傀儡はいかがでしょう

執筆者:I.D

今から10年以上前、武蔵野文化事業団に入るとは全く思ってなかった頃、吉祥寺をぶらぶらしていると、「くぐつ草」という奇妙な看板を見つけました。どうやらカフェのようなので、ちょうどおなかも空いたし、別世界へ行くような地下への階段に少し躊躇しながらも入ってみました。重い扉の中のカフェは、濃厚なコーヒーと濃厚なカレー、そして物語のなかに入ったかのような、ちょっと不思議な内装が印象的でした。

 

それから時は流れ、武蔵野文化事業団に入った後、あそこは江戸糸あやつり人形劇団「結城座」が経営しているカフェだということを知りました。

 

武蔵野芸能劇場では3月の「夏の夜の夢」にひきつづき、6月30日、7月1日に結城座の「雲は天才である」が行われます。これまでに、(ロンドンやベルリンなどでも…)いくつもの「夏の夜の夢」を観ましたが、結城座の「夏の夜の夢」には、人形劇でしか出来ない表現が、物語と見事に相まって、なるほどと、唸らされるところがありました。「雲は天才である」も伝統芸能ファンだけでなく、演劇ファンの方も楽しめること間違いなし!の公演だと思います。

 

公演の前後に「くぐつ草」に寄って、公演を観るという結城座づくしの1日はいかがでしょうか。もしかして、お店のスタッフの方から公演の裏話なども聞けるかもしれません。

音楽家と食について

 

執筆者:あ・と・お

 

先日、武蔵野でも歌手とのリサイタルによく出演していただいているピアニストのS氏と浅草の天ぷらと天丼の名店「葵丸進」に行ってきました。S氏おすすめの大海老天丼をいただきましたが、タレの染み込んだ、その名に恥じない大きな海老が2本乗っかっていて、実に食べごたえがありました。

 

葵丸進:
http://www.aoi-marushin.co.jp/

 

これまで多くの音楽家の方々と接してきましたが、皆さん、食への関心度が高いです。聴覚と味覚は脳の中でも近いところが司っていると聞いたことがあります。体調管理や、2時間近くのコンサートをこなすスタミナも必要ですし、アスリートと同じですね。演奏旅行で各地の食文化に触れる機会も増え、そんなこんなで自然と食への関心も高まるのではないでしょうか。

 

今日はチケット発売日でした。たくさんのご予約をありがとうございます。

 

レベッカ・ネルセン

執筆者:Director's choice


バーデン歌劇場の来日公演での歌手の水準は年と共に上がっているのではないか。この日本ツアーの"ウワサ"を聞きつけた歌手が次々とオーディションにやって来るようになった。


来日した歌手から何人もの名歌手が誕生しているのをご存じだろうか。2005年の「魔笛」でパミーナを歌っていたレベッカ・ネルセンもその一人だ。最近はドレスデン国立歌劇場で「フィガロの結婚」のスザンナ、「後宮」のブロンデ、「椿姫」のヴィオレッタ、ヴェニスのフェニーチェでも「椿姫」、バイエルンで「後宮」、ラヴェンナで「フィデリオ」などに次々と出演している。来年以降、日本に呼ぼうか、というプランもあるので、成長した彼女を武蔵野で見られるかも知れない。


今回のおすすめはスープカレーの「イエローカンパニー」(恵比寿)である。スープカレーでおいしい店はなかなかないが、この店のチキンカレー(中辛)900円は見事な一本!という感じである。おすすめしたい。

   

音楽家とは旅をする生き物なのです。レナ・ノイダウアーもまた然り。

執筆者:ヤマネ


いいよね、音楽家って、旅ができて。と、思われるかも知れないが、結構そうでもない。彼らは観光が出来るわけではなく、試みにインタビューしてみればわかると思うが、せっかくの観光地にいたとしても、ホテルとホールをただ往復するだけの場合も多い。特にソリストとよばれる人たちは、一人で行動しなければならない時間も長く、孤独である。


私もかつて音楽事務所と呼ばれる場所で働いていて、ソリストたちと旅に出かけていたこともあるので、何となくわかる。夜にはその土地のおいしいご飯を食べサケを飲み、阿呆な話をしてケケケなんつって一緒に笑って、彼らの孤独をやわらげる事は出来るかもしれないけれども、基本的に彼らは一人ホテルで練習し、時間になればのそのそと会場へ行き、見知らぬ聴衆の前で演奏をしなければならないのである。そして終わればすぐに次の場所へ向け出発する。きわめてストレスフルな生活なのである。ああ。


先日吉祥寺シアターで見事な演奏をしてくれたレナ・ノイダウアーもまた然り。単身でドイツから本番二日前の夕方に成田に着き、前日にリハーサルをし、当日コンサートで演奏したら、その翌日早朝にはふたたび成田へ向かいドイツに帰る、というかなりハードなスケジュールだった。弾丸ツアーであった。タフである。本当に頭が下がる。ああ、ああ。


