言われても現代の私たちには全くピンと来ませんが、かつて日本の一部のインテリの間でオランダ語が学ばれたというのは不思議な感じがします。オランダ人にそんな話をしても「はあ?日本で200年前にオランダ?・・・・オランダ語?それは一体ゼンタイ何事でゴワスか?」と言われるのがオチでした(少なくとも私の知人の範囲では)。


閑話休題。ミンナールです。実にオランダ人らしいHannes Minnaarというスペリングに意味なく若干の興奮を覚えます。その彼が送ってきたプログラムを一見して・・・・これはきれいなプログラミングだ、と思いました。


ラヴェル「クープランの墓」、フランク「前奏曲、コラールとフーガ」、そしてショパン「24の前奏曲」。一見何のひねりもない、ごくまっとうなプログラムに見えますが、素晴らしくセンスがいい。これは・・・・なかなか出せるプログラムではありません。


パリを拠点に活躍した3人の作曲家の、いずれもバロック時代の作品形式を下敷きにして書かれた作品です(平均律や組曲と言われるようなものです)。そしてその形式を素地としつつも、それぞれの個性を存分に発揮した気品があり味わい深い作品となっている。個人的な話をして良いかどうか、私は、こういう上品なプログラムを思いつく演奏家がかなり好きです。


演奏を聴いてみても(生演奏ではなくて、手に入る音源での範囲ですが)、厭みや押しつけがましさ、アクの強さが無くて、すっと心に入ってくる。きっと音も下卑たまでに大きくはないでしょう(急いで付け加えますと、下卑たまでに大きい音を出す演奏家も好きです)。


トンカツや松阪牛すき焼きなどドテッとした料理ではなく、美しく出汁のとられたお清ましや、火加減の見事な焼きもの、そういった料理を彷彿とするのであろうなと想像しております。


実演も期待できると思います。楽しみです。


■12/12(木) ハンネス・ミンナール ピアノ・リサイタル詳細とチケットは以下から:
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2013/10/post-242.html
チケット予約は発売開始1週間で8割弱に達しております。ご予約はお早めにどうぞ!
 

漆黒のピアノに浮かび上がるゴールデン・ロゴ

投稿者:ヤマネ

皆様こんにちは!今日もミニお勉強会です!!


ピアノの鍵盤のフタの秘密が判ったところで、今日はピアノの次なる秘密を明らかにします!(これで今回はネタ切れ)


ピアノに座ります。目の前に鍵盤のフタがあります。開けます。その中央部分にそのピアノメーカーのロゴがあります。金色に輝いています。あれはどうなっているか、というか、どういう風に作られているかご存じですか?え?知らない?・・・ハハ、ワトソン君は無知だね、イモだね。


そうなのです。私、先日のフタとっかえひっかえ問題の時に同時に学んだのですが、あのロゴは、というか、あそこの部分には、厚さ数ミリの真鍮が埋まっているのだそうです。真鍮をまず木面に貼り付け、塗装でがっつりカバーし・・・・全体を丁寧に磨き上げる事で浮かび上がらせている!という事を、私は生まれて初めて「36年と4ヶ月振り」に知ったのであります!ガーン!!


ピアノの右脇に行きます。客席の方向からピアノを眺めたときに、ピアノの脇に同じようにメーカーのロゴが黄金色に輝いて見えます。ここも同様の仕上げなのであります!「塗って覆い被して」「磨いて」ロゴを浮かび上がらせるのです!なんたること・・・・。事実は小説よりも奇なりであります。


その手法もさることながら、私は塗装の厚さにもびっくりしました。「数ミリのプレートを完全に覆い尽くすほどに厚く塗ってある」というのは誠に驚きであります。塗装は響きにどれほどの影響があるものなのでしょうか。不思議な気分になりました。ブルボンのルマンドが食べたくなりました。


あそこの造りはどうなっているのかな、と夜な夜な沈思黙考し、眠れない日々が長年続いていたのですが、とりあえずこれで枕を高くして眠ることが出来そうです。ありがとうございました。


