ルセのチェンバロの写真

執筆者:I.D

昨日のクリストフ・ルセのリサイタルでは、美しいチェンバロ自体にも目を奪われた方も多かったのではないでしょうか。終演後沢山のお客様が写真を撮ってらっしゃいました。

 

3日前ヤマネ氏もブログに書いていましたが、この楽器は持ち込みでした。

 

チェンバロが運び込まれるところを見ていましたが、チェンバロって(見ている限りは)上部と足が意外と簡単にバラバラになり、移動の時にはコンパクトになるんですね。

 

まずは足を作り…(所要時間5分ほど)

 

上にガコッと乗せる。特にストッパーなどはないんですね。

 

カバーを取ると素晴らしい中国風の装飾が。

実はお客様から見えなかった裏面や中も装飾が施されていました。

 

それから、お客様に見えている面に、引き出しの取っ手のようなものがあることに気づいた方はいらっしゃいましたでしょうか。調律師さんが教えてくれたのですが、これは本当に「引き出し」でした。昔の貴族などは普通に物を入れていたそうですが、今は水を張ったお皿を入れて湿度の調整をするそうです。

 

Facebookにも近日中にルセの写真を掲載いたしますので、そちらもご覧ください。

 

 

ダブルヘッダー

執筆者:あ・と・お

 

今日の小ホールは、平日にしては珍しく昼夜2公演でした。我々の事務所では、“ダブルヘッダー”と呼んでいます。業界用語というよりも、ここで言っているだけかもしれません。…といっても、今日の場合、同じ演奏者が2度演奏するわけではありません。昼はアントニオ・メネセスのチェロ・リサイタルでバッハの無伴奏チェロ・ソナタ、夜はクリストフ・ルセのチェンバロ・リサイタルでF.クープランなどのプログラムでした。期せずして、ドイツ・バロックとフランス・バロックというカップリングとなりました。

 

昼の公演にいらっしゃったお客様の中には、無伴奏チェロの公演なのに何故舞台上にチェンバロ???と思われていたお客様もいらっしゃったかもしれません。チェンバロも調律の状態を安定させるために、本番の環境に置いておかなければならなかったのです。昼夜、続けてご来場いただいたお客様もお見受けしました。ご来場ありがとうございました。

 

ちなみに、野球のダブルヘッダーの“第2試合は、第1試合の終了20分後、30分以内に開始する”のがルールだそうです。ゆっくり、休めないのですね。

 

ツィメルマン

執筆者:Director's choice


武蔵野は世界中から知られざる新星や名手を紹介することにかけては日本一かもしれない。そうした中で、何度も繰り返して武蔵野に登場する数少ない演奏家がいる。こうした演奏家は、音楽だけでなく人柄的にも素晴らしい方が多い。


ツィメルマンはピアノのメカニックをはじめ、こだわるものについては妥協がなく、むずかしい一面も持っている。しかしマネージャーに対してなど、心を許した者に対しては、まるで「ダチ」という感じで接している。僕の知る日本のマネージャーも世界のマネージャーも、彼の自宅によく行っている。


一番感心したのは、マネージャーが今ステージに出て行くツィメルマンに礼をしたとき、ツィメルマンがステージ袖から一度マネージャーのところに戻ってきて、礼をして、再びステージに出て行くのを見たときかもしれない。半分冗談のようなものなのだが、ツィメルマンの一面を表すものだと思う。


リサイタルは毎回内容が一度たりとも同じではなく、ツアーで同じ曲を3回、別の会場で聴いたら、毎回違っていて、お客さんもその会場ごとにツィメルマンに違う反応と感想を持っていた。


今年のツィメルマンのリサイタルは、ドビュッシーの12のエチュードをメインにするなどという、玄人好みのプログラムだが、あえて一見地味なこの曲集を選んだのには、きっと理由があるに違いない。普通なら前奏曲集1・2巻に取り組むところであろうが、ツィメルマンらしい"通"の選曲なのだ。きっとこのリサイタルを聴いた後は、12のエチュードに対する考えが聴く前と全く違うものになるだろう。


さて、今日のおすすめレストランは、銀座の和食、和久多である。銀座もすっかり様変わりし、グルメ雑誌を見たご婦人がカウンターで鯛茶なんかを食べている。そこで「ねえ、これどうやって食べるの?」と聞いていたりします。


僕が和久多をおすすめするのは、ある意味敷居が高くなく、フラッと入っても席があり、お昼の縁高弁当など2,000円少しで質の高いものだからです。ミシュランの名店に行くのもよいが、普段使いの出来る、気取りのない(しかし内容は充実している)店は、銀座にあってたとえば三亀とともに貴重な店なのだ。


  

楽器が持ち込まれるとき

投稿者:ヤマネ


  

世の中にはいろいろなピアノメーカーがあるけれども、武蔵野文化事業団が所有しているコンサート用のピアノは全てスタインウェイ&サンズ製です。時々、違うメーカーのピアノでコンサートが開催されると「***のピアノ、持ってたの?」と言った質問をお受けすることがあります。ピアノって、基本的に総黒塗りのシンプル・ボディーですが、だいたい側面にメーカー名等が書かれていますので、ぱっとみたらもう、歴然と判るわけですね。
 

お答え致します。いいえ、所有しておりません。ではなぜ時々他社のピアノが使用されるかというと、それはアーティストの希望だったりするわけで、そうなると、いわゆるひとつの、お持ち込みいただく、という事になります。最近ではホジャイノフ(2012/4/19)がヤマハを持ち込み、ユリウス・キム(2011/10/18)がベーゼンドルファーで演奏しました。


楽器は温度や湿気でかなりの影響を受けます。なので、出来る限り早めにステージ上に設置し、ステージ上の環境に慣らして置いた方がよいのです。そういう訳ですので、持ち込みの場合はまず、公演日の朝一に搬入されます(持ち込みでなくても、可能な限り早い時間からステージ上に楽器が出されます)。その後、しばらく放置されます。そうして後ようやく、おもむろに調律が始まるわけです。この慣らしを「もたもたすんじゃねえ、めんどくせえべらんめい!こちとら江戸っ子でい!」なんて啖呵を切ってうっかり省略すると、後で音がガクガクに調子っ外れになってしまい、ややややこれは!なんて公演中に目を覆わねばならぬ事態が出来する、なんて事もあり得ますので、ぜひ、ここは避けないようにしたいところ。


公演日の朝は、ああ、今頃ピアノがステージ上に出されて慣らしをしているのかな、何て想像してみつつ、夜の(あるいは昼の)公演に思いを馳せてみて下さい。ワクワクして、仕事もはかどっちゃうかもしれません(ひょっとしたら、そわそわしてはかどらないかもしれませんが)。


   
ちなみに、フォルテピアノ(昔のピアノの事です。例えればクラシックカーのようなものです。)やチェンバロも所有しておりませんので、これらの楽器を使用した公演は全て、持ち込み楽器が使用されております。今週金曜のクリストフ・ルセ公演もまた、同様。

      

ひよこちゃんの休日

投稿者:ひよこちゃん

  
ひよこちゃんは昨日の日曜日がたまたまお休みであった。武蔵野市民文化会館は毎週水曜日が休館日なので、スタッフにとって日曜日はあまり関係がないのですが、昨日は私、たまたまお休みでした。


休みの日くらい存分に寝ていたい!やら、いい天気だからお弁当を持って公園に行きたい!やら、色々としたいことはあったのですが、仕事柄あれこれ観てお勉強しなくてはいけません。で、昨日は予定を調整していたら行きたいものが3つありまして、しかもうまいこと3つとも時間がずれていました。これは全て行けてしまう...。いわゆるひとつのトリプルヘッダーですね(ミスター長嶋風に)。


「行けてしまう」とひとたび判明した以上、行かないという選択肢はかなりの罪悪感を伴うので、朝の日差しが爽やかな午前9時、ひよこちゃんは眠い目をこすって第1の目的地に向かいました。最初の公演は、鈴本演芸場で毎週日曜日10時から行われている「早朝寄席」。


この早朝寄席は、二ツ目が毎週4人出演し、1人2~30分ずつ口演するというもの。2ツ目の噺家さんの落語は定席ではじっくり聴けないので、なかなか貴重な機会です。しかも値段はわずか500円!同様に2ツ目さんが出演するものに、新宿末廣亭で毎週土曜日に行われている「深夜寄席」というものもございます。(こちらも木戸銭500円)


2ツ目だからって侮るなかれ!客席はいつもかなり埋まっていますし(初めて行ったときは驚きました!)、噺家のみなさんもここがチャンス!と言わんばかりの真剣勝負で高座にあがります。ここだけの話、ひよこちゃんは定席に行くよりも好きだったりします。


さて、若い噺家さん(と言っても、みなさま私より年上?)たちの熱のこもった高座に満足したひよこちゃんは次なる目的地に向かいます。新国立劇場で昨日まで行われていたバレエ「白鳥の湖」です。

毎年恒例の武蔵野シティバレエ、今年は10年ぶりに名作「白鳥の湖」を上演することが決まっています。駆け出しのひよこちゃんでももちろん「白鳥の湖」くらいは知っているのですが、それはチャイコフスキーの音楽だけで、実は「白鳥の湖」のバレエ公演を全幕観るのは初めてでした。もともと舞台鑑賞が好きなひよこちゃんとしてはバレエにせよ、オペラにせよ、最近は少しずつそれぞれの「流儀」のようなものが飲み込めてきたのか、グッと楽しみが増えてきました。


日曜日で、しかも超有名な「白鳥の湖」ということもあって、お子様連れもかなり多かった新国立劇場でした。お金に余裕があるとは言いがたいひよこちゃんは安いD席から鑑賞していたので、1階(S席)に座る子供さんたちがうらやましいです。子供の頃から、親御さんに連れられ、文化的なものを味わう機会があるのは素晴らしいことですよね。私はそういう家庭環境ではなかったので、殊更そう感じます。

   

2時間半の「白鳥の湖」にお腹いっぱいになったひよこちゃんはしばしの休憩と夕食ののち、次なる目的地、劇団マームとジプシーの公演「マームと誰かさん」を観るべく清澄白河まで!
マームとジプシーは、今シーズンの吉祥寺シアター自主事業のラインナップにもその名を連ねる、現在乗りに乗っている劇団で、劇作・演出を担当する藤田貴大さんは今年、見事に岸田國士戯曲賞を受賞、まさに今、各方面からひっぱりだこの売れっ子さんでございます。ひよこちゃんも今から1月の吉祥寺シアターでの公演が楽しみであります。

   

そんなこんなで、清澄白河を出たのは夜の9時40分!12時間を超える都内での公演三昧の1日は終わりを迎え、疲れ切った身体を引き摺り約1時間の帰路につきました。本日は全て比較的安価な公演だったので、鑑賞費はしめて6150円!でも、休みのたびにこんな生活をしているので、月末はもう火の車です。同級生の貯金談義はすべて聞こえないフリです。
  
    
  
嗚呼。19歳の時の自分はこんな風になるなんて思いもよらなかったですね......。おしまい。

                  

       

傀儡はいかがでしょう

執筆者:I.D

今から10年以上前、武蔵野文化事業団に入るとは全く思ってなかった頃、吉祥寺をぶらぶらしていると、「くぐつ草」という奇妙な看板を見つけました。どうやらカフェのようなので、ちょうどおなかも空いたし、別世界へ行くような地下への階段に少し躊躇しながらも入ってみました。重い扉の中のカフェは、濃厚なコーヒーと濃厚なカレー、そして物語のなかに入ったかのような、ちょっと不思議な内装が印象的でした。

 

それから時は流れ、武蔵野文化事業団に入った後、あそこは江戸糸あやつり人形劇団「結城座」が経営しているカフェだということを知りました。

 

武蔵野芸能劇場では3月の「夏の夜の夢」にひきつづき、6月30日、7月1日に結城座の「雲は天才である」が行われます。これまでに、(ロンドンやベルリンなどでも…)いくつもの「夏の夜の夢」を観ましたが、結城座の「夏の夜の夢」には、人形劇でしか出来ない表現が、物語と見事に相まって、なるほどと、唸らされるところがありました。「雲は天才である」も伝統芸能ファンだけでなく、演劇ファンの方も楽しめること間違いなし!の公演だと思います。

 

公演の前後に「くぐつ草」に寄って、公演を観るという結城座づくしの1日はいかがでしょうか。もしかして、お店のスタッフの方から公演の裏話なども聞けるかもしれません。

音楽家と食について

 

執筆者:あ・と・お

 

先日、武蔵野でも歌手とのリサイタルによく出演していただいているピアニストのS氏と浅草の天ぷらと天丼の名店「葵丸進」に行ってきました。S氏おすすめの大海老天丼をいただきましたが、タレの染み込んだ、その名に恥じない大きな海老が2本乗っかっていて、実に食べごたえがありました。

 

葵丸進:
http://www.aoi-marushin.co.jp/

 

これまで多くの音楽家の方々と接してきましたが、皆さん、食への関心度が高いです。聴覚と味覚は脳の中でも近いところが司っていると聞いたことがあります。体調管理や、2時間近くのコンサートをこなすスタミナも必要ですし、アスリートと同じですね。演奏旅行で各地の食文化に触れる機会も増え、そんなこんなで自然と食への関心も高まるのではないでしょうか。

 