仕事を休んで、あるいは仕事のついでに(むしろ仕事がついで、だ)全国で釣りが出来るハマちゃんやなんかは、音楽家にとっては垂涎の的なのである。たぶん。


  

CDの話

投稿者:ひよこちゃん

1年前にここ武蔵野市民文化会館で働き始めるまでは、現代っ子らしく「CD を買う」という習慣から縁遠くなっていたひよこちゃんなのですが、最近ではクラシックのCD をよく買うようになりました。

 

正直に申し上げて、あまりこれまで縁のなかったクラシックコーナーに足を踏み入れて1番驚いたのは、1000円前後のものがかなり多数あるということです。ポピュラーのCD だと大体3000円くらいしますから、かなりお手頃感があります。クラシックは敷居が高いと思われがちですが、意外や意外、最初の1歩は踏み出しやすいですね。

 

しかも、そういったCD も演奏者や指揮者は有名な方々、「名盤」として名高いものも多数!最初は中古やアウトレットか何かかと思いましたが、紛れもない新品…。こんなところにもデフレかと、ちょっと心配 になりますが、その一方、私のようなお金のない若者にはありがたいことでもあります。買い物好きのひよこちゃんは、こうしてスペシャル・プライスコーナーを中心に、少しずつ手持ちのCD を増やしております。

 

ただ、残念なことに、我が家には一昔前のMD 付き(もはや懐かしい!) ラジカセとノートパソコンしか再生機器がないので、あまり音質的によろしくありません。昔はほとんど気にも留めませんでしたが、やはり生音に耳が慣れてしまったようです。

 

という訳で、ちょっとしたオーディオシステムを組みたいなと企んでいるひよこちゃんであります。やっぱりクラシックの世界は奥深いですね…。のめり込んでいくのが、楽しくもあり怖くもあります。でもこれも何かの縁でしょうから、行けるところまでは行ってみたいなと思う今日この頃なのであります。

 

武蔵野の"象徴"

執筆者:I.D

ついにあの武蔵野の“象徴”に触れてみます。

 

そうです、“あの”チラシです。

 

これについては、書くことが多すぎるので、今日はその一角にだけ触れます。

 

皆様はあのチラシは何人の人間が作っているか考えたことがありますか。

 

そりゃー、あんな独特なもの1人で作っているんでしょ、いやいやちょっと違う感じのもあるから2人なんじゃない、などという声が聞こえてきそうですが…

 

実は現在は、ここのブログを書いている5人+シアターのコモトさん=6人で作っているのです!

 

あのチラシの創始者であるDirector's Choice氏の厳しい、厳しい、厳しいチェックが入るので、一見わからないと思いますが、やはり僅かに個人個人の文体のようなものがあります。そして“完成度の違い”というのもあるかもしれません。

 

筋金入りの超上級武蔵野ファンの方は、ああ、このチラシと、このチラシは同じ者が作っているな…、と想像してお楽しみください。(我々は一目見れば、誰が作成したか、すぐにわかります。)

 

 

おまけ

今日はウィーンのケルントネル門劇場でベートーヴェンの第九が初演された日であり(1824年)、ブラームスの179歳の誕生日でもあります。

オルガンいろいろ

執筆者:あ・と・お

先日、水戸に行った際に、水戸芸術館に寄ってきた。オルガン・コンサートを聴くためだ。
オルガンは、この世に同じものが一つとしてない。建物に合わせ、依頼主の意向に沿ってゼロから設計されるからだ。


水戸のオルガンはマナという日本のメーカーが製作。東日本大震災でパイプが落下したり、被害を受けたが、1年をかけて修復。新しい音色も二つ追加されていた。同地の復興のシンボルとなり、注目を集め、立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。


個性の違うオルガンを聴くのは楽しい。機会があれば、皆様も旅先でいろいろなオルガンを聴かれてみては、いかがでしょう。


水戸芸術館HP:http://arttowermito.or.jp/

       

ネッド・ローレム

投稿者:Director's Choice

     
ネッド・ローレムのピアノ・トリオのCDを聴く。
ネッド・ローレムといえば歌曲が有名で、作曲家自身がピアノ伴奏を務めたキャロル・ファーレイ盤や、今をときめくスーザン・グラハム盤のCDなどがあるが、若くしてこの世を去ったロレイン・ハント=リーバーソンの歌ったネッド・ローレムも絶品だった。


ローレムのピアノ・トリオは現代の音楽としてはとても聴きやすい。
来シーズン武蔵野で演奏される機会を作ってみたい。

     

さて、今日のおすすめレストランは、インド定食のターリー屋だ。
(ちなみに私の行った店は新宿センタービル店です)


チェーン店はちょっとねぇ...という方も多いと思うが、この値段でこの味ならアリだ。ランチで2色カレーが690円。ナンは小ぶりでおかわり自由。女性なら1枚で男性なら2枚という感じ。インド料理店のナンが食べきれないという女性にはありがたいのではないだろうか。


昨日も某札幌スープカレーを食べたが、値段は倍で楽しみは半分以下...。
ターリー屋はあなどれません。

                     

服装のこと

執筆者:ヤマネ


青椒肉絲を作っていたら、鉄鍋(北京鍋です)でやけどをしてしまいました。少し水ぶくれになっています。


いきなり関係ない話をしてしまいました。


今日はクラシック音楽の衣装の話を書いてみようと思います。今でも、噺家は和服を着、講談では袴をつけますのと同様、クラシック音楽の演奏家(男性の場合)も、燕尾服、タキシード、そういった服を着るのが一般常識、基本のようになっております。


しかし時代の変化と共に、衣装も少しずつ変化して来ましたし、衣装もまた、演奏会の楽しみの一部であると、私は考えております。


職業柄、いろいろな人の衣装を舞台裏で眺めてまいりましたが、衣装が素晴らしいと笑顔になれます。そんなときはゴージャスだ、と言います。日本人相手では気恥ずかしくて口が裂けてもこんな事言いませんが、英語では、ええ、ゴージャス、けっこう気楽に使えます。言うと出演者も喜んでくれますし。その上さらに、演奏も素晴らしかったりするとそれはもう、「夢のような時間」という事に相成ります。夢のような時間・・・いやはやこれは、地上では人間にだけ与えられた特権なのだ。ババーン!


思い起こせば先日のアルトゥール・ピサロも自由な服装でした。ジャケットの中がTシャツ、はだけた胸に光るネックレス・・・Ohhh、フリーだね。


私は個人的には、品格があれば(←ここは感覚なので、何をもって品格があるかないか、定義は困難ですが)どのような格好をしても良いと考えていますが、皆様はいかがお考えでしょう。


そのうち、ジーンズで定期演奏会なんかの舞台に上がっちゃう人も、いる・・・かも知れない。やっぱりいない・・・かも知れない・・・。

 

ひよこちゃん、年下のアルガマニヤンさんから学ぶ

投稿者:ひよこちゃん


一昨日リサイタルを行ったナレ・アルガマニヤンさんは2泊3日の弾丸スケジュールでの来日でした。来日したのは4/30の朝(本人も眠いですが、成田までお迎えに行ったひよこちゃんもかなり眠かったです。)でしたが、直前の28日・29日はマレーシアでオーケストラとコンチェルトを演奏の予定でした。


が、しかし!


なんと、マレーシアのオケの指揮者が急病!で、降板...。急遽、代理の指揮者をたてたそうなのですが、予定通りのプログラムを演奏することはできなくなり、そこでどういう話し合いがあったのかは、ペーペーのひよこちゃんには想像もつきませんが、かくかくしかじか喧々囂々の結果、なんとオケのコンサートの後半はオケではなく、アルガマニヤンさんのソロ・リサイタルになったとのこと。


・・・・・そんな恐ろしいことってあるんですね!!!!


そりゃ指揮者だって人間ですものね、体調くらい崩しますよね。でも、いきなり「じゃあ、君、ソロ・リサイタルをやってくれ給え」なんて言われたら、、、、あな恐ろしや。


と、ピアニストでもなんでもないひよこちゃんは思ったのですが、アルガマニヤンさん本人は(もちろん驚いたようですが)、結構サラッとこなしたようで、「若いのに大人だわ」と、アルガマニヤンさんより少し年上のひよこちゃんは感心してしまいました。


クラシック音楽の演奏者は、自分と楽器だけを頼りに人前に晒される経験を幼い頃から重ねているせいか、みなさんあんまり物怖じしないように思います。競争相手もたくさんいますし、物怖じしたりたじろいだりしたら負け、な世界なのかも知れませんね。みなさん「自分」という商品を売り歩かなきゃいけないんですから。


ただ、それは演奏家ではない私だって、厳しい世の中を生きていく上では変わらないはずなので、そこはアルガマニヤンさんの胆力を見習って「物怖じせずたじろがず」の精神で生きていこうと思った次第であります。(経験値1ゲット!次のレベルまであと38)


ちなみに、この話にはちょっとしたオチがあり、当のオケのコンサート(半分アルガマニヤンさんソロ・リサイタル)の日は、マレーシアで大規模ストライキ(公共交通機関のストでしょうか)があったらしく、あまりお客さんが来れなかったとのこと。


昨日のやっぱり朝に離日したアルガマニヤンさん。次なる行先は彼女の祖国アルメニア!家族に会うための帰省かと思いきや、「コンサートが2回あるのよ、ほとんど家族とも過ごせないわ」とのこと。アルメニアに住むご両親に会うのはかなり久しぶり、とのことだったのですが、今頃はわずかばかりの再会を楽しめているでしょうか。今度はストも病気もなく、武蔵野でのリサイタルのように、生まれ故郷で本領発揮してくれるといいなと思うひよこちゃんなのでした。