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そんな素敵仕上げのピアノを生で見てみたいあなたには以下の公演がオススメです:
■11/19(火)アンドレ・ワッツ ピアノ・リサイタル 「熱情」ほか
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2013/07/post-216.html
 
 

スタインウェイ・ピアノの鍵盤の蓋に関する謎

投稿者:ヤマネ

みなさんこんにちはこんにちは!!今日はミニ勉強会です!写真はクリックすると拡大します。


ピアノの鍵盤にはフタがあります。これです。


・・・・単体だけで見せられても判りにくいですか。申し訳ありません。


今日はこの鍵盤のフタ、世の中のコンサートホールに多くあるスタインウェイというメーカーの鍵盤のフタの話です。ちょっとしたアクシデントでフタに傷がついたので、修理に出て、そして帰ってきました。


で、この蓋なのですが、実は使い回しが出来ない、という事を知って私はガーン!と驚きました。


どういうことかといいますと、例えば武蔵野市民文化会館には3台の現役スタインウェイがありますが、この3台のピアノのフタは、自由にとっかえひっかえが「出来ない」のです。あらまあ!おやまあ!ビックリ!!


・・・・まあフタをとっかえひっかえする人も世の中にさほどいないとは思いますが。


なぜ出来ないのか。


なぜならば、「フタを留める部分の作りというか幅が個々の楽器によって違うから」なのだそうです。そんなわけで、もしかしたらうまくハマる場合もあるけれども、はまらない場合がほとんどである。ということなのだそうです!(調律師の方に教えていただきました。)

写真をご覧下さい。ここにこれをはめ込んで・・・

 

こうしてはめるのですが、この金属の部分の位置が楽器ごとに違う。なるほどー。でもそれは、、、なぜ?


なぜ、と思うその気持ち、実に自然ですね。しかしこの話を聞いた時、私はこの「なぜか」という所を詰め切らず、へーへーへー、とへーへーボタンを押して満足してしまいました。今さらですが、不明を恥じたい。


いやいや、工業製品なのに面白いですね。ついでに言うと、スタインウェイの鍵盤のフタは、例えばヤマハのように上に引っ張ればそれだけで簡単に外れる、という仕組みではないということにもちょっと驚きました。


私はいつも調律の様子を見ているはずなのにその事に全然気がついていない。人間の注意力とはいかにあてにならないか、という話でありました!!(単に私が注意散漫なだけ、とも言う)

  

ワード談義

投稿者:ひよこちゃん

I.D.氏が何度かこのブログで、「(ちょっと)変わっている」とよく言われる「武蔵野のチラシ」について、このブログで記事を書いていましたが、今日は私たちがチラシ作成にあたって欠かせないパソコンの、「とある」PCソフトについてのお話です。
  
 
数年前に劇作家・演出家の平田オリザ氏のエッセイで「ワープロ談義」についてのお話を読んだことがあります。今から20年近く前に書かれたエッセイだと思います。皆様覚えていらっしゃいますか、ワープロ?もう今ではほとんど使われていないワープロ。20代後半の私はワープロをいじったことがあるギリギリの世代でしょうか。
そのエッセイの中で、平田氏は文字入力に関して「アルファベット入力」派と「カナ入力」派に別れていて、(当時の)劇作家たちの間でホットな話題であると書いていらっしゃいます。この派閥争い?も時代を感じますが、今でも60歳前後の方でたまにいらっしゃいますよね「カナ入力」派。私は頼まれても「カナ入力」などできません。本当にできません。現在のパソコンユーザーの大半はこの「アルファベット入力」派だと考えられます(特に統計を取ったことはないのですが)。


20年前にホットであった派閥争いが「アルファベット入力」派の圧倒的勝利で終わった今、パソコン入力の世界にもはや闘争は存在しないのでしょうか?さあ、ここからが本題です。我々は先日、閉館間際の武蔵野市民文化会館1階事務所でひとしきり盛り上がりました。私とI.D.氏は帰り道でもひとしきり盛り上がりました。2013年を生きる我々武蔵野チラシ作成者の間に確かに存在する、新たなる闘争についてお話ししましょう。


さて、我々が何を使ってチラシを作成しているかおさらいしますと、そう、Microsoft Office Word、通称「ワード」です。闘争の種はココに埋められているのです。
ワードというのは文書作成ソフトです。普通は白紙の画面にべたーっと文字を打ち込んでいきます。例えば下の画像(クリックで拡大)のような感じです。これを「ベタ打ち」と呼ぶことにしましょう。



でもそれ以外にも入力方法がございます。
ベタ打ちのように全体に文字を入力するのではなく、例えば一部の限られた場所にだけ文字を入力したい場合には「テキストボックス」というツールを利用します。こんな感じです↓



テキストボックスの利点は位置など微調整が利きやすいことです。思う場所に自由に配置できます。欠点はその分、手間がかかります。ベタ打ちと違い、全てのボックスの位置を手作業で決めなくてはいけません。微妙な位置調整やレイアウト調整をしていたら、あっという間に30分や1時間経っています。あな、恐ろしや。
ここで働き始めて、このようなチラシを作り始めるまでは、正直な話、テキストボックスの存在さえ知りませんでしたが、いやはや今では日々の暮らしに欠かせぬ何かになってしまいました。こんなにもテキストボックスを使い倒している人間は、世界中見渡してもまれのような気がします。日本人はエクセルの使い方がガラパゴスだという話を、先日ネットで見ましたが、私のテキストボックスの使い方も、それはそれはガラパゴスでしょう。


I.D.氏やヤマネ氏は対照的に「極力ベタ打ち」派。彼らとしては全部テキストボックスは手間がかかりすぎると感じるようで、可能な限りベタ打ちで頑張りたいとのこと。とはいえ、彼らも全てがベタ打ちとは行かず、公演日時などを記載する部分や、細かく位置・角度などを調整したい時はもちろんテキストボックスを利用します。ときどき困るのは、彼らが休みの時に急ぎで彼らの原稿に手を入れなくてはならない時です。彼らが私の原稿をいじる時もそうだと思いますが、「え、一体コレどうなってるの?!」と一瞬ですが慌てるのです。1つ深呼吸を入れて、じっくり見るとすぐに分かるので、無論大きな問題ではありません。

アンドレアス・ショル、来日

投稿者:ヤマネ

今朝6時過ぎ、アンドレアス・ショルは無事に成田空港に到着、来日を果たしました。


カンタス航空。オーストラリアからの来日であります。オーストラリアン・チェンバー・オーケストラとの演奏会を6回行ってからの、来日であります。時差がほとんどない(実際はオーストラリアの方が日本より1時間進んでいます)ので、公演前日の来日でもOK!だそうです。オーストラリアの直前にはソウルでも何回か公演があったとか。そして明日の公演が終わりますと、翌朝早くに離日、ドイツへ。お忙しいのであります。


それにしても、2年半前にお会いした時も「でかい」と思いましたが、今朝もお会いしまして、またしても「でかいな」と思ってしまいました。身長なら180cmは軽くあります。そして分厚いんですよ。身体が。


ラルフ・ローレンのお店とかに、やたらめったら胸板の厚い人形が置いてありますね。いやいや、こんな胸板厚い人はいないでしょう、とかつて高校生ぐらいの私は思っていましたが、いるんですよ。強烈に胸板の厚い人が。


歌手は身体が楽器なのです。身体全体を共鳴させて歌うのですから、楽器が分厚いと、いい声が出ます。それがたとえカウンターテノールという、裏声で歌う特殊な楽器であっても(もちろん、ただ分厚いだけではダメですが)。


ご存じとは思いますが念のため、カウンターテノール歌手が普段からああいう声で喋っているわけでは全くありません。ショル氏の普段の声は・・・ほれぼれするほど素晴らしく響くバリトンです!本人がその気になればバリトン歌手としても、もしかすると素晴らしい評判を得られる・・・・かもしれません。


公演の全曲は当事業団のウェブサイトに掲載しております。チケットをお持ちの皆様は、どうぞお楽しみに。