ヘイヨム フェイヨム!

投稿者:Director's Choice


「やかまし村の子供たち」の映画やDVDがお好きな方はきっといらっしゃるかもしれませんね。12月2日(日)午後3時にスイングホールで公演を行う、スウェーデンのアカペラ・コーラス・グループ「クラヤ」のCD、Under Himmelens Fästeを聴いていると、突然知っている曲が流れ始めました。「ヘイヨム フェイヨム タレラレラ」と歌うこれは、Bonden Och Kråkanというスウェーデン民謡なのでした。


ABBAのスーパーヒットの秘密と言われるキューリング唱法のスウェーデンの民族音楽に端を発しています。牛飼いが遠くの仲間を呼んだり、狼の鳴き声を真似て狼を追い払うために使ったりした声がこの唱法の原点で、高音を自在に操ることが出来るのが特色です。このキューリング唱法でスウェーデンの伝統音楽をアカペラで歌うのが、今回来日するクラヤです。


民族音楽のファンならずとも、ABBAを聴いて「いいね!」と思ったことがある方はこのクラヤを是非聴いて欲しいのです。世の中は知らないことで満ち溢れていて、こうした新しい自分の知らない世界に出会うのは企画をする者には大きな喜びでもあります。


最近「座・高円寺」という芝居小屋ができて、高円寺のレストランを開拓していますが、なかなか「これだ!」というのがありません。今日は富士川食堂を紹介します。ロース生姜焼き定食550円!!うまい!!


* 北欧最高のヴォーカル・アンサンブル、クラヤ公演についての詳細は間もなく発表予定です。今しばらくお待ち下さいませ。


オルガン・コンクール 準備篇

投稿者:ヤマネ


最近、ブログが怠けている。更新されていない。せっかく勢い込んで始めた物の、早くもネタ切れか。何と言うことか。などと思われる方も居られたのではないか。(いない、と言われればそれはそれで寂しいのだが)


なぜだったのか。それは、恥ずかしながら、事務所が忙殺されていたからなのである。いったい私どもの事務所がどうなっていたのか。その鍵を握るのは、オルガン・コン、、、、ゴニョゴニョ。というアレだ。そうだ、アレである。ついに明日から、4年に一度の大イベント、武蔵野市国際オルガン・コンクールが始まってしまうのである!ババーン!


今回で7回目を迎える、パイプオルガン演奏の妙を競うこのコンクールは、日本で唯一、というかアジアでも唯一のオルガン・コンクールだというから驚きだ。その最終準備に我々は振り回されていたのだ。いつものメンバーだけで、つまり、臨時増員なしで、かつ、通常の業務もこなしつつのコンクール準備は、なかなかに、なかなかであった。


連日、ギリギリとあちらのネジを締め、あちらこちらで見つかる綻びを直したりなどしているうち、先生、シリツして下さい!などと意味不明な言葉を叫び出す者、廊下で気をつけの姿勢でうつぶせになって伸びている者、突如ララバイを歌い出す者(眠たかったんだネ!)などが現れ、現場は煉獄篇~地獄篇あたりの様相を呈していたのであった(若干の誇張が含まれていることをご承知置き下さい)。


だが、我々はついに長くつらい戦いに勝利した。すなわち、何と言うことか、準備が、整ったのである!これ実に、コンクールが始まる前夜の事なのである。(第一次予選が始まるのは21日からであるが、実務上は明日からがスタートとなる。)


あとは、コンテスタント個々人が能力の限りを尽くして挑むオルガン演奏に、皆様の、心からの拍手をお願いしたいと思います。


第一次予選はいよいよ、21日午後17時開幕です。チケットはまだ残りがありますので、是非お越し下さい!


オルガン・コンクールのチケットは下記URLからどうぞ:
http://www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2012/05/7.html

 

ピオーの歌詞をプレゼント!

 

投稿者:I.D

日頃より、このブログを読んでいただき誠にありがとうございます。

ご愛顧に感謝して、本日はブログを読んでくださっている方にプレゼントです。

 

武蔵野市民文化会館は8日後に迫った武蔵野市国際オルガンコンクール一色となっていますが、一般の公演が全くないわけではありません。

 

明日14日には「サンドリーヌ・ピオー」の公演が開催されます。フォーレ、メンデルスゾーン、ショーソン、R.シュトラウス、ヴァンサン・ブーショ、プーランク、ブリテンの歌曲というプログラムとなっておりますが、このブログ読んでくださっている方に、プログラムの全ての曲の日本語訳を一足早くお贈りいたします!

 

ピオー 歌詞対訳.pdf (*9月15日追記:配布は終了致しました。)

 

予習などして、是非お楽しみください。

 

これからも不定期でお得情報などあるかもしれません。ブログのチェックをお忘れ無く!

 

 

夏の軽井沢 音楽の旅

投稿者:番外編

8月23日、軽井沢の3つのオルガンを巡る旅へ行ってきました。

 

まだまだ残暑厳しい中、早朝から三鷹駅前にはバスの到着を今かと待ってくださる参加者の列ができて、皆様の期待感をひしひしと感じる旅の出発となりました。

 

参加予定の44名全員とスタッフ、それにオルガニストの松居直美さんを乗せて、満席のバスは一路、軽井沢へと出発。

 

車中では松居先生の“ミニ・レクチャー”が・・・オルガンの仕組みや歴史等が語られると皆様とても熱心に耳を傾けられ、メモを取られる方も見受けられました。

 

最初の目的地は「軽井沢追分教会」、緑に囲まれた素敵な森の教会でした。松居さんはこの教会での演奏を皮切りに、3つの異なるオルガンで数曲ずつを演奏してくださいました。

 

「こどう」でのランチを済ませ、次に向かったのは「中軽井沢修道院」、お御堂の中2階部分に設置されたオルガンを演奏者は屋根裏部屋へ行くように階段を昇り演奏します。姿が見えず、音色だけが響き渡る不思議な空間でした。最後は「軽井沢コルネ」、オルガン好きが高じてついには軽井沢のお住まいにオルガンを作ってしまったという個人の方のお宅でした。松居さんは3つのオルガンの個性に合わせた選曲をしてくださり、演奏に交えながらそれぞれの特徴を説明され、皆様は益々オルガンに興味を持たれていくようでした。

 

3か所のオルガンに関わりのある皆様がオルガン演奏を聴くという目的のために訪れた私たちを本当に快く迎えてくださり、それぞれのオルガンにまつわるお話を聞かせてくださいました。オルガンの音色だけでなく、温かなおもてなしにも癒され立ち去り難く、いずれの場所でも予定の滞在時間をオーバーしてしまいました。

 

午後8時過ぎ、三鷹駅前に無事到着。バスを降りるお一人、お一人が私たちに「本当に楽しかった」「とても良かった」と声をかけてくださいました。

 

素敵な演奏のみならず、企画段階からたいへんなお力添えをいただきました松居直美さん、本当にどうもありがとうございました。

 

 

自由か、安定か。

投稿者:Director's Choice


ヨーロッパ、特にドイツ語圏で活躍する若い歌手たちは、オペラハウスの専属歌手になって、安定した収入を得ながらレパートリーを増やしていくことが多い。ウィーン国立歌劇場の専属歌手などのトップレヴェルにはそう簡単になれるものでなく、小さな劇場でキャリアが終わってしまう人が多いのも周知のところだろう。


こうした中で、やりたい仕事だけを引き受けてフリーランスで歌い続ける人もいる。これは自由だが、競争を勝ち抜け厳しい道を行かなければならない。


11月10日(土)のハンナ・ヘアフルトナーは後者のタイプだ。声が美しく古楽、オペラ、現代音楽のどれも歌えるからこそ選んだ道である。ウィーン古楽祭、ベルリン国立歌劇場、ルール・トリエンナーレと各々の分野で最高の舞台に登場したが、仕事の選択には妥協がない。


コロラトゥーラ・ソプラノで「魔笛」の夜の女王の依頼が幾らあっても、絶対に受けない。武蔵野のリサイタルでも「日本人がほとんど知らないアリアだけれど、他のものに変えないか」と言っても「考え抜いた結果の曲目だから変えない」と信念が揺るがない。自由でいるためには強くなければならない。


さて、中目黒にファイヴスター・カフェというシンガポール料理店がある。ここのブラックカレーは実に美味である。(ちょっとわかりにくい場所なのだが、駅からは5分かからない。)
 

■ハンナ・ヘアフルトナー ソプラノ・リサイタル公演詳細
www.musashino-culture.or.jp/eventinfo/2012/08/post-104.html


  

ピアノの内部奏法について、傾向と対策

投稿者:ヤマネ


ピアノのファンの方ならよくご存じだと思うが、ピアノは普通に鍵盤を押し下げて音を出す以外に、特殊な演奏奏法がある。


ガバチョと斜めに開けられたグランドピアノの大きなふた、その中に手を突っ込み、中に張られた鋼鉄製の弦を直接さわったり、ばちや棒で叩いたり、チェーンを投げ込んだりなど、いろいろな仕掛けをして演奏したりするというのが、それだ。全く想像外の音がでたりするので、聴いている分には結構楽しい。


たとえばジョン・ケージの「プリペアド・ピアノのためのソナタとインターリュード」が有名だ。上記写真をご覧頂きたい。このように、ネジやゴムなどをピアノの弦に直接ねじ込んで音質を全く別のものに変えてしまう。この曲の一部は2010年の11月21日に、デイヴィッド・グレイルザンマーという人が武蔵野で演奏した。このときは、普段はリハーサル室に置いてある古いスタインウェイを使用している。