今日はチケット発売日でした。たくさんのご予約をありがとうございます。

 

レベッカ・ネルセン

執筆者:Director's choice


バーデン歌劇場の来日公演での歌手の水準は年と共に上がっているのではないか。この日本ツアーの"ウワサ"を聞きつけた歌手が次々とオーディションにやって来るようになった。


来日した歌手から何人もの名歌手が誕生しているのをご存じだろうか。2005年の「魔笛」でパミーナを歌っていたレベッカ・ネルセンもその一人だ。最近はドレスデン国立歌劇場で「フィガロの結婚」のスザンナ、「後宮」のブロンデ、「椿姫」のヴィオレッタ、ヴェニスのフェニーチェでも「椿姫」、バイエルンで「後宮」、ラヴェンナで「フィデリオ」などに次々と出演している。来年以降、日本に呼ぼうか、というプランもあるので、成長した彼女を武蔵野で見られるかも知れない。


今回のおすすめはスープカレーの「イエローカンパニー」(恵比寿)である。スープカレーでおいしい店はなかなかないが、この店のチキンカレー(中辛)900円は見事な一本!という感じである。おすすめしたい。

   

音楽家とは旅をする生き物なのです。レナ・ノイダウアーもまた然り。

執筆者:ヤマネ


いいよね、音楽家って、旅ができて。と、思われるかも知れないが、結構そうでもない。彼らは観光が出来るわけではなく、試みにインタビューしてみればわかると思うが、せっかくの観光地にいたとしても、ホテルとホールをただ往復するだけの場合も多い。特にソリストとよばれる人たちは、一人で行動しなければならない時間も長く、孤独である。


私もかつて音楽事務所と呼ばれる場所で働いていて、ソリストたちと旅に出かけていたこともあるので、何となくわかる。夜にはその土地のおいしいご飯を食べサケを飲み、阿呆な話をしてケケケなんつって一緒に笑って、彼らの孤独をやわらげる事は出来るかもしれないけれども、基本的に彼らは一人ホテルで練習し、時間になればのそのそと会場へ行き、見知らぬ聴衆の前で演奏をしなければならないのである。そして終わればすぐに次の場所へ向け出発する。きわめてストレスフルな生活なのである。ああ。


先日吉祥寺シアターで見事な演奏をしてくれたレナ・ノイダウアーもまた然り。単身でドイツから本番二日前の夕方に成田に着き、前日にリハーサルをし、当日コンサートで演奏したら、その翌日早朝にはふたたび成田へ向かいドイツに帰る、というかなりハードなスケジュールだった。弾丸ツアーであった。タフである。本当に頭が下がる。ああ、ああ。


仕事を休んで、あるいは仕事のついでに(むしろ仕事がついで、だ)全国で釣りが出来るハマちゃんやなんかは、音楽家にとっては垂涎の的なのである。たぶん。


  

CDの話

投稿者:ひよこちゃん

1年前にここ武蔵野市民文化会館で働き始めるまでは、現代っ子らしく「CD を買う」という習慣から縁遠くなっていたひよこちゃんなのですが、最近ではクラシックのCD をよく買うようになりました。

 

正直に申し上げて、あまりこれまで縁のなかったクラシックコーナーに足を踏み入れて1番驚いたのは、1000円前後のものがかなり多数あるということです。ポピュラーのCD だと大体3000円くらいしますから、かなりお手頃感があります。クラシックは敷居が高いと思われがちですが、意外や意外、最初の1歩は踏み出しやすいですね。

 

しかも、そういったCD も演奏者や指揮者は有名な方々、「名盤」として名高いものも多数!最初は中古やアウトレットか何かかと思いましたが、紛れもない新品…。こんなところにもデフレかと、ちょっと心配 になりますが、その一方、私のようなお金のない若者にはありがたいことでもあります。買い物好きのひよこちゃんは、こうしてスペシャル・プライスコーナーを中心に、少しずつ手持ちのCD を増やしております。

 

ただ、残念なことに、我が家には一昔前のMD 付き(もはや懐かしい!) ラジカセとノートパソコンしか再生機器がないので、あまり音質的によろしくありません。昔はほとんど気にも留めませんでしたが、やはり生音に耳が慣れてしまったようです。

 

という訳で、ちょっとしたオーディオシステムを組みたいなと企んでいるひよこちゃんであります。やっぱりクラシックの世界は奥深いですね…。のめり込んでいくのが、楽しくもあり怖くもあります。でもこれも何かの縁でしょうから、行けるところまでは行ってみたいなと思う今日この頃なのであります。