なぜ古いスタインウェイを使ったかというと、それはこの飛び出た物体どもが「ピアノを傷つける可能性があるから」である。すぐにお解りになる通り、ネジなど、硬い物体をピアノの弦に突っ込むと、やはりキズが付きやすい。


そんなわけで、世の中の多くのコンサートホールは「ピアノ内部奏法あり」と連絡が来たら、ギョッとする。そうして、どう対応するか考える。「絶対にダメ、曲を代えて」「楽器を借りてあげよう」「楽器を自分で手配して持ってきて下さい」「いーよーオッケー」という所など、反応は様々。


こんな事を書いているのも、実は今度10月11日(木)ハインツ・ホリガー公演(完売)も、内部奏法アリとの連絡が来たからだ。内容を調律師さんと共に検討した結果、まあ大丈夫だろうOK、あとでよく弦をクリーニングすりゃ問題なさそうだ、ということで、今回は通常のコンサート用スタインウェイを使用することになっている。


チケットをお持ちの方は、ピアノの特殊な奏法もワクワクと楽しみにしていて下さい。


 

新世界へ

投稿者:ひよこちゃん


昨日、世田谷パブリックシアターで上演中の「英国王のスピーチ」を観てきました。アカデミー賞作品賞などを受賞した映画の舞台版で、主役のジョージ6世を少年隊の東山紀之さんが演じていました。


もともと映画を観ていたのでストーリーはほとんど頭に入っており「あれを舞台にするのか。わざわざ舞台にしなくてもいい気もするな。面白いのかな」と半信半疑ながらも観に行ってみたのですが、これがとても素敵な舞台に仕上がっていました。これぞプロの仕事という感じです。3階席でも9000円!なので、貧乏暇なしのひよこちゃんからすればかなり大枚をはたきましたが、確かにその価値はあると思います。


そして、舞台そのものも興味深かったのですが、同じくらい興味深かったのが客層。東山さんのファン(追っかけ?)が多数いらっしゃったようで、もう既に何度も観ている人がいたようです。ちょっと面白かったのでついつい聞き耳を立ててしまったのですが、「昨日とは○○のシーンの演技がちょっと違ったわ」とか「あそこのシーン、昨日より良かった」とか「もうだいぶステージ重ねたせいか、最初の頃よりだいぶ芝居がなじんできてるわよね」とか、皆さん何回観てんですかと聞きたくなるようなコメントが多数聞かれました。しかも数組だけではなく、たぶん2~3割がリピータなのではないでしょうか?普段同じ芝居を2回以上行くことなど無いですし、特別に誰かや何かを追っかけた経験などないので、こういう人たちが(多数)いるのだという発見は新鮮な体験でした。


 
 

円熟の志ん輔

投稿者:I.D

11月の武蔵野寄席《秋》のトリは、大名人・古今亭志ん朝師の4番目の弟子・志ん輔師である。

 

志ん輔は高校二年の時まで、全然落語を知らなかったそうだが、たまたまチケットをもらった志ん朝の落語会に行き、志ん朝が高座に上がった瞬間、そのオーラに圧倒され、そして『火焔太鼓』に完全ノックアウトさせられたと言う。その時にもう落語家になる決意をしたというのだから、これは運命に導かれたとしか思えない。

 

その後、電話帳で調べた志ん生宅や、なんとか調べ当てた志ん朝宅へ弟子入り志願で通うが、なかなか許されず、一門で最も入門に時間がかかったのが志ん輔だそうである。しかし、『明烏』『妾馬』『宿屋の富』『子別れ』『お見立て』『小言幸兵衛』『井戸の茶碗』…、志ん朝から直に教わった噺が一門一多いのも志ん輔という説がある。

 

まだ二ツ目で朝太を名乗っていた頃にNHKの『おかあさんといっしょ』のコーナーに抜擢され、お茶の間の知名度も一躍アップ、それは17年間も続く名物コーナーとなった。

 

2001年に63歳で師・志ん朝が亡くなり、人生観が変わるほどの衝撃を受けたという志ん輔。「俺が師匠の享年になるまでに15年しかない」ということに気づき、1年に1本の噺を丹念に仕上げていこうと決意をする。

 

志ん輔は師の死後、高座で志ん朝が“降りてきた”と感じることが何度もあったという。『お見立て』や『宮戸川』をやっているとき、志ん朝が乗り移り、ああしろ、こうしろと言うのでその通りにやると客の反応が格段に良くなり、鳥肌が立つような思いだったと。

 

その反面、師の呪縛も感じ、師の模倣を脱することに苦悩を感じたこともあるという。偉大な、偉大すぎる師を持つ者が通る「受け継がなくてはならない」と「乗り越えなくてはならない」という苦しみを存分に味わっている志ん輔。その彼もあと4年で志ん朝が亡くなった年齢となる。“志ん朝の芸を継ぐ男”として彼は円熟の極みに達してきていると言えるだろう。

 

さて、志ん輔師は自身のホームページを持っているが、そのブログがとても充実している。現在は毎日更新をしており、彼の日々の出来事を追体験できるし、主に2009年頃までは、数多くの“寄席の人々”が紹介されており、一大絵巻と言えるほどである。

 

 

真理は少数派にあり

投稿者:Director's Choice


「真理は少数派にあり」と言ったのはキルケゴールだ。音楽会をつくる仕事をしていると、ヨーロッパで活躍しているいわゆる本物のアーティストのコンサートのチケットは売りにくいという現実に突きあたる。例えばニコライ・ルガンスキーとヨハネス・モーザー。この2人はチャイコフスキー国際コンクールの1位なしの2位になっている。このためか日本では(その実力と比して)この2人は人気が出ていない。


ヨハネス・モーザーにバッハの無伴奏の依頼をしてもう5年近くが経つ。今年の11/22(木)にやっとこのコンサートが実現する。
世界のトップ・オーケストラがチェロ協奏曲に誰を起用するか考えるとき、ヨーヨー・マを別格とすれば、その次に来る数人にモーザーは間違いなく入る。彼に対する評価はヨーロッパと日本で大きく違っているのだ。トッパンホールでのチケットは早くも完売しているので、半額で聴ける武蔵野公演をぜひどうぞ。


渋谷には長崎料理の店が多い。中でも池波正太郎が通ったという「ながさき」の皿うどんが良い。田中康夫(覚えていますか?)がおすすめのイタリアン(デート向きですね)として挙げたANTIVINOの隣だ。(ギャラリー・ル・デコに近いので演劇ファン向きかも)
ちゃんぽんはスープを飲みほしたい派のためにオーチャード・ホールから1分の「はしばやん」も便利でいい。

 

ヴァン・クライバーン、進行性の癌で自宅療養中。

投稿者:ヤマネ


ヴァン・クライバーンが進行性の骨のガンで、どうやら危ないようだ。78歳。


1958年、記念すべき第1回チャイコフスキー国際コンクールの覇者。クライバーンと言えば、私たちピアノを学んだ人間にとっては、必ず避けては通ることの出来ない、特別な存在だ。


ショスタコーヴィチにメダルを授与される写真や、ニューヨークでの歴史的な凱旋パレードの写真は、もちろん私はその出来事のはるか後年になって見たわけだが、脳裏に深く焼き付いており、今でも容易に、紙吹雪の舞うその写真を思い浮かべる事が出来る。


だがその実演に触れた人は多くないと思う。私も何枚かのCDと、DVDとでしか知らない。大きな存在だったが、巨匠と言われたわけではない。時代の寵児となり、振り回され、疲弊し、コンサートピアニストとしての華々しい活動とも縁遠くなって長い。


パートナーと共にテキサスのフォートワースに長らく住み、同地で開催される、自身の名前を冠したコンクール、それが遠く日本に住む我々との接点のほぼ全てだった。(最近では盲目のピアニスト辻井伸行が、このコンクールでハオチェン・チャンと優勝を分け合った。それによりこのコンクールの存在は一般にも知られるようになった。)


1996年に来日し協奏曲を弾いた時、演奏に対する評価はその頃も高くはなかったが、演奏を聴きに行った桐朋の私の友人が「感動のあまり涙を堪えきれなかった」と言ったのを印象深く覚えている。蛇足ながらこの友人は後日、ヴァン・クライバーン・コンクールに参加。クライバーン本人と話をする機会を得たそうだ。


地元の新聞、フォートワース・スター・テレグラム紙には、彼のパブリシストのコメントが掲載されている。「彼は自宅におり、極めて平静にしている。精神状態もよい。どうか彼をそっとしておいて欲しい」。また同紙には、近影を含む写真16枚が掲載されているが、衰えたその姿を見て、私はなんとももの哀しい気分になった。


クラシック音楽史上初めて、アルバムのミリオン・セラーを達成した人。トルーマンからオバマまで歴代の大統領全員の前で演奏を行った人。その人の生が、終わりに近づいている(もちろん、"奇跡的に回復"という可能性もあるのかもしれないが)。


一つの時代が終わりを告げようとしている。そしてクライバーンの名前は、ゆるやかに忘れ去られていく事になるのだ。


■ フォートワース・スター・テレグラム紙 2012年8月29日付の記事:
Van Cliburn diagnosed with advanced bone cancer
http://www.star-telegram.com/2012/08/27/4209871/van-cliburn-diagnosed-with-advanced